国交省の監査で合計130事業所に「違反行為」が発覚
昨年7月28日に初めて国交省(地方運輸局)がビッグモーター34事業所(工場等)に立ち入り検査を行った。
【画像】ビッグモーター全国130事業所に行政処分 関連の写真をみる 全20枚
検査の結果は10月24日に行政処分として出されており34すべての事業所に対して「指定取り消し」/「事業停止」/「文書警告」など、何らかの行政処分が下されている。
その後も、2024年に入ってから1月30日/2月14日、そして直近となる2月21日に出された行政処分によって合計130か所の事業所が処分を受けている。時系列で処分を受けた事業所の数を記すまえに「指定自動車整備」と「特定整備」について少し説明を加えておきたい。
指定自動車整備業(指定工場)
いわゆる「民間車検場」と同じ意味。「指定取り消し」とは、指定工場としての資格を失うこと。
簡単に言うとそこでは車検のための分解整備(特定整備)はできても、検査員による保安基準適合証は発行できない。指定を取り消された事業所で車検を通す際には分解整備(特定整備)を行ったあと、最寄りの運輸支局に車両を持ち込んで検査ラインを通すことになる。再び指定工場としての資格を復活させるには最低でも2年が必要とされる。
特定整備事業(認証工場)
特定整備とは従来からの「分解整備」に電子制御装置(自動ブレーキなどに使用される前方を監視するカメラやレーダーなどの調整や自動運行装置など)の整備を加えたもの。
特定整備事業を行うための認証要件には工場の寸法(間口や奥行きなど)や義務付けられた作業計器などの設置条件を満たす必要がある。令和6年4月で4年にわたる経過措置が終了するので特定整備事業を行う認証工場は新たな認証を受ける必要がある。
4回にわたる監査で過去2年間の記録簿などを全数検査
処分を行った複数の地方運輸局に聞くと、これらは監査に入った日からさかのぼって少なくとも過去2年間、その工場で扱った修理や整備、車検について全数を調査しているとのことである。
1.2023年10月24日
【処分内容】
指定自動車整備事業:12事業場での取消、11事業場での停止(20日~180日)
自動車特定整備事業:34事業場での停止(15日~90日)
2.2024年1月30日
【処分内容】
指定自動車整備事業:4事業場での取消、10事業場での停止(5日~185日)
自動車特定整備事業:15事業場での停止(10日~30日)
3.2024年2月14日
【処分内容】
指定自動車整備事業:5事業場での取消、11事業場での停止(15日~80日)
自動車特定整備事業:22事業場での停止(15日~25日)
4.2024年2月21日
最新の本処分で、38事業場を加えて合計130事業所での処分となる。
【処分内容】
指定自動車整備事業:15事業場での取消、12事業場での停止
自動車特定整備事業:30事業場での停止
行政処分を受けるに至った違反については各事業所によって異なるが2月9日に発表された浜松東店の例を挙げると画像の通りとなる。
ほかにも全国各地で処分を受けたビッグモーターの「主な違反」には「点検整備の過剰請求」(道路運送車両法第91条の3違反)の項目が多数、見られる。
また、同じ過剰請求では「板金作業等の過剰請求」(道路運送車両法第91条の3違反)の項目もある。ビッグモーター古賀店の処分内容を確認いただきたい。
過剰請求、ボッタくりはどのように行われたのか?
これら行政処分の対象となった過剰請求はどのように行われたのだろうか?
