クルマ界には半年前まで常識だと思われていたことが、その半年間で新たな常識にガラッと変わってしまうことが多い。今となっては半年前までのそれは「もう非常識」と言ってしまっていいケースもある。
クルマについての「半年前の常識→非常識」現象を(一部一年ほど前のネタも含めなながら)ご紹介!
半年前の常識は今の非常識!!? 変化早すぎ!!! のクルマ話10選
■トピック
・少し前まで「トヨタはEVで出遅れている」という認識&常識でしたよね…?
・ノートオーラ 大ヒット!!!「高価なモノは売れない」常識が覆された!?
・新型Z「ビッグマイナーチェンジなので大したことない」という認識だったような……?
・ここに来て「ブランド力向上」!? マツダに対する常識がまったく変わった!?
・「EVには多段ギアは不要」と言われていたけど、ここのところ…!?
・「後輪モーター駆動の4WDは大したことない」が常識のような感じでしたけど……!?
・アルト、ただの安いクルマという印象が新型で変わった!
・新型アトレーがワゴンなしの4ナンバー車のバンだけに。常識を覆した出来事か?
・半年前までは「日本では公式に中国車は売らない」認識でしたけど……!?
・すみません……(汗)。ヴォクシー、新型にも設定されてました
※本稿は2022年2月のものです。
文/片岡英明、渡辺陽一郎、ベストカー編集部、写真/ベストカー編集部 ほか
初出:『ベストカー』2022年3月26日号
■少し前まで「トヨタはEVで出遅れている」という認識&常識でしたよね…?
この数!「トヨタはEVに消極的」の常識が過去のものに(撮影/三橋仁明/N-RAK PHOTO AGENCY)
■どんな話?…トヨタのこの先の電動化戦略はハイブリッドメインで、EVは消極的と長らく思われ、それが「常識」的感覚だった。が、昨年12月の「EV16台一挙見せ」でその常識が崩れた。
■なぜ「常識」が変わった?
ハイブリッド車や燃料電池車などを世界で最初に量産化したトヨタは、常日頃からバッテリーEVを含めたマルチソリューション戦略をとっていると述べてきた。だが、この発言が海外のマスコミなどから「トヨタはEVに否定的な自動車メーカーだ」と誤解されちゃったんだね。
トヨタは常に販売する地域に最適なクルマ、地球に優しいエコなクルマを送り出そうと努めてきた。そして、カーボンニュートラルのなかのEV戦略については多くを語らなかったのが、昨年12月13日までのトヨタ。
だがその翌日、沈黙を破って社長がEV戦略を発表。EVに否定的という誤解を解くためもあったと思う。
bZ4Xを皮切りに2030年までに30車種のEVを投入し、販売台数も350万台に引き上げた。マスコミの変な正義感がトヨタを本気にさせちゃった部分もあるね。
(文/片岡英明)
■ノートオーラ 大ヒット!!!「高価なモノは売れない」常識が覆されている!?
高価だがお買い得なノートオーラ
■どんな話?…地域によっては標準ノートよりオーラが売れているという。高いモノは売れない、という認識が変わったの?
■なぜ「常識」が変わった?
ノートXは約219万円だが、プロパイロットのセットとLEDヘッドランプを装着すると、総額が約273万円になる。一方、ノートオーラGは約261万円だが、LEDヘッドランプや各種安全装備を標準装着。
プロパイロットやBOSEサウンドシステムなどのセットオプションを加えても総額が約301万円。内外装の質感や走行性能の違いも考えると、ノートXに約273万円を払うよりもお買い得。より高額モデルが売れているワケはこれだ。
(文/渡辺陽一郎)
■新型Z「ビッグマイナーチェンジなので大したことない」という認識だったような……?
■どんな話?…今年6月発売開始に向け、少しずつ「本当の姿」が見えてきた新型Z。当初は「ビッグMCなので大したことない」という認識があったけど、今や!
■なぜ「常識」が変わった?
7代目のフェアレディZが間もなく発売になる。発表された2020年当初、型式が先代と同じ「Z34」と知り、失望したファンが多かったようだ。型式が変わらないとマイナーチェンジだと思われてしまうからね。
でも、プラットフォームを変えることなく新型へとモデルチェンジするクルマはたくさんある。型式は同じでも、前期型と後期型で走り味が大きく変わり、驚かされるクルマも少なくない。
新型フェアレディZはデザインだけでなくパワートレーンも一新された。サスペンションもタイヤも最新のものになっている。重量配分も違う。誰が乗っても14年前のZと別次元であることがわかるだろう。降りたあと、みんなはニコニコしているはずだ。
(文/片岡英明)
■ここに来て「ブランド力向上」!? マツダに対する常識がまったく変わった!?
■どんな話?…(ファンの方はごめんなさい)いまいち突き抜けない雰囲気があったマツダ。昔からマツダを知る世代はそんな印象を持つ方もいると思うが、ここに来て「マツダブランド」が急激に上がっている!(半年前から上がったという明確な区切りではないが……)。
■なぜ「常識」が変わった?
