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トヨタ新型SUV「カローラクロス」日本発売…海外仕様と顔が違った。価格は200万円切りからスタート

掲載 更新 8
トヨタ新型SUV「カローラクロス」日本発売…海外仕様と顔が違った。価格は200万円切りからスタート

トヨタは9月14日、新型カローラ クロスを発表、同日より発売した。パワートレーンは1.8Lハイブリッドと1.8Lガソリンの2機種。ハイブリッド車には4WDも設定。価格は、ハイブリッド車が259万~319万9000円。ガソリン車は199万9000~264万円。

■カローラ待望のSUV

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SUV人気はとどまることを知らない。ついにカローラにもSUVが誕生した。その名も「カローラ クロス」。カローラ史上、初のSUVだ。

カローラは1966年の初代登場以来、時代と人々のニーズに寄り添いモデルラインアップをそろえてきたグローバルモデル。セダン、ワゴン、ハッチバック、クーペなどボディタイプはさまざまだったが、今時代はSUV。現代の購買層が求めるクルマの姿にトヨタが応じたわけだ。

カローラ クロスはすでに2020年7月からタイに投入されているモデルで、現地では大人気になっているという。ネーミングこそ同じだが、じつはタイ仕様と日本仕様は細部が異なる。その詳細は後述する。

カローラシリーズは150以上の国と地域で発売され、21年7月にはグローバル累計販売5000万台を突破したビッグネーム。現行型から日本でもようやくグローバルモデルと同じプラットフォームを使うようになった。トップバッターであるハッチバックのカローラ スポーツは、全幅1790mmと世界共通のワイドボディを採用。続いて登場したセダンとワゴンは、購入層を意識してわざわざナロー仕様(1745mm)に変更。このきめ細やかさはさすがだ。

しかしカローラ クロスは、フェンダープロテクターなどでさらにワイドな全幅1825mm。つまり、カローラシリーズのなかで、もっとも幅広でどっしりとしたスタイルを持つモデルなのだ。クロスオーバーながら、SUVらしい雰囲気もしっかり表現できている。満を持して、激戦区に“クロス”で参戦する。


■じつはタイ仕様とかなり違う

例えばステーションワゴンやハッチバックをベースにクロスオーバー化する手法はよくある。そんな視点でほかのカローラとカローラ クロスを見比べてみると……じつはデザインがまったく違う。外板パネルに共通性は見当たらないのだ。

カローラ クロスは前後のフェンダーが大きく張り出したデザインを採用。そのワイド感を強調するように、前後ドアにはフェンダーに続く膨らみを持たせている。前後タイヤを囲うモールを取って付けた“なんちゃってデザイン”ではないのだ。

先行したタイ仕様と日本仕様を見比べると、けっこうデザインが違う。まず目に止まるのは、フロントフェイスの大幅変更だ。

タイ仕様はトヨタのピックアップトラック「タンドラ」などが採用する、ボンネットフードまで立ち上がる大きく迫力あるグリルが特徴的。対して日本仕様は、ヘッドライトを横につなぐ薄いアッパーグリルがあり、その中央にカローラのロゴである「C」のエンブレムをレイアウト。さらにその下には台形の大きなロアグリルが配置されている。力強さに重きを置いたタイ仕様よりも、都市型SUVといった雰囲気を感じる。

ヘッドライト内部のデザインも日本専用。日本仕様はバイビームのLEDヘッドライトを採用、最上級のZグレードにはLEDのシーケンシャルターンランプ/クリアランスランプ/デイタイムランニングランプを装備。やはり先進性を意識させる。

なぜここまでデザインを変更したのか? タイは洪水が頻発し、SUVなど車高が高いクルマの人気が高まりつつある。そういった意味で、SUVならではの力強いデザインのほうがユーザー受けするのだろう。タイ仕様のバンパーはブッシュバー的なデザインだし、その下端はスキッドガード風のデザインになっているのも日本仕様との違いだ。

バックドアのデザインは基本的にタイ仕様と同じだが、リヤコンビランプとバンパーの意匠は日本専用。バンパーロア部はタイ仕様がフロントと同様のスキッドガード風なのに対し、日本仕様もよく似たデザインだがワイド感を強調するように横長の光輝パーツを装備。リフレクターなどの形状も含め、細部にもかなり違いがある。

ちなみに生産はトヨタの高岡工場。タイからの輸入モデルではない。

そしてボディサイズを確認。カローラ スポーツと比較すると、ホイールベースは2640mmと同じだが全長は115mm長い4490mm。セダンやワゴンモデルとほぼ同じ長さだ。そして全幅はスポーツより35mm広く、全高も160mm高い。同じプラットフォームを採用する兄弟車たちよりも、カローラ クロスのほうがひとまわり大きく立派に見える。


