1月27日、IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権第1戦デイトナ24時間レースの決勝スタート前日を迎えたデイトナ・インターナショナル・スピードウェイでは、全クラス参加のプラクティス4、そして最高峰GTPクラスのみ参加のプラクティス5が行われた。
決勝を翌日に控えたデイトナのパドックから、各種トピックをお届けする。
LMDhのレースを左右する新要素『低温用タイヤ』と『ダブルスティント』【デイトナ24時間の戦い方】
■最終セッションは6台のみ出走
11時20分から60分間行われたプラクティス4では、アクション・エクスプレス・レーシング31号車のキャデラックV-LMDhが最速タイムをマークした。アレクサンダー・シムスは1分35秒493をマークし、2番手のチップ・ガナッシ・レーシング01号車キャデラックをリードしている。
セッション3番手には、BMW Mチーム RLLの25号車BMW Mハイブリッド V8が続いた。
GTDプロクラスではウェザーテック・レーシングの79号車メルセデスAMG GT3がクラス首位となったが、ベストラップではGTDクラスのチーム・コルトフ・モータースポーツの32号車メルセデスが上回っている。
18時25分から20分間設けられたGTPクラスのみ参加可能なプラクティス5では、9台のGTPマシン中、6台が計測を行なった。1分36秒742というセッションベストタイムは、01号車キャデラックがマークしている。
アキュラARX-06勢の2台、そして31号車キャデラックは、このセッションに出走していない。
■クラッシュしたアウアーは金曜朝に手術を受ける
木曜日のプラクティス1でクラッシュして負傷したルーカス・アウアーに代わり、ダニエル・モラドがウインワード・レーシングのメルセデスAMG GT3でレースに臨むことが発表された。モラドは今週末、ミシュラン・パイロット・チャレンジのGSクラスに参戦するため、ウインワードと行動をともにしている。
チーム代表兼ドライバーのラッセル・ワードによれば、モラドは優勝した2022年のIGTCインディアナポリス8時間レース以来、GT3マシンには乗っていないという。
ワードはまた、木曜日の事故で腰椎の骨折を負ったアウアーが、金曜の朝にデイトナビーチのハリファックス・メディカル・センターで手術を受けたことを明らかにした。
「ルーカスが少なくとも言葉を発し、生きていて、手足を完全にコントロールできることに感謝している」とウォードは語った。
「それが大事なことだと思う」
「彼が痛みに苦しんでいて、今朝手術を受けたことは知っている。その後の情報のアップデートはないけど、ハリファックスには世界でもトップクラスの医者がいるんだ」
なお、ウインワードのスペアのメルセデスAMG GT3は、テキサスのチームショップから陸路での1,000マイル(1600km)の旅を経て、午前11時30分にデイトナに到着した。
IMSAの規定により、予備のシャシーは分解され、クラッシュした車両からできるだけ多くのコンポーネントを移植する必要がある。
■ポルシェ963のリザーブドライバーの考え方
ポルシェ・モータースポーツのボスであるトーマス・ローデンバッハによると、ケビン・エストーレとローレンス・ファントールが、今週末のポルシェ・ペンスキー・モータースポーツにおけるポルシェ963のリザーブドライバーを務めているという。2名はいずれも、GTDプロ/GTDクラスにおいて、911 GT3 Rのステアリングを握ってエントリーしている。
ただし、シーズン全体で決まったリザーブドライバーは設定しておらず、イベントごとに指名していくとのことだ。
ローデンバッハによれば、ポルシェはウェザーテック選手権とWEC世界耐久選手権の両方で、今年ほとんどのレースにリザーブドライバーを置く予定であり、それは常にもう一方のシリーズにおけるひとりのドライバーで構成されるという。
■必須の夜間走行ができず、ドライバー変更
NTEスポーツは、42号車ランボルギーニ・ウラカンGT3 Evo2のドライバーについて、ドン・ヨントに替えてロバート・メグニスを起用することになった。