まずはビッグモーター問題の発端となった「保険修理金の水増し請求」についてだが、こちらは、ニュースなどでも盛んに取り扱われてきたので知っている! という方もいるだろう。
例えば、雹(ひょう)災(ピンポン玉サイズの雹が大量に降って、クルマのボディを傷つける)を受けたクルマが入庫してきたとする。雹によってできた損傷をさらに広げて保険修理の利益を水増しするためにゴルフボールを軍手などに入れて車体を叩き、損傷部分を広げる…といった手法である。
わざと傷を作り出し、その修理代金を保険会社に不正に水増し請求することでビッグモーターの板金工場で利益を増やすわけだ。元板金工場の作業員に話を聞いたところ、これらはほぼすべてが保険修理であり一般客の自費修理はないとのこと。
ごくたまに自費修理もあったが、その際はお客さんと相談しながら見積もりを作るとのことで過剰請求はなし。そして板金の過剰請求はすでに保険会社への返金が始まっている。
問題は点検整備の過剰請求である。これは車検整備や定期点検の際の請求となるため、まず保険を使うことはなく一般ユーザーが自費で支払っている請求だ。ビッグモーターでは年間26万件もの車検を行っていたというから、その数はすさまじいものになる。
地方運輸局や国交省は何をもとに「過剰請求」と判断したのか? 3か所の地方運輸局に電話で聞いたことをまとめると、一言でいえば「やる必要のない整備をやったことにして客に請求した」ということになる。
やる必要のない整備や調整をやったことにして請求
例をあげてみよう。車検の検査項目に「サイドスリップ検査」というものがあるが、これはクルマの直進性を測定する検査であり合格の基準は「1m走行して5mmを超えて横にずれてはいけない」である。
ビッグモーターでは検査の結果サイドスリップの数字に問題がなく調整する必要もないにも関わらず、調整したことにして費用を請求していた。
他には監査に行って記録簿上の内容と請求書の内容を突き合わせて確認するが、記録簿上では部品を交換していないのに、請求書には部品が交換されたとして計上されている。このような場合も「過剰請求」とみなしているとのことであった。非常に悪質であり、返金されて当然である。
ビッグモーターの公式サイトにある「インフォメーション」にはこれら行政処分に対する対応が記されている。
【今後の対応】
対応に不備のあったお客様に対しては、無料で再整備・点検を実施させていただきます。対象のお客様には順次弊社より個別にご連絡させて頂きます。
当該事業場で車検・整備をご予約いただいておりますお客様に関しても、順次今後の対応をご連絡させて頂きます。(中略)国の認可を受けた指定自動車整備事業者及び自動車特定整備事業者として、責任のある整備等を実施する立場にありながら、このような事態を招いてしまったことにつき、改めて深くお詫びいたします。今後は、お客様からの信頼回復に向けて全社を挙げて尽力して参ります。
・対象の客には個別に連絡し、無料で再整備や点検を実施する。
・国の認可を受けた整備事業者として客からの信頼回復に向けて全社を挙げて尽力する。
まとめるとこのような内容になるだろう。
ビッグモーターに聞いてみた!過剰請求の返金はされるのか?
再整備や点検はもちろん無料であるし「車検項目の一部を検査せずに車検合格」としているわけなので、再車検を受けることは道路運送車両法に従って当然のことだ。
国交省や地方運輸局からその後、きちんと対応されているか? というお知らせのはがきがユーザー宅に届くこともあるという。では過剰整備への返金はどうなるのか?
それについて筆者からビッグモーター広報担当者に聞いたところ、以下のような答えが返ってきた。
「点検整備料金の過剰請求」分がユーザーに返金されるのか?
→対象となるお客様には適切な対応を都度ご相談させていただいております。
とのこと。お客に「適切な対応を都度相談」しているとのことなので、その「適切な対応」の中には返金も含まれると思ってよいだろう。そもそも、前述したように「やる必要のない整備をやったことにして請求(=全く何も整備してない)」しているわけだから、返金されるのは当然。ビッグモーターから連絡があった皆さんは過剰請求の内容をしっかり確認して、返金を求めるべき。
なお、どこの店や工場がどのような処分を受けているかについては、ビッグモーターの公式サイトをご覧いただきたい。トップページ→インフォメーション→「不適切な特定整備等に関する行政処分につきまして」で探してみてほしい。
問い合わせはこちらに→ビッグモーター お客様相談窓口
フリーダイヤル:0120-733-500
【受付時間】午前10時~午後6時(日祝除く)
より詳細な内容を確認したい場合は、国交省の「ネガティブ情報等」検索サイトで探すのがおすすめ。
その際には
事業者名→「ビッグモーター」または「ビーエム」、都道府県→東京都(地方であっても本社所在地になるので)で検索するとずらっと出てくる。
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みんなのコメント
これはビッグモーターだけの話じゃ無いだろ。
ディーラー整備にもっとメスを入れるべき。
組織犯罪企業の言い分は、【誤請求】 不正車検も6500台バレてました。