大きな出力差と小さな重量差
では、走らせるとどうか。いっぽうはセダン、もういっぽうは背が高いSUVなのだが、重量差は105kgしかない。重いのはBMWのほうで、2.5tに迫ろうという勢いだ。
どちらもバッテリーの実用容量は100kWをわずかながら上回り、DC急速充電は最大200kW。異種の金属素材をミックスした新設計のEV専用プラットフォームを用い、四輪アダプティブエアサスペンションと四輪操舵を備える点も共通している。
ここまではいい勝負だ。しかし、メルセデスが用意した試乗車はエントリーレベルのグレードで、モーターは1基のみ、出力は334psの後輪駆動。対するBMWは中間グレードの2モーターで、523psの4WD、しかもSUVである。
シュトゥットガルトへ10万ポンド(約1550万円)送金したら、この2台のEVのうちで車高が低く、スマートで、遅いが長く走れるほうが手元に届く。メルセデスの公称データでは、航続距離は仕様によるものの最大729km。これは、たしかにインパクトのある数字だ。
航続距離には大きな開きが
気温が10℃を下回るテスト時のコンディションと、市街地でもそれ以外でもやや極端な使い方をした影響で、450+としては上位仕様となるテスト車のトリップコンピューターは、563~612km程度の走行可能距離を示した。これがもっと温暖な気候で、ホイールサイズが小さく、もっと一般的なツーリングのように巡航したなら、必要とあれば640km以上の航続距離を実現できるのも可能だということは想像に難くない。高速道路をハイペースで飛ばさなければ、コンディションや効率への配慮はしなくてもそうなるだろう。
しかし、そうはいっても、距離を気にして休憩を取る必要のないEVを走らせたのは、これがはじめてだ。それもテスト施設での話ではなく、公道上で、である。
対するBMWは、ほぼすべての点で上を行く。唯一の例外は、おそらくもっとも心配するところ。同じ状況での現実的な航続距離は、426~467kmだった。室内の広さや開放感はiXが勝り、荷室の使い勝手もわずかながら上だ。その差はそれほど大きくないが、iXは後席を倒して荷室容量を拡大し、よりかさばる荷物を積むこともできる。
ロンドンタクシー並みに効く小回り
EQSには、高級EVが本当に必要な、手に入れやすいパフォーマンスをすべて備えている。その前では、ディーゼルのSクラスがどうしようもなくレスポンスが悪くて遅く感じられる。いかなるときでもすばらしく、確実で、リニアなドライバビリティをみせるのだ。
とはいえ、iXはそれに輪をかけて速い。同じ10万ポンドで手に入る高級SUVは洗練されリラックスできるクルマでもある。搭載される励起モーターは、EQS以上にレスポンスがいい印象で、速度が上がってもスタミナがある。
四輪操舵により、どちらのクルマも低速でのハンドリングは変化するが、それがより顕著なのはEQSのほうだ。このメルセデスの5.2m級サルーンは、後輪が前輪と逆位相に最大10°切れる。ロンドンタクシーのような小回りが効き、市街地でアペックスに張り付くのも、タイトなラウンドアバウトや狭い駐車スペースで取り回すのも驚くほど楽だ。
乗り心地に勝るのはiX
取り回しでは、BMWのほうがちょっとだけ大きく感じられる。それでも、じつにうまくそのサイズを隠している。速度を上げた際のボディコントロールはEQSよりやや引き締まっているが、平坦な道でも横方向の動きを感じる。これは、ヒップポイントの高さゆえだ。
とはいっても、しなやかで、穏やかで、減衰が効いていて、上品な乗り心地だ。これこそまさに、大柄でラグジュアリーな野獣に求める乗り味ではないだろうか。今が2022年で、500psオーバーのパワーを実際に使うようなことはなかったにしてもだ。それも、とくに、われわれの選んだ高級車の技術的な構成に関する多くの部分が、思いつく限りのとてつもなく洗練された理想的なバブルを生み出す狙いがある場合には、そう言っていいだろう。
さて、この2台を比べた場合、より乗り心地も静粛性も高いのはどちらか。今回のテスト車でいえば、少なくともモラル的な勝者は明らかだ。iXの静粛性と乗り心地の洗練ぶりは、間違いなくスペシャルなものだ。2台ともオプションの22インチホイールを装着していたが、クッションが効いて巧みなiXの乗り心地は、EQSがやや優雅さに欠けるものだと思わせることさえあるほどだった。とくにきついエッジや、ひどくゴツゴツした轍に遭った場合はそうだ。
総合力でiXに軍配
EQSの乗り心地はソフトだった。案の定、フワフワと漂うような感じだ。しかし、ときに足をすくわれ、大径ホイールと薄いサイドウォールを痛感するようなこともある。それに対してBMWは、最低でも2インチは小さいホイールを履いているのではないかと思わせる。その一因は、SUVならではの大きなホイールアーチが、より厚いサイドウォールを収める余地をもたらしていることだが、ひどい路面を安定して抑え込み、吸収してしまうことに負う部分のほうが大きい。
メルセデスのほうが上だと思える要素がひとつあるとすれば、BMWのほうにはそれ以上にありそうだ。いっぽうを選ぶ理由は、400くらい思い浮かぶかもしれない。だがそれは、複雑な問題をあまりにも単純化した結果だと思う。どちらも全力を尽くした結果であり、その差は未来のフラッグシップを開発する上での考え方の違いだ。
しかし、iXは、その完璧さや徹底ぶり、予想外の格式にとらわれない感じが、すべてが優れたクルマだという印象をもたらしている。あくまでも、個人的な印象だ。よりバーサタイルでなんでもできる感じがして、また、EQSほど古風で画一的ではないので、タッチ式デジタル画面が100面あるよりモダンに思える。こちらのほうが、次世代のパーソナルな移動手段にふさわしい感じだ。そう言えば、どちらを選ぶかおわかりだろう。
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みんなのコメント
間に受ける人が出てくるんだよね