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今季不振により「引退も考えていた」マッズ・オストベルグが復活のシリーズ2勝目/ERC最終戦

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今季不振により「引退も考えていた」マッズ・オストベルグが復活のシリーズ2勝目/ERC最終戦

 すでにニュージーランド出身のヘイデン・パッドン(ヒョンデi20 Nラリー2)が欧州域外出身者で史上初のシリーズチャンピオン獲得を決めている2023年のERCヨーロッパ・ラリー選手権だが、年間“未勝利”の汚名を返上すべく有力ドライバーが集結し、最終戦『ラリー・ハンガリー』が10月6~8日に開催された。

 その代表候補として挑んだマッズ・オストベルグ(シトロエンC3ラリー2)が、地元の有力スターであるミクロス・チョモス(シュコダ・ファビア・ラリー2エボ)の最終日転倒リタイアにも助けられ、一時は引退も考え「もうこんなことをしなくてもいいのではないかと思うほど、とても厳しいシーズンだった」と語る崖っぷちからの復活勝利を飾っている。

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 全8戦中有効7戦で、最終戦を前に今季タイトルの行方が決している状況ながら、同国ゼンプレン北東部のニーレジュハーザを拠点とする名物ターマックイベントには、昨季王者エフレン・ヤレーナ(シュコダ・ファビア・ラリー2エボ)を筆頭に、フィリップ・マレシュやエリック・カイスらのチェコ出身ターマックマイスター陣に、新車投入のポーランド王者ミコ・マルチェクら、シュコダ・ファビアRSラリー2に乗る強豪が顔をそろえた。

 そんななか、かつての同イベント覇者である元WRC世界ラリー選手権レギュラーのオストベルグも「僕らはふたたびラリーに勝ちたいし、それが週末の目標だ」と、不振が続いた2023年の“上がり”に勝利を狙う決意を示した。

「今回のラリーはとても快適に感じているし、肩の力を抜いて運転し楽しむことができるはずさ。僕らはまだチャンピオンシップ(トップ3フィニッシュ)を目指して戦っているし、そこは重要なポイントだ」と続けた35歳のオストベルグ。

「これまでに何度か出場しているラリーなのでよく知っているし、一部のステージは前年と同じ。そこが僕らのアドバンテージだが、いつもどおりERC登録の面々だけでなく地元勢とも接戦になるだろう。全員との激しい戦いを期待している」

 その言葉どおり、迎えた予選ステージではポーランド国内選手権“2冠”のマルチェクがフリープラクティスに続いて最速タイムを刻み、ひさびさの舗装路戦ながら「新しいクルマのフィーリングは本当に素晴らしい」と首位発進を決める一方、シトロエンの右フロントから異変を感じたオストベルグは4番手タイムに留まった。

「経験したことはある感じ(の振動)だったが、何が起こっているのか分からなかった。クルマの中でも音が聞こえたから、その後は少し集中できなかったよ。悪い時間だったが、明日以降のラリーを楽しみにしたい」

 詰めかけた数千人のラリーファンが見守るなか、ラボチリンのラリークロストラックで実施されたSSSでもマルチェクがベストを奪い、2番手マレシュに続き「少し準備不足だった」と語るチームMRFタイヤで今季2勝のマルティン・セスク(シュコダ・ファビアRSラリー2)が並ぶトップ3に。

■チャンピオンシップ3位のオストベルグが明かす重圧と胸の内
 明けた土曜午前9時半から始まった本格ステージからは、地元では“Mixi”の愛称で知られるホームヒーローのチョモスがスパートを見せ「素晴らしく本物の“Mixi style”だったし、午前中に話し合った計画を維持した」と、狙いどおり午前のループで最速を奪取すると、レグ1合計6ステージを終えた時点でリードを20.6秒に広げていく。

 一方、オープニングのSS2で「石による大きな衝撃」を受けたオストベルグは、SS7のベストで反撃に転じハンガリーチャンピオンのフェレンツ・ヴィンツェ(シュコダ・ファビア・ラリー2エボ)を抑えて2番手で初日を終えた。

 しかし暗雲立ち込め雨の可能性もあった波乱のレグ2は、首位チョモスが計4ステージのオープニングこそベストを刻んでリードを23.5秒に広げたが、続くSS10で右フロントタイヤが損傷しスピン。さらにSS11では状況がさらに悪化し、スタートから約1km地点で高速ロールオフを喫してしまう。この事故でクルーに怪我こそなかったものの、ここでチョモスのERC初優勝の夢は潰える結末となった。

 これで首位浮上を果たしたオストベルグは、同国王者ヴィンツェに対して8.9秒の差を残してパワーステージを奪い、最終的に12.8秒差で2度目のハンガリー制覇を果たした。

「正直に言って、信じられない結果だ。本当に厳しい1年だったから、こんなかたちでシーズンを終えることができて本当に良かった」と、何よりも安堵感を滲ませたオストベルグ。

「僕らはラリーをとても楽しんだし、クルマもうまく機能し、多くの荒れたコンディションでも問題はなかった。同時に“Mixi”にも賛辞を送りたい。今回の彼は『飛んで』いた、僕らは週末を通して彼にプレッシャーを掛け続けたが、残念ながら彼はコースオフしたようだね」

 これでパッドンやセスクに次ぐチャンピオンシップ3位を確保したオストベルグだが「自分自身としては、勝たなければいけないと感じていた」と、その重圧と胸の内も明かした。

「ここから何をしたいのか、それを真剣に考えていた。そしてシーズンがこのように(不振に)なると、長くやりすぎたし『もう気にすることはない』と思い始める。僕はこれまでのキャリアで多くのことを達成してきたし、ふたたび同じことをする必要はない、ってね。でもとても楽しいし、ラリーをするのが大好きだし、サービスパークの人々も大好きだ。だから自分自身にとっても、ラリーを続けていくためには(この勝利が)必要だったと思う」

 そして同ラリーで注目を集めたハンガリーが誇るスター選手、元WTCR世界ツーリングカー・カップ王者ノルベルト・ミケリス(ヒョンデi20 Nラリー2)は、初日QFステージを17番手で終えると、レグ1で11番手と好位置につけながら、SS7のステージ上で損傷した左リヤタイヤを交換するためタイムロス。それでも最終日を走破して13位完走と、粘りの走りでラリーデビュー戦を終えている。

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