チームオーナーのポール・マタによれば、チームの長年のサポーターであるヨントは、夜間走行におけるチーム戦略に柔軟性を与えるため、一歩退いたのだという。
木曜日のプラクティス2でアクシデントに見舞われたヨントとケロン・リーは、チームが車体部品の出荷を待っているためにナイトプラクティスに参加できなかったことで、レースにおける暗闇の時間帯の走行がIMSAから許可されていなかった。
42号車は金曜朝の最終プラクティスにも参加しなかったが、マタによれば、レーススタートに向けてマシンの準備はできているという。
■GTDプロクラス王者の不安
GTDプロクラスに参戦するパフ・モータースポーツの9号車ポルシェ911 GT3 Rは、チームの声明によると、レースに向けて「適切な状態」の車両と部品を確保するため、プラクティスでは限られた走行にとどまったという。
ただしこれは、タイプ992型新型ポルシェの現在のパフォーマンス不足とは無関係であることを強調している。
クラウス・バチェラー、パトリック・ピレ、ローレンス・ファントールがドライブする9号車ポルシェは、4回の公式セッションで合計54周しかしていない。木曜日のナイトセッションでは、2度のアウト/インを行っただけであった。
■「BoPについて、ばかげたことが行われている」
フェラーリのGTカー開発責任者であるフェルディナンド・カニッツォは、デイトナでデビューするフェラーリ296 GT3のBoP(性能調整)の状況について、IMSAと対話を行っていることを認めた。
カニッツォは次のように述べている。
「そうだ。でも、コメントするほどのことではない。ライバル間のパフォーマンスレベルについての判断は、彼ら(IMSA)に任せる。我々はパフォーマンスを最大化することに集中し、信頼性を最高のものにする必要がある」
この件については、新型911 GT3 Rをデビューさせるポルシェも、IMSAに対してBoP変更をするように求めている。
一方、メルセデスAMG GT3を走らせるサンエナジー1・レーシングのチームオーナー兼ドライバーであるケニー・ハブルは、GTDプロ・GTDの両クラスにおいてポルシェとフェラーリが三味線を弾いており、レースではその真の性能を発揮すると主張、IMSAに対し「行動を起こす」ことを求めている。
「BoPについてばかげたことが行われており、ポルシェとフェラーリは3秒差になっている」とハブル。
「僕の意見では、明日のレースでは彼らはすぐに1分45秒台に入れるだろう。そうなれば、IMSAはただ恥ずかしい思いをするだけだ。IMSAに対しても、他のチームに対してもフェアじゃない」
「IMSAは、行動を起こす必要がある。ヨーロッパでは、もっと厳しく対処されている。(三味線を弾いたら)ピットストップで長めに停止を命ぜられることになる」
■両シリーズの重鎮がそろう
インディアナポリス・モーター・スピードウェイの社長であるダグ・ボールズは、金曜日のデイトナに来場していた。
ウェザーテック選手権は9月17日にロジャー・ペンスキーが所有するインディアナポリスで、全5クラスによるレースを開催することになっている。
なお、WECもこのサーキットで独自の耐久レースを行うための話し合いを行っていることが知られている。
* * *
IMSA会長のジム・フランス、IMSA社長のジョン・ドゥーナン、IMSA CEOのエド・ベネット、NASCAR副会長のマイク・ヘルトン、そしてデイトナ・インターナショナル・スピードウェイ社長のフランク・ケルハーが、ACOフランス西部自動車クラブ会長のピエール・フィヨン、WEC世界耐久選手権CEOのフレデリック・ルキアンとともに、バックストレートのル・マン・シケインで、デイトナ24時間とル・マン24時間の記念トロフィーと記念写真を撮影した。
今週末は、ル・マン・ハイパーカーとLMDhのプラットフォームがひとつのクラスでともにっ戦うという、トップ・プロトタイプのコンバージェンス発表から3年目にあたり、LMDh規定の車両がいよいよ明日、レースデビューを飾ることとなる。
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