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【Mを冠する純EVサルーン】BMW i4 M50へ試乗 総合543psの四輪駆動 後編

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【Mを冠する純EVサルーン】BMW i4 M50へ試乗 総合543psの四輪駆動 後編

既存のBMWオーナーを落胆させない魅力

執筆:Greg Kable(グレッグ・ケーブル)

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翻訳:Kenji Nakajima(中嶋健治)


BMW i4 M50が搭載する駆動用モーターは2基。フロント側は257psと43.7kg-mを、リア側は312psと37.1kg-mを発揮する。システム総合では、M4コンペティションより33psと14.7kg-mたくましい、543psと80.8kg-mを繰り出すことになる。

駆動用バッテリーの実容量は80.7kWh。電圧400Vで稼働し、航続距離は416kmから521kmがうたわれる。試乗車のタイヤはオプションとなるピレリPゼロ、255/30の20インチを履いていた。

サスペンションは、フロントがクファーソンストラット式で、リアがマルチリンク式。これは新しい4シリーズ・グランクーペと共通する。i4 M50の場合はアダプティブダンパーと、リア側にエアスプリングが組まれる。

トレッドはフロントで26mm、リアで12mmワイド化。ボディの前後には、剛性を高めるブレースも追加されている。一方で地上高は、4シリーズ・グランクーペより20mm高められている。

基本的な確認はこのくらいにしておこう。果たしてi4 M50のドライビングフィールには、既存のBMWオーナーを落胆させない魅力的な共通性がある。全体的に、BMWの内燃エンジンモデルと似ていると感じた。

アクセルペダルは、踏み込み量に対するキャリブレーションや、ペダルの重み付け、感度も良好。レスポンスに長ける駆動用モーターと組み合わさり、コンフォート・モードで走る市街地は、低速域でも気持ちイイ。

i4 M50は四輪駆動。だが市街地などでは、リア・モーターだけを動かし後輪駆動として走る。

スムーズな加速と後輪駆動に近い質感

i4 M50が光り出すのが、速度域の高い郊外の道。この領域では前後のモーターが協働するようになり、四輪駆動としての実力を発揮し始める。2.2tを超えるボディを背負っていても、極めて速い。

0-100km/h加速時間は、ブースト・モードで3.9秒。M4コンペティションの3.5秒と比べれば0.4秒のビハインドだが、ポルシェ・タイカンSの3.8秒とほぼ並ぶ。大きな車重が生む慣性を考えれば、御の字といえる。

中間加速も不足はない。駆動用モーターは8000rpmから1万7000rpmの間で最高出力を発揮するという。

トランスミッションはシングルスピードで、加速はスムーズでリニア。高速道路の速度域を超えると、転がり抵抗と空気抵抗が増大し、加速力は徐々に鈍くなっていく。

新しい四輪駆動システムのおかげで、トラクションも突出して高い。シャシーの制御システムと統合され、後輪左右の駆動力を調整するトルクベクタリング機能も備わる。

ステアリングのレスポンスは、従来のMモデル級に即時的というわけではない。だが、カーブの連続する区間では、大きな質量を見事に制御できていることに感心させられた。

スポーツ・モードの動的特性は充分に魅力的。四輪駆動システムは、後輪駆動に近い質感を生むようにプログラムされ、コーナーではトルクベクタリングの効果も実感できる。

フロントモーターもタイヤを駆動するため、オーバーステアの徴候は即座に抑え込まれるようだった。結果、コーナリング特性はニュートラル。頂点を過ぎたらパワーオンで加速し、鋭い脱出へつなげていける。

力強い動力性能と魅力的なシャシー性能

乗り心地は、オプションの20インチタイヤの影響もあり、かなり硬い印象。とはいえフロントがコイル、リアがエアスプリングという組み合わせで、サスペンションのストロークは長く路面への追従性には優れる。

コンフォート寄りのドライブモードを選べば、平滑ではない路面でも乗り心地に悩まされることはないと思う。英国の路面環境ではどうだろう。

回生ブレーキは、シフトレバーを操作することで2段階に変更できる。標準のDモードでは、アダプティブ回生ブレーキが有効となり、走行している地形や周囲の交通状況に応じて、惰性走行から軽い減速までをカバーする。

Bモードへ切り替えると、積極的に運動エネルギーを電気エネルギーに変換するようになる。さらにインフォテインメント用モニターから、ライト、ミディアム、ハイの3段階に強さを切り替えられる。

Bモードでハイを選べば、ワンペダルドライブも可能。発進から停止まで、アクセルペダルの操作だけでスマートに行える。

ブレーキペダルを踏んだ感触は、現在の純EVとして白眉。摩擦ブレーキと回生ブレーキとのバランスのさせ方が素晴らしい。

i4 M50の最大のストロングポイントは、力強い動力性能と、魅力的なシャシー性能にある。ブースト・モードを選べば、スポーティな運転を楽しみたいと考えるドライバーを納得させることもできると思う。

ドライバーに対する訴求力は相当に高い

知的な四輪駆動システムと余裕のあるパワーで、BMW i4 M50は望ましい道に出れば極めて速い。惹き込まれるようなドライビング体験を得ることができる。

同時にコンフォート・モードを選べば、洗練された穏やかなドライブに浸ることも可能。高速道路の速度域なら、リアの駆動用モーターの力だけで滑走するように進んでくれる。

確かに純EVの専用プラットフォームではないことで、大人5名での移動を快適に過ごせる車内空間は備わっていない。しかし2面性を持ったキャラクターもあり、BMW i4 M50のドライバーに対する訴求力は相当に高いといえるだろう。

BMW i4 M50(欧州仕様)のスペック

欧州価格:6万3905ポンド(971万円)
全長:4785mm
全幅:1852mm
全高:1448mm
最高速度:225km/h
0-100km/h加速:3.9秒
航続距離:416-521km
電費:−
CO2排出量:−
車両重量:2215kg
パワートレイン:ツイン同期モーター
バッテリー:80.7kWhリチウムイオン(実容量)
最高出力:543ps(システム総合)
最大トルク:80.8kg-m(システム総合)
ギアボックス:シングルスピード

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みんなのコメント

2件
  • 欧州価格で約971万円では…日本価格は一体いくらになるのだろう。
    1400万円ぐらいか?
    エンジン積んでいる車の方が断然安い。
    今のところ自然に優しく貢献できるのかもしれないが、人間には優しく貢献できていないな。
  • 個人的にはメルセデスみたいにEVらしいデザインにしてもらったほうがよかったですね。リアのマフラーがあった場所の処理とかフロントのグリルとか余分なデザインに感じてしまいます。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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