■微妙に違うインパネのデザイン

外観はオリジナリティにあふれる一方、インテリアはよく見慣れた雰囲気。基本デザインは、ほかのカローラと同じ…と思いきや。

インパネ助手席側をよく見ると、ステッチラインが水平になっている。ほかのカローラは斜めに分割するようなデザインだ。じつは運転席側のエアコンアウトレット下にもステッチが入っている。センターコンソールの意匠もほかのカローラと異なるなど、見れば見るほど違いがある。

ちなみにこれらのデザインは、メーターなどを含めてタイ仕様のカローラ クロスと同一。前述した外観ほどの差別化は行われていない。

インパネ中央に配置されたディスプレイオーディオは全グレードに7インチが標準装備。Sグレード以上には9インチ(6スピーカー付き)がオプション(2万8600円)で用意される。Sグレード以上を購入する場合はぜひ選びたいところだ。

本革ステアリングは、最廉価グレードのG X以外に標準だ。オプティトロンメーターとその中央にレイアウトされる7インチTFTカラーマルチインフォメーションディスプレイは、Sグレード以上に標準設定、それ以外のグレードはアナログメーター+4.2インチTFTカラーマルチインフォメーションディスプレイに格下げとなる。こうした点からも、装備の充実度で選ぶならSグレード以上がオススメだ。

シートはZグレードのみが電動タイプ(運転席は8ウェイ)。肩まわりや座面のふちは本革、体が密着する部分には通気性がいいファブリックのコンビ表皮だ。ほかのグレードは運転席が6ウェイの手動式。シート地はファブリックのみとなる。

まだ実車は確認できていないが、写真を見るかぎり後席の足元スペースはほかのカローラと同様だと推測できる。実際、ホイールベースは2640mmと同じだ。だが前席着座位置を55mm高くしたことで、後席足元の自由度が増したという。

一方、荷室容量はクラストップレベルの487Lを確保。詳細は後述するが、リヤサスペンションをほかカローラのダブルウイッシュボーンからトーションビームに変えたことで荷室容量を増大できたようだ。さらにカローラ クロス専用設計の高機能収納ボックス「ラゲージアクティブボックス」(純正用品)も開発。荷物を車外から見えない状態で収納できるほか、フタを閉じると荷室の床面がフラットな空間として活用できるなど、多彩なアレンジが可能となる。また、荷室開口部は地面から720mmと低めの設定。SUVらしく、荷室の使い勝手にはかなりこだわっている。


■リヤの足まわりは専用開発

パワートレーンは1.8Lハイブリッドと1.8Lガソリンの2機種で、スペックもほかのカローラと同じ。車重はカローラ ツーリングに対して約20kg増えたが、加速性能に不満は出ないはず。トランスミッションはハイブリッド車、ガソリン車ともにローギヤード化されたが、これはタイヤの大径化によるもの。それでもハイブリッド車の燃費はクラストップレベルの26.2km/L(WLTCモード)を誇る。

4WDは電動タイプのE-Fourで、ハイブリッド車のみに設定されている。じつはタイ仕様のハイブリッドには4WDがない。降雪地域が多い日本では、ハイブリッド4WDの設定が不可欠と考えたのだろう。昨今のトヨタらしい戦略でもある。

ちなみに1.2L直4ターボはなく、当然、6速MTも設定されない。

車台はほかのカローラと同じGA-Cプラットフォーム。しかし、サスペンションの設定が変わっている。これまでリヤにはダブルウイッシュボーンを採用してきたが、カローラ クロスはトーションビームなのだ。じつはこのサスペンションは新開発で、大型ゴムブッシュと合わせることで荒れた道でもしっかり路面を捉えるしなやかな走りを実現。荷室容量アップにも貢献している。一方で4WDは変わらずダブルウイッシュボーンだが、アーム類の取り付けを最適化して走りを磨いている。

これらサスペンションの組み合わせによってカローラ クロスがどんな走りを見せるのか楽しみだ。


■考え抜かれた価格設定

カローラ クロスが属するCセグメントSUVは大激戦区。全面刷新したばかりのヴェゼルを筆頭にXV、CX-30など個性派ぞろいだ。身内ではスタイリッシュなデザインとハンドリングのよさで一世を風靡したC-HRも同じカテゴリー。さらに下のクラスに目をやれば大ヒット中のヤリス クロスもいる。トヨタ内でのセールス合戦も展開されそう。

ここでは価格を軸にライバルと比較してみる。カローラ クロスの最上級ハイブリッドZ・4WDは319万9000円。ヴェゼルe:HEV Z・4WDが311万8500円とかなり近い。FFの最上級グレード同士で比較すると、カローラ クロスが299万円、ヴェゼルはe:HEV プレイが329万8900円。トヨタはヴェゼルを最大のライバルとし、巧みな価格を設定したのがわかる。

CX-30は、クラスこそ同じだが価格帯はひとつ上。もっとも安価な2Lガソリン・FF車でも239万2500円。注目のスカイアクティブX搭載車はFFでも329万4500円からの設定だ。内外装のクオリティを見るにライバルは輸入車か。さらにMTを多くのグレードで選べるという魅力もあるが、全体的に価格が高いため、カローラ クロスの直接的ライバルにはなりにくい。

走破性の高さと求めやすい価格が魅力のXV。ハイブリッドのアドバンスを選んでも292万6000円と安価。1.6i-Lアイサイトなら233万2000円だ。全車4WDというから、この安さには恐れ入る。

価格重視ならヤリス クロスも強力なライバルで、最上級のハイブリッドZ・4WDを選んでも281万5000円。カローラ クロスと価格が近いCH-R含め、全車を扱うようになったトヨタ販売店は、どう売り分けるのか。この三つどもえにうれしい悲鳴を上げているのかもしれない。


■カローラクロスのスペックを見る
■カローラ クロス主要諸元
<ハイブリッド車>
グレードはZ(FF・電気式無段変速)、〈 〉内はS(4WD・電気式無段変速)
【寸法】
・全長:4490mm
・全幅:1825mm
・全高:1620mm
・ホイールベース:2640mm
・トレッド:前1560〈1570〉mm/後1570mm
・最低地上高:160mm
・車両重量:1410〈1490〉kg
・室内長:1805mm
・室内幅:1505mm
・室内高:1265mm

【エンジン・性能】
・型式:2ZR-FXE
・種類:直4DOHC
・ボア×ストローク:80.5mm×88.3mm
・総排気量:1797cc
・最高出力:72kW(98ps)/5200rpm
・最大トルク:142Nm(14.5kgm)/3600rpm
・使用燃料・タンク容量:レギュラー・36〈43〉L

【モーター・性能・動力用主電池】
・型式:前1NM/〈後1MM〉
・種類:交流同期電動機
・最高出力:前53kW(72ps)/〈後5.3kW(7.2ps)〉
・最大トルク:163Nm(16.6kgm)/〈後55Nm(5.6kgm)〉
・電池種類:リチウムイオン電池〈ニッケル水素電池〉
・電池容量:3.6〈6.5〉Ah
・WLTCモード燃費:26.2〈24.2〉km/L

【諸装置】
・サスペンション:前ストラット/後トーションビーム〈ダブルウイッシュボーン〉
・ブレーキ:前Vディスク/後ディスク
・タイヤ:前後225/50R18〈215/60R17〉

<ガソリン車>
グレードはG(FF・CVT)
【寸法】
・全長:4490mm
・全幅:1825mm
・全高:1620mm
・ホイールベース:2640mm
・トレッド:前1550mm/後1560mm
・最低地上高:160mm
・車両重量:1330kg
・室内長:1805mm
・室内幅:1505mm
・室内高:1265mm

【エンジン・性能】
・型式:2ZR-FAE
・種類:直4DOHC
・ボア×ストローク:80.5mm×88.3mm
・総排気量:1797cc
・最高出力: 103kW(140ps)/6200rpm
・最大トルク: 170Nm(17.3kgm)/3900rpm
・使用燃料・タンク容量:レギュラー・47L
・WLTCモード燃費:14.4km/L

【諸装置】
・サスペンション:前ストラット/後トーションビーム
・ブレーキ:前Vディスク/後ディスク
・タイヤ:前後215/60R17

〈文=丸山 誠〉

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みんなのコメント

8件
  • 例え戦略価格でも興味を持ってもらえて交渉に乗せられるなら他のメーカーもやれば良いのに。
  • トヨタはえげつない。ライバル車を潰しに来ているだけ。インサイト潰しもそうだったけど。ライバルがいないと、アホみたいな値段設定にするくせにな。日産を始めとして他メーカー凋落して、かっこ悪く、高い普通車ばかりになった。かつての様に日産に脅かして欲しい。新型Zが久々に気持ちの良い対抗馬になった様に。ゴーンとトラックメーカーから来た戦犯が
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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