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メルセデス・ベンツE400カブリオレ4MATIC試乗 価格1万ポンド加算 ライバル不在

掲載 更新
メルセデス・ベンツE400カブリオレ4MATIC試乗 価格1万ポンド加算 ライバル不在

もくじ

どんなクルマ?
ー 4MATICとAMGラインが前提のE400

初試乗、ボルボXC40 制約多くも工夫で克服 小型SUVをリードできると判断

どんな感じ?
ー 目を奪われるインテリアに、理想的な加速
ー オープンボディでも快適性は大きく変わらず
ー 隠せないボディの大きさと重さ

「買い」か?
ー 現状、直接的なライバルは存在しない

スペック
ー メルセデス・ベンツE400カブリオレ4MATIC AMGラインのスペック

どんなクルマ?

4MATICとAMGラインが前提のE400

これまでの認識では、コンバーチブルを購入する際の優先事項は、甘美で鮮烈なエンジンを搭載しているかどうかだった。

その理由は簡単。屋根を下せば、エンジンの持つ魅力をより身近に感じ取ることができるのだから。そして屋根を上げれば、室内のラグジュアリーさに引けを取らない、味わい深い洗練されたパワーユニットでもあることが求められる。また、カーボンファイバー製のシャーシを持つようなスーパーカーでもない限り、同モデルのクーペボディより車重が重くなるから、それに見合った力強さも、備えているべき。

今回テストしたメルセデス・ベンツEクラス・カブリオレには、2996ccのV6ツインターボエンジンが搭載されている。このエンジンの最高出力は332ps。最大トルクはわずか1600rpmから48.8kg-mを発生させ、その素質は高そう。

4気筒のディーゼルとガソリンエンジンで構成させるラインナップの中では、トップに位置するパワーユニットとなる。よりコンパクトなCクラスや、大型のSクラスのカブリオレとは異なり、Eクラスにはメルセデス-AMGによるモデルラインナップが備わらないのだ。

そしてE400の場合、4輪駆動の4MATICとAMGラインとなることが前提となる。さらに、大型のアルミホイールとパンチングメタル仕様のフロントグリル、より造形の深いアグレッシブなフロントとリアスカートも付いてくる。

トランスミッションのオプションとしては、唯一9Gトロニック・ユニットがラインナップされ、クーペボディでその卓越したスムーズさは体感済み。

オープンボディとのマッチングはどうだろうか。

どんな感じ?

目を奪われるインテリアに、理想的な加速

目の当たりにすると、かなり巨大なクルマ、というのが正直な第一印象。

この世代のEクラス・カブリオレは、旧モデルと比較して全長も長く、全幅は70mmも広がっている。

まずは驚くほど長く重たいドアを開けて、シートに腰をかけてみる。視界に広がるインテリアの素晴らしい景色に、思わず目を奪われるはず。金属製のソフトトップ開閉に関するスイッチ類が、センターアームレストの前方に追加されている以外は、基本的にクーペとデザインに変更はない。

鮮やかな2面ディスプレイが横に並び、オーソドックスな木目パネルがダッシュボードに広がり、幾つかのプラスティックの他はレザーで覆われている。一回り大きなエンジンを積んだE400は、幾つかのオプションを選択すれば6万ポンド(900万円)を超えるプライスになるが、イタリアの洒落男、といった雰囲気が漂う。

そしてエンジンも素晴らしい。

ツインターボのおかげで低回転域から豊かなトルクが発生し、E400に相応しい、爽快で理想的な加速が得られる。6気筒に拡大されたエンジンにムチを入れれば、過給器の設定もあるが、少しザラついたノイズが耳に届く。

0-100km/h加速は5.5秒で、俊足を誇るホットハッチを上回るようなダッシュを披露するけれど、その過程はいたって平静。おそらく意図した味付けなのだろう。

メーカー公称の燃費は一般的な利用環境で13.8km/ℓ。比較的高めの速度が中心となった、今回のテストでの燃費は12.3km/ℓだったから、それほど大きくかけ離れてはいなさそうだ。

オープンボディでも快適性は大きく変わらず

大きなソフトトップは、ブラウン、ブルー、レッド、ブラックの4色が用意され、クーペと遜色のない上質な仕上がりを得ている。

ルーフを閉じた状態での風切り音は小さくないが、アウトバーンの追い越し車線を走っていない限り、普通に会話を楽しむことができるレベル。意外なことに、車内に侵入するノイズで最も大きなものは、追い越したクルマやすれ違うクルマからの、風圧によるものだった。

ソフトトップの開閉に要する時間は20秒。屋根を開ければ、ヘッドレストに内蔵されたメルセデスではお馴染みのエアスカーフが頭まわりの温度を保ってくれる。寒い日には神の手のように、首元を温めてくれるありがたい機能だ。

さらにフロントウインドウ上端からせり出すエアキャップが、キャビン内への風の巻き込みを驚くほど軽減してくれる。ただ、まだ詰めが甘いようで、100km/hを越えた辺りから大きな風切り音を発してしまう。

乗り心地は、長距離もこなすメルセデスのカブリオレに相応しいものか、という問いには、ほとんどの場面で「イエス」と答えられるだろう。AMGラインのクルマでは標準装備となるエアサスペンションは、ソフトトップ化に伴う90kgの重量増にもかかわらず、充分良い仕事をこなしている。

低速域では、路面の轍や凹凸を車内に届けてしまうのが残念だが、スピードをある程度上げてしまえば、E400の車内を極めてリラックスした空間に維持してくれる。おそらく標準の19インチホイールなら、低速域での振る舞いも改善するだろう。

隠せないボディの大きさと重さ

ボディサイズと、クーペよりも増加した重量のことを考えれば、胸をすくような、シャープな運動性能が得られていないことも納得できる。

ボディロールは節度よくコントロールされているし、余程のことがない限り、4輪駆動だからトラクションを失うようなこともないだろう。ただ、大きなボディサイズを支え、オープン化に伴う強化が施されたシャシーは、発進時やコーナリング時のスローな動きから、その重さを感じ取ることができる。

ステアリングレスポンスの手応えは非常に良いのだが、路面状況がステアリングを握る手にほとんど伝わってこない点は残念だ。といっても、この手のクルマを購入するひとの多くは、これらの点に関して気にすることはほとんどないと思うけれど。

クーペとカブリオレとの相違点を付け加えるなら、キャンバストップを格納する機構が搭載されるため、ラゲッジスペースはクーペよりも65ℓ小さくなるということも、忘れないでおきたい。

「買い」か?

現状、直接的なライバルは存在しない

アウディS5カブリオレの方が、運動性能では勝り俊足ではあるものの、プラットフォームはA4と共有するから、明確にボディサイズは小さい。またメルセデスE400カブリオレと並べてしまうと、特別感という点でも見劣りしてしまう。

しかも、BMW 6シリーズはだいぶ古いモデルになってしまった。

メルセデスには、4気筒エンジンを搭載したE300カブリオレもある。目につくほど鈍足というわけではないし、このトップグレードとなるE400と比較すると、1万ポンド(150万円)も安価に手に入る。ただし、洗練性という点では若干物足りないことも事実だ。

この、パワフルでラグジュアリーなメルセデス製カブリオレの直接的なライバルは、今のところ存在しないと言って良いだろう。

メルセデス・ベンツE400カブリオレ4MATIC AMGラインのスペック

■価格 5万5715ポンド(835万円)
■全長×全幅×全高 ―
■最高速度 249km/h
■0-100km/h加速 5.5秒
■燃費 11.6km/ℓ
■CO2排出量 194g/km
■乾燥重量 1935kg
■パワートレイン V型6気筒2996ccツインターボ
■使用燃料 ガソリン
■最高出力 332ps/5250-6000rpm
■最大トルク 48.8kg-m/1600-4000rpm
■ギアボックス 9速AT

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