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なぜ“背の低いセダン”は復活したのか?

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なぜ“背の低いセダン”は復活したのか?

実は日本発祥!? 今、人気の高い背の低いセダンについて小川フミオが考えた。

人気高いラグジュアリーな“4ドア・クーペ”

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セダンのセールスがやや退潮ぎみでも、背の低いセダンは元気だ。全高が低めの、“4ドア・クーペ”とも呼ばれるジャンルで、とくにラグジュアリー・セグメントで人気が高い。クルマってやっぱりスタイリッシュでなくちゃ、と思うひとには、ぜひ勧めたいジャンルである。

GQ JAPANでは何度も書いているように、セダンはけっして悪い乗りものでない。乗り心地やハンドリング、室内の快適性など、往々にして、SUVよりすぐれている点が少なくない。

なのに、セダンが敬遠されてしまう。その秘密をとくカギが、ここで勧めている、ラグジュアリー・セグメントに属する、背の低い4ドア・クーペだ。このジャンルにはどんなモデルがあるか。ざっくりみてみると下記のようになる。

メルセデス・ベンツは「CLAクーペ」、「CLSクーペ」それにメルセデスAMG「GT4ドアクーペ」。BMWは「2シリーズ・グランクーペ」。「8シリーズ・グランクーペ」それに各モデルの派生車種としてMモデルがある。

アウディも「A5スポーツバック」と「A7スポーツバック」で人気を呼んできた。ポルシェの「パナメーラ」だってピュアEVの「タイカン」だって、キャビンを小ぶりに見せたボディに特徴がある。フォルクスワーゲン「アルテオン」もやはりスタイルは、クーペライク(クーペ的)。選択範囲は広い。

もっとも、これらのうちいくつかは大型のテールゲートを持つ5ドアだから、背の低いセダンに括っていいのかは微妙かもしれない。

初代CLS登場のインパクト

このジャンルが生まれたのはいつだったか……源をたどっていくと、2004年にメルセデス・ベンツが発表した初代「CLS」にいきつく。当時日本ではけっこう好調なセールスを記録したモデルだ。

印象として私が記憶しているのは、初代CLSが売れた理由には、Sクラスのモデルチェンジに時間がかかったことだった。1998年に4 代目が登場して、5代目が出たのが2005年。5代目を待ちきれないひとが、CLSに飛びついた。

ベースはEクラスだったが、ボディサイズはひとまわり大きかったことと、AMGモデルまで用意されるなど、豊富なラインナップが特徴のひとつ。それと、スタイリングが斬新だった。

円弧を描くような輪郭のルーフラインとサイドウィンドウ。それにぐっと下がったトランクリッドによって、スタイリッシュさが追求されていたのだ。4ドアなのに、後席が小さめだなぁ、と、思ったものだ。

そのあと、ポルシェが「911」のイメージを持つパナメーラを発表したのが2009年。翌10年には、アウディがA7スポーツバック、おなじ年にアストンマーティンがラピードと、高級路線の低い車高のモデルが続々と登場した。

どのモデルにも共通するのは、CLSと同様、ドアは4枚でも、あくまで前席が優先という印象を与える点だ。実際には、後席も快適なモデルも少なくない。でも、後ろにいくに連れて下がっていくルーフラインなど、後席にひとを載せるのを主目的としたクルマではないことが一目瞭然。つまり、ドライバーズカーであって、ショファー(運転手つきの)カーでないと、すぐわかる。

メルセデス・ベンツ「Sクラス」をはじめ、ロールス・ロイス「ゴースト」やベントレー「フライングスパー」にいたるまで、セダン然とした4ドアは、いくらオーナーがステアリングホイールを握っていても、運転手だと見られているんじゃないか? と、思ってしまう。

大型セダンには、性能や快適性など、独自の魅力がある。そこを評価しつつ、でもショファーに見られるのは、どうしても避けたい。そう思うひとたちが、背の低い4ドアクーペを評価してきた。

懐かしのカリーナED

日本の自動車メーカーも、ある時期、このジャンルに挑戦した。むしろ、現在のトレンドをうんと早く先取りしていたともいえる。

1985年に初代が発売されて、1989年に2代目が登場したトヨタ「カリーナED」はひとつの例。全高は1310mmに抑えられた4ドアボディが印象的だった。

マツダが1988年に発表した「ペルソナ」も同様。車高が1335mmと少し低めで、かつBピラーのないハードトップボディと、居住性より審美性優先でデザインされた後席が特徴的。4ドアでありながら2プラス2のような印象を強調していたものだ。その後にでたマツダ「センティア」もコンセプトを継承した。

もしかすると4ドア・クーペというジャンルは日本発祥かもしれない。そう思わせるほど1980年代後半から一時、日本では背の低いセダンが流行ったのだ。でも1990年代に入ると衝突安全性の問題などから、大幅に減ってしまい、“フツーのセダン”が主流となった。そうしたなかでの初代CLSの登場である。背の低いセダンが復活した! と、言っても過言ではないように思う。

いまはクロスオーバーというと、SUVとステーションワゴンのハイブリッド(合体)のように扱われるが、4ドア・クーペも、まさに4ドア・セダンと、小ぶりのキャビンをもつクーペとのクロスオーバーだ。

ふだんは2人が最大限の乗車人数、なんていうひとは、考えてもいい車型ではないかな。

文・小川フミオ

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みんなのコメント

8件
  • 背の低い4ドアセダン…というと、桐島かれんの「見返り美人」のCMでも
    有名な日産・プレセア(初代:1990-95)や、カローラ/スプリンターシリーズの
    4ドアピラードハードトップ、セレス/マリノ(1992-98)なんていうクルマも
    ありましたな。

    オガワさん、これら当時のNAVI誌で酷評してたじゃないですか…w
    「ココロザシが無い」とかナントカ…w
  • 復活は大袈裟。一瞬流行っただけで、今は細々と売れてる程度。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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