なぜわかりにくい? クルマの「セグメント」
自動車メディアや中古車情報などで、時折目にするのが「セグメント」という表記です。セグメントとは、モデルごとの階級を表す区分方法の一種で、例えば「Aセグメント」などのように、主にアルファベットで表されます。
【Aクラスは何セグメント?】これが「各セグメント」の代表モデルです(写真で見る)
“Bセグ”や“Cセグ”などと略されることもあり、なんとなくカッコよい響きにも感じるセグメントですが、一方で「そもそもセグメントとは一体なんなのか」「自分のクルマが何セグメントに当たるのか」、よく理解していない人も多いのではないでしょうか。恥ずかしながら、かつては筆者も「セグメントのことをよくわかっていない人」の1人でした。
しかし実のところ、セグメントの分け方には明確な基準がありません。というのも、セグメントはもともと、海外の調査会社がマーケティングなどのために使い始めたもので、その分類方法は企業によって微妙に異なっているからです。
また民間の調査会社だけではなく、1990年代には欧州委員会も独自のセグメントを策定しています。その後は日本のメディアやユーザーにも徐々に浸透していきましたが、このように区分した団体などによって基準がバラバラなため、少なくとも日本国内においては、はっきりとした区分が存在しないのです。
とはいえ、セグメントは多くの場合、ボディサイズなどを目安に区分されることが一般的です。ここでは欧州のマーケティング会社などが採用している区分を例にとって、各セグメントとその代表的な車種を紹介していきましょう。
ざっくりいえば「Aから小さい順」
まず、最小クラスに当たるのが「Aセグメント」です。全長はおおむね3.3~3.8m程度のモデルが多く、フィアット「500」や「パンダ」などが例に挙げられるほか、国産車に当てはめた場合は、リッターカーや軽自動車クラスがAセグメントに相当します。
その上のクラスとなるのが「Bセグメント」。全長は約3.8~4.2m相当で、欧州車ではプジョー「208」、フォルクスワーゲン「ポロ」といったモデルが該当するほか、国産車でもトヨタ「ヤリス」、スズキ「スイフト」などのコンパクトカーが当てはまります。
全長約4.2~4.5m前後のモデルが分類される「Cセグメント」は、コンパクトカーとしては最も大ぶりなサイズといえるでしょう。フォルクスワーゲン「ゴルフ」やメルセデスベンツ「Aクラス」が“Cセグ”の代表格。日本車ではトヨタ「カローラ」シリーズなどもCセグメントだといわれています。
「Dセグメント」は、ヨーロッパにおいて小型の高級セダンが多く分布しているカテゴリーです。全長はおおむね4.5~4.8m程度で、メルセデスベンツ「Cクラス」、BMW「3シリーズ」、アウディ「A4」など、日本でも普及している輸入車の代表モデルが該当するとされています。
それ以上のクラスになると、分類は「Eセグメント」や「F(またはL)セグメント」など、各団体によってさらに分かれています。また、欧州委員会などの団体では、2ドアのスポーツカーやクーペを「Sセグメント」、SUVなどのオフロード乗用車は「Jセグメント」といったように、ボディタイプによっても区分を設けています。
ただし、これらはあくまで欧州の“慣習的”なサイズ区分と代表車種とされるモデルであり、ボディサイズやタイプなどに基づいた統一基準ではありません。
また、セグメントの基準は、各モデルの世代交代に合わせて変化している側面もあります。例えば、“Cセグ”のフォルクスワーゲン・ゴルフ(5ドアハッチバック)を基に比較すると、1991年発売の3代目は全長約4m、全幅1.7m程度だったのに対し、現行の8代目ゴルフでは全長約4.3m、全幅1.8m近くまでサイズが拡大しています。
このように複雑な要素も多いセグメント区分ですが、ざっくり言えば、A、B、C、D……と、車格の小さい順に並べた序列であるとも表現できるでしょう。一部例外を除き、徐々に大衆車から高級車へとクラスが上がっていく傾向もあるため、一度慣れてしまえば、かえってわかりやすいのかもしれません。
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