NEDOは、高い効果が見込まれる省エネルギー技術開発の助成事業に取り組んでおり、今般、同事業において、サステナブル・エンジン・リサーチセンター:SARCが、ガスコージェネレーションシステム用の試験用単気筒ガスエンジンシステムを製作し、世界最高水準の超高出力運転を達成した。
コージェネレーションシステム※1(コージェネ)は、省エネルギー化を推進する上で重要な技術として注目される一方で、現行のコージェネ製品機では熱電比※2が高く、発電時の排熱を使い切れず、十分な経済効果が得られない場合もあるために、地域冷暖房や食品工場などの熱需要が比較的高い分野での導入にとどまっている。そのため、コージェネの一層の普及に向けて、コージェネの発電効率を大幅に向上させ、供給するエネルギー(電気と熱)に占める電気比率を高める製品を開発し、電力需要が高い分野での導入拡大につなげることが強く求められている。特に普及が望まれる出力210kW~5MW級のコージェネの発電効率を高めるには、原動機であるガスエンジンの熱効率向上が必要であり、そのためには、ガスエンジン内部の燃焼量増加に直結する正味平均有効圧力(Pme)※3の向上が有効だ。
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そこで新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、2015年度に、サステナブル・エンジン・リサーチセンターとともに、コージェネ用ガスエンジンの性能や課題に関する調査事業※4を行い、ガスエンジンのPmeを現行のエンジン仕様よりも1メガパスカル(MPa)程度高めることで、発電効率が約2.8%(LHV※5基準)改善することを推計した(図2)。一方で、コージェネ用ガスエンジンには予燃焼室(副室)式※6希薄燃焼方式が多く採用されており、Pmeを高めると、燃焼・圧縮時にガスエンジン内部の未燃ガスが圧縮されることで異常燃焼の発生リスクが高まり、ガスエンジンを安定運転する上での障壁となる。そのため現行機のPmeは、ここ10年の間、最大で2MPa強だった。また、従来は、発電効率を高めるための要素技術開発から製品開発までの大半を国内のガスエンジンメーカーが個社のみで対応しているほか、2000年代以降は技術トレンドに大きな変化が無く、発電効率は改良の積み上げによるわずかな改善にとどまっていた。
こうした背景からNEDOは、コージェネ用ガスエンジンの効率的なイノベーション創出を目的とする産学連携コンソーシアムを構築するとともに、コージェネ用高効率ガスエンジン技術開発に関する助成事業※7を2017年に開始した。
そして今般、同事業において、サステナブル・エンジン・リサーチセンターは、高出力燃焼研究を効率的に進めるための超高圧ガス圧縮機を含む試験用単気筒ガスエンジンシステムを製作した。さらに、その試験用単気筒ガスエンジンシステムを用いて、Pmeを現行製品機仕様に比べて1MPa程度増となる3MPaという世界最高水準の高出力運転を、異常燃焼が発生しやすい低メタン価の燃料で実現した。超高出力運転により、ガスエンジンの熱効率を高められることで、機械効率の向上や排気エネルギーの回収と合わせて発電効率を国内の現行製品機比2.8%(LHV基準)以上高めることを目指す。これにより、従来は、ガスコージェネを導入したものの排熱を使い切れずに十分な経済効果が得られなかった工場のほか、ビルや病院、ホテルなど電力需要が高い施設でのガスコージェネの導入促進につなげる。
今回の成果
【1】高出力燃焼研究を行える試験用単気筒ガスエンジンシステムの製作
ベース性能としてPmeが2MPaの単気筒ガスエンジンの試験機と、超高過給を行うための高圧ガスおよび空気圧縮機などを含む試験用単気筒ガスエンジンシステムを製作した(図1、図3)。
【2】超高出力運転を実現する燃焼技術の確立
超希薄燃焼を安定的に実現するため、エンジン燃焼に関わる諸条件を工夫することで、メタン価の低い燃料でも異常燃焼を抑制しながら、Pmeが3MPaという世界最高の超高出力運転を達成した。
【3】普遍性の高い相似則を見出し、実機設計のための性能予測を行う1D・3Dシミュレーション技術の開発
シリンダーの内径(ボアサイズ)が異なるエンジンでも、超高出力運転が可能な設計が行えるよう、相似則※8を用いて性能予測を行う技術開発を進め、試験用単気筒ガスエンジンシステムでの試験結果を再現できる1D・3Dシミュレーション技術を開発した。
今後は、安定的に広い運転条件でも目標出力を達成する方法を見出し、エンジンメーカーやガス会社などの産業界・大学が参画する産学連携コンソーシアムと密に連携しながら、エンジンサイズに対する相似則の精度を高めた実機設計のためのシミュレーション技術を確立し、ボアサイズの異なるさまざまなメーカーのエンジンに本要素技術が適用されることを目指す。これらの活動を、一般社団法人日本ガス協会と連携して実施し、発電効率を高めたガスコージェネの国内での普及に努める。
※1 コージェネレーションシステム
一つのエネルギーから複数のエネルギーを同時に取り出すシステム。将来のエネルギー需給構造のあるべき姿を示す「長期エネルギー需給見通し」(経済産業省 資源エネルギー庁、平成27年7月)では、コージェネレーションが電源構成の一部として位置づけられ、2030年で1,190億kWhという発電電力量が初めて記載された。その中で、ガスコージェネレーションシステムは、クリーンな都市ガスを燃料とし、発電時に出る排熱で蒸気や温水を発生させ、生産プロセス・給湯・冷暖房などに利用する仕組み。
※2 熱電比
回収される熱エネルギーと電気エネルギーの割合(熱負荷/電力負荷)を指す。
※3 正味平均有効圧力(Pme)
Brake Mean Effective Pressure(Pme)。ガスエンジンが単位容積当りにする仕事量を圧力単位で示した物理量。(ガスエンジン内部の燃焼ガスが1サイクル中にする仕事量)/(行程容積:ピストンの断面積×下死点から上死点までの距離)で算出する。
※4 調査事業
事業名:戦略的省エネルギー技術革新プログラム/省エネルギー技術開発事業の重要技術に係る周辺技術・関連課題の検討/超高過給リーン燃焼方式コージェネ用ガスエンジンの性能評価と課題調査。事業期間:2015年度
※5 LHV
低位発熱量のこと。燃料が燃焼する時に発生するエネルギー(発熱量)を表す際の条件であり、燃料の燃焼によって生成された水蒸気の蒸発潜熱を取り除いたエネルギー(発熱量)を示す。真発熱量とも呼ばれる。
※6 予燃焼室(副室)式
シリンダーヘッドに設けられた予燃焼室(副室)に燃料の噴射を行う形式。
※7 コージェネ用高効率ガスエンジン技術開発に関する助成事業
事業名:戦略的省エネルギー技術革新プログラム/テーマ設定型事業者連携スキーム/コージェネレーション用革新的高効率ガスエンジンの技術開発。事業期間:2017年度~2021年度
※8 相似則
複数の相似な系において、一定の条件下で物理量の比が系の大きさによらずにある一定値を取るという法則。
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