要因は2006年の「2015年ビジョン活動」(通称)を全社で共有したことが大きな転換点という。そこからクルマ作りにこだわり続け、昨年は米国コンシューマーレポート誌でもマツダは抜群の評価。3位スバル(76点)、2位BMW(78点)を抑えて1位がマツダ(80点)。商品力の高さが認められた証だ。
また、この先は今のマツダしか知らない世代がユーザーの中心となる。高いブランドイメージを持つマツダが「常識」になっていくはずだ。
(TEXT/編集部)
■「EVには多段ギアは不要」と言われていたけど、ここのところ…!?
■どんな話?…アクセル踏んだ瞬間、ドーンと加速するのがEV特有の走り。多段ギアは必要なしが常識だったけど、最近変化が!
■なぜ「常識」が変わった?
EVはアクセルを踏んだ瞬間からパワーとトルクが一気に湧き上がる。このモーターのパワー特性ゆえ、従来EVモデルは減速ギアだけで足り、複数のギアを組み合わせる必要はなかった。
が、前後にモーターを配したパワフルな4WDのEVがリアアクスルに自動切り替え式の2速ミッションを採用し、登場。速さや加速感を重視する4WDの高級EVスポーツカーだけは、この先、ミッション付きが常識になるかもしれないね。
(TEXT/片岡英明)
■「後輪モーター駆動の4WDは大したことない」が常識のような感じでしたけど……!?
■どんな話?…「お助け専用」という感じなのが以前の後輪モーター駆動の4WD。が、ノートなどに乗り、その認識が変わった!
■なぜ「常識」が変わった?
かつて、日産がマーチやキューブに採用し、マツダも使った電動4WDは、滑りやすい路面での発進性を高めるために後輪に小さなモーターを付けたもの。お助け専用だから掻き始めしか4輪駆動にならない。
しかし、最新の電動4WDは常に後輪にトルクを伝えてくれる。後輪用モーターもパワフルだ。簡易型だよね、と舐めたらアカン。自在に駆動力配分を変え、「オレ、運転がうまくなったかも?」と思わせてしまう。
(TEXT/片岡英明)
■アルト、ただの安いクルマという印象が新型で変わった!
乗り味にも進化を感じる新型アルト。安モノ感は微塵もなし
■どんな話?…軽のベーシック、アルト。「安いけれど安モノではない」と、先代までの認識(常識)を覆したと評判の新型。進化が著しいのはなぜなんだろう?
■なぜ「常識」が変わった?
新型アルトは従来型に比べてコストを抑えながら質を高めている。マイルドハイブリッド搭載車を選べ、カップホルダーの位置も見直されるなど作りが丁寧。この進化の陰にある目的はユーザー層の拡大。
この先、2030年度燃費基準をクリアするには軽自動車もフルハイブリッドの搭載などを迫られ、価格も高まる。ワゴンRの顧客がアルトへ行く可能性もあり、あらかじめ質感を高めて顧客層も広げたのだ。
(文/渡辺陽一郎)
■新型アトレーがワゴンなしの4ナンバー車のバンだけに。常識を覆した出来事か?
■どんな話?…昨年12月、17年ぶりにフルモデルチェンジしたアトレー。月販目標の8倍の受注数と大人気だが、なんと4ナンバーの商用車登録。なぜ商用車になったの?
■なぜ「常識」が変わった?
先代アトレーは5ナンバー車で後席も広かったが、4名で乗るユーザーはタントを選ぶ。そのために先代アトレーの90%のユーザーは、後席を畳んで荷室として使っていた。さらに「アトレーにも重い荷物を積みたい」というニーズが多く、新型は商用車に変更して350kgの最大積載量も設定している。
つまり新型アトレーは、ハイゼットカーゴの上級仕様ということ。思い切った常識の覆しだ。
(文/渡辺陽一郎)
■半年前までは「日本では公式に中国車は売らない」認識でしたけど……!?
■どんな話?…中国の第一汽車による高級車ブランド「紅旗」が昨年12月大阪に販売店を誕生させ、東京にも「HWエレクトロ」の販売店が登場。日本でも中国車を売る……のがこれからの常識になるの?
■なぜ「常識」が変わった?
中国には多くの民族系メーカーが林立する。最初に日本に上陸したのは高級車ブランド「紅旗」を販売する第一汽車だ。フラッグシップの紅旗「H9」を発売するという。在日中国人は多く、日本で成功した実業家の一部は乗りたがるだろう。この狙いがある。
これを機に他の中国メーカーも日本進出し、割安のファミリーカーをヒット狙いで売る可能性だってなくはない。
(文/片岡英明)
■すみません……(汗)。トヨタヴォクシー、新型にも設定されていました
1月13日に発表・発売されたノア/ヴォクシー。ベストカースクープ班は「次期型にはヴォクシーは設定されない」と述べてきたけど……、すみません。その常識は今や非常識ですね。納期半年待ちと大人気です。(文/編集部)
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