まさかの決着。トップ2台がクラッシュでオジエが大逆転勝利を飾る。勝田は日曜最速に／WRCクロアチア

2024.04.23 01:50 掲載 4

まさかの決着。トップ2台がクラッシュでオジエが大逆転勝利を飾る。勝田は日曜最速に／WRCクロアチア

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　4月21日（日）、WRC世界ラリー選手権第4戦『クロアチア・ラリー』の競技最終日となるデイ3が行われ、最終日に逆転で首位に立ったTOYOTA GAZOO Racingワールドラリーチーム（TGR-WRT）のセバスチャン・オジエ／ヴァンサン・ランデ組（トヨタGRヤリス・ラリー1）が総合優勝を飾った。TOYOTA GAZOO Racingワールドラリーチームから参戦する日本人ラリードライバーの勝田貴元（トヨタGRヤリス・ラリー1）は、首位と1分55秒5差の総合5位で大会を終えている。

　また、2024年シーズンから新たにポイント付与の対象となった日曜日のみの総合順位“スーパーサンデー”では、勝田貴元／アーロン・ジョンストン組が首位となり、7ポイントを獲得した。

【順位結果】2024年WRC第4戦クロアチア・ラリー SS20後

　大会初日から接戦の優勝争いが繰り広げられたクロアチア・ラリー。デイ2でヌービルが単独首位に躍り出たが、迎えた最終日にも争いの勢いが止むことはなかった。

■緊張高まる首位争いにまさかの悲劇

　この日最初のSS17は、気温6度と冷え込んだなか、晴れ空のもとで実施された。ここで最速タイムをマークしたのは、日本人ラリードライバーの勝田。3番目にコースインした勝田はアドリアン・フルモー（フォード・プーマ・ラリー1）と0.6秒差のトップタイムを記録し、今大会最初のステージウインをあげた。

　そして、エルフィン・エバンス（トヨタGRヤリス・ラリー1）が3番手タイムで続いたことで、ティエリー・ヌービル（ヒョンデi20 Nラリー1）との首位争いは2.6秒差にまで縮まる。さらにその9.0秒後方にはセバスチャン・オジエ（トヨタGRヤリス・ラリー1）を迫ってきた。

　最終日最初のステージにて大きく接近した首位争いは、続くSS18で起きたクラッシュで大きく展開を変えることとなった。

　3人のなかで最初にステージに入り、3番手タイムをマークしたのはオジエだ。しかしその後方では、エバンスとヌービルが森の小道を抜ける区間にて痛恨のクラッシュを喫してしまった。ふたりはそれぞれ、別々の場所であぜ道にタイヤを乗せてしまったことからをきっかけに姿勢を乱してスピン。ともに約20秒のタイムロスとなり、オジエが総合首位に急浮上した。

　このSS18でステージウインを飾ったのは、こちらも今大会初となるオット・タナク（ヒョンデi20 Nラリー1）。2番手には勝田貴元が続き、スーパーサンデーのリードを広げる。

■オジエが自身59勝目。勝田は最終日に快進撃

　続くSS19はこの日最初のステージの再走となり、再び勝田がトップタイムをマーク。走行後のインタビューでは「これまで良い走りができなかったので、死に物狂いでプッシュした」と語り、今大会2度目のステージウインをあげた。

　総合首位争いを争う上位勢では、エバンスがステージ2番手タイムをマークし、オジエは安定したアタックで4番手に続いた。対するヌービルは、クラッシュの影響からかペースを落としてしまい、7番手タイムと遅れを取る結果となる。

　総合首位オジエが6.4秒リードで迎えた最終SS20。こちらはトップ5のタイムをマークしたドライバーを対象にボーナスポイントが与えられる『ウルフ・パワーステージ』となる。

　ここではMスポーツ・フォードWRTのアドリアン・フルモー（フォード・プーマ・ラリー1）がトップタイムをマーク。フルモーは、首位争いを繰り広げていた2台と同様にSS18でクラッシュを喫していたのだが、その