「発表の順番間違えた」 資金調達に自信あり
スウェーデンの高級EVブランドであるポールスターは、世界的なEV需要の軟化に対しどのように向き合っているのか。ボルボから独立し、中国の巨大企業ジーリー(吉利汽車)の傘下で増収しているが、順風満帆というわけではない。
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今年2月、ボルボがポールスターへの出資比率を48.3%から18%に引き下げると発表した。しかし、ポールスターのトーマス・インゲンラートCEOは取材に対し、他の資金調達先を常に探してきたため、株式構成が変わることは「劇的な事態ではない」と述べた。
「ボルボやジーリーに『パパ、ママ、お金が必要なんだ』と言いに行かなくても、資金を調達する方法を見つけなければなりません」
ボルボによる出資比率引き下げのニュースから2週間後、ポールスターは新たに9億5000万ドルの資金調達に成功したと発表した。インゲンラートCEOは、発表の順番を間違えたと嘆いた。
「2月末に9億5000万ドルのクラブローンを組んだと発表しましたが、ボルボがポールスターの所有権を縮小するという大きくて悪い見出しに対抗するには、2週間遅かった。誰もが危機的状況に陥ったと考えていたので、資金調達のニュースを2週間早く伝えられなかったのは残念です」
ポールスターは、今後の新型車の開発完了と量産化に総額13億ドルが必要だと推定されているが、インゲンラートCEOは未調達の3億5000万ドルも確保できると自信を見せている。
「これだけのことをやってきたんです。もちろん、残りの資金を何とかする自信はあります」
EV需要の軟化については「影響は避けられない」とし、「当社製品の素晴らしさを伝えるために、さらに努力しなければいけない」と述べた。
しかし、「当社はBYDでもなければ、テスラでもありません。販売台数も何百万台とあるわけではなく、それだけの工場もありません。当社には、プレミアムでラグジュアリーなターゲットユーザーと、それに対応した明確なポートフォリオがあります。大衆市場のボリューム・ゲームには参加していないのです」と付け加えた。
ポールスターは、今年初めに全世界の従業員の約15%(約450人)の削減を決定した要因として、「厳しい市場環境」を挙げている。
また、EV需要の軟化を考慮して業績予測を若干下方修正し、2025年の販売台数を15万5000~16万5000台とした。
次期主力EVは2027年頃登場か
ポールスターは2027年頃、新型EV「ポールスター7」を導入する予定だ。現在販売している「ポールスター2」の間接的な後継車となる。
ポールスター2は2020年に発売された小型の電動クロスオーバー車で、同ブランドにとって2番目の量産EVである。世界26の市場で15万台以上の販売を達成しており、最近もドライブトレイン構成の変更を含む大規模なアップデートが行われた。
同社のベストセラー車であるが、今のところ後継車の計画はないようだ。インゲンラートCEOは後継車について、「ポールスター7になるだろう」と述べた。
ポールスターの車名は基本的に、発売順に沿って数字が割り振られており、必ずしもクラスやボディサイズを指すものではない。つまり、ポールスター7は7番目の量産EVということになる。
インゲンラートCEOは「どのようなタイプのクルマで、どのように実現するかは、時期が来ればお話できます」として詳細への言及を避けた。
同氏は現時点での大まかなコンセプトとして、現行型ポールスター2とは同等のクラスに該当するだろうと示唆した。しかし、同じクルマを何世代も販売することはイノベーションを阻害する可能性があるという。
「似たようなクルマを作るかもしれませんが、ナンバー(車名)が違いますし、これまでのクルマの概念に縛られるようなことはありません」
「(フォルクスワーゲンの)『ゴルフ』というカテゴリーを持つのは素晴らしいことですが、イノベーションの力という点では非常に限定的です。『ゴルフ』はどうあるべきか、という枠にはまってしまうからです」
ポールスター2は、ボルボ由来のコンパクト・モジュラー・アーキテクチャー(CMA)をベースに開発されたが、次期ポールスター7では中国ジーリー(吉利汽車)グループのEV専用プラットフォームを採用する予定だ。おそらく、大型SUV「ポールスター4」と共通のサステイナブル・エクスペリエンス・アーキテクチャー(SEA)が選ばれるだろう。
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