昔から日本車はリーズナブルで実にソツなくよくできており、だからこそ世界中で多くのユーザーに愛されている。その反面、コンセプトや技術面にオリジナリティや革新的なものがあったケースはあまりなく、残念ながら外国車の後追い、悪く表現すれば真似ということがほとんどというのも事実だ。
しかし探してみると少ないながらも「外国車に影響を与えた日本車」、「外国車を震撼させた日本車」というのもあるもので、当記事ではそんな日本車たちを振り返ってみたい。メイン写真の初代ホンダシビックが名車たるゆえんも紹介しよう。
自動運転実験中の事故 責任の所在はドライバーかクルマか?【クルマの達人になる】
文:永田恵一/写真:ベストカー編集部
■1960年代~1970年代はホンダとスバルが輝いた!!
●スバル1000(1966年)
スバル1000はスバルとしては初の小型車で、車格としては当時大衆車と呼ばれていたカローラやサニーに相当する。スバル1000は水平対向エンジンとトランスアクスル(トランスミッションとデファレンシャルが一体になったもの)を縦に置くFF車だった。
この基本構造は4WDへの発展が比較的容易なこともあり、現代に至るまでスバル車に引き継がれ、スバル車の基礎を築いたモデルである。また当時は小型車でもスペース効率、生産性、コストの低さといったメリットがありながら、FF車は数少なかった。
しかしスバル1000以降FFの小型車が外国車にも増えたのはスバル1000の影響だった。さらに1970年登場のシトロエンGSと、1971年アルファロメオのアルファスッドはスバル1000と同じ縦置きの水平対向エンジンという構造を採用。
ちょっと地味な存在であるがスバル1000が与えた影響は非常に大きい。縦置きの水平対向エンジンというコンセプトは画期的だった
外国車に直接的な影響を与えたという意味では日本車初と思われ、その功績でもスバル1000は偉大である。
スバル1000自体は水平対向エンジンに加え、機能性としては優れるインボードブレーキを使っていたこともあり、価格の高さや整備性の悪さも原因となり残念ながら商業的には大成功とまで言えなかった。
それでもスバル1000が世界の自動車史に残る数少ない日本車なのは間違いない。
●初代シビックCVCC(1973年)
ホンダは1960年代終盤かなり苦戦をしていた。クルマ自体は大ヒットしたものの「横転が多い」というN360の欠陥車問題や、空冷エンジンを搭載した小型FF”ホンダ1300”の失敗で、四輪撤退を迫られるほどの窮地に陥っていた。
当時最後のチャンスとして開発された初代シビック。エンジン横置きのFF構造採用による車内の広さや内外装のカッコよさ、雰囲気の良さなどが支持され大成功を収め、ホンダは息を吹き返した。
同じころアメリカではクルマの排ガスも大きな原因となっていた。深刻な大気汚染に対しマスキー法と呼ばれる非常に厳しい排ガス規制の施行が決まったのもそのころ。その厳しさには「クリアは不可能」と白旗を挙げるメーカーもあったほどだった。
だがホンダは「世界中の自動車メーカーが一斉に”よーいドン”で始まる競争なんて滅多にあるもんじゃない」、という本田宗一郎氏の言葉で排ガス対策の開発をスタート。
排ガスのクリーン化技術では”前処理”に分類されるエンジンの燃焼室に副燃焼室を設けることで、完全燃焼に近い燃焼を実現するCVCCの採用によりマスキー法を世界で最初にクリア。世界中の自動車メーカーを震撼させると同時に、特にアメリカでのイメージ向上に多大な貢献を残した。
■セルシオとロードスターは日本車を世界の舞台に引き上げた
●初代セルシオ(1989年)
初代セルシオはそれまでの日本車にはなかった「ベンツ、BMW、キャデラックといった世界の名だたる高級車に挑戦する」というコンセプトの基に開発されたモデルだ。
「クルマに限らず高級品、高額品は他にはない個性を持つか、性能で上回らない限りライバルに勝てない」という世界である。そのため初代セルシオは耐久性なども含む各部の高いクオリティ、世界屈指の静粛性、250km/hの最高速と低燃費の両立といった目標を掲げた。
これらの目標は達成され、これだけの性能を持ちながら価格はベンツならミディアムクラス(現在のEクラス)並みとコストパフォーマンスも非常に高かった。
特にアメリカや日本では供給がまったく追い付かないほどの人気を集め、ベンツなどを震え上がらせた。初代セルシオの登場後にベンツはミディアムクラスに400EというV8エンジン搭載車を追加したが、これは明らかにセルシオ対策のためのモデルでもあった。
またセルシオのために新開発されたV8エンジンは後にジャガーなどがV8エンジンを開発する際に参考とされたほどで、このことからもセルシオが世界の高級車に与えた影響の大きさがよく分かる。
●初代ロードスター(1989年)
初代ロードスターは1970年代を中心に人気だったイギリスのMGやトライアンフといったライトウエイトオープン2シータースポーツカーを、1980年代当時の技術で復活させたモデルである。
と書くのは簡単だが、技術的なハードルはMGやトライアンフの時代とは比較にならない。厳しくなった衝突安全性に代表される法規制のクリアや、車重の軽さなども含む運転する楽しさ、それでいて多くの人が自分のモノにできる手頃な価格もマストと非常にハードルは高かった。
加えて「そんなクルマが売れるのか?」という社内の説得も困難を極め、初代ロードスターの開発初期はちゃんとした部屋も与えられず、日常業務の後に倉庫のようなところで行われていたという。
世界一売れた「ロードスター」としてギネス記録もあるマツダロードスター。2シーターの軽量FRとしての存在は世界に影響を及ぼした
そんな環境下でマツダは初代ロードスターを市販化し、そのコンセプトは世界中で絶大な支持を集め、大成功を収めた。
初代ロードスターの登場後、MGF、フィアットバルケッタ、ポルシェボクスター、ベンツSLKといったオープン2シーターが続々と登場し、初代ロードスターは「外国車を日本車の強い影響を受けた」という数少ない例になった。
またロードスターのフォロワー(後追い)には今はない車名も多いが、ロードスターは4世代29年に渡って続けているという点でも本当に偉大だ。
■プリウスは内燃機関の価値を上げ、GT-Rは最強コスパのスーパーカーに
●初代プリウス(1997年)
初代プリウスは言うまでもなく世界初の量産ハイブリッドカーである。二酸化炭素削減≒燃費のためのハイブリッドであるが、外国車は使用環境の違いもあるにせよ初代プリウスの登場から10年ほどハイブリッドに対しては否定的だった。
ところが2010年代になり技術が進むと厳しくなった燃費規制のクリアという目的もあり、今では多くのメーカーも本格的なハイブリッドやプラグインハイブリッドをラインナップする。そんな現代になったのも初代プリウスが困難の末ハイブリッドカーというジャンルを切り開いたおかげだ!
●現行GT-R(2007年)
現行GT-Rが外国車に与えた衝撃はまず速さである。登場時ニュルブルクリンク北コースで量産車世界最速となる7分38秒を記録し、これ以降ポルシェに加えランボルギーニ、シボレーコルベットなどがニュルのラップタイム争いに参入し、スーパーカーの速さ競争が始まった。
またGT-Rはニュルのラップタイム、スタビリティを含む最高速、0-100km/h加速の速さ、4WDでスタッドレスタイヤを履けば雪道も走れるオールラウンドな性能、ATで広くはないものの4人乗りで荷物も詰めて、乗降性も辛くない。
ニュルブルクリンクで徹底的に煮詰めた動力性能。このR35の存在が世界の舞台にGT-Rが躍り出た!!
マルチパフォーマンススーパーカーというコンセプトの基に開発され、こんなスーパーカーは他には今でもない。「外国車に影響を与える」を通しり越して、ライバルが真似できないほどいろいろなことができるスーパーカーというのもGT-Rの凄さだ。
2010年代に入って残念ながら世界に影響を与えたり、震撼させるほどの日本車は出ていない。こういった先輩にはこのほかにもポルシェやフェラーリに影響を与えた初代NSXや4ドアクーペというジャンルを開拓した初代カリーナED(影響が出てきたのが生産終了から10年後というのは皮肉だが)もあり、再び日本車が世界を驚かせる日が来ることを楽しみに待ちたい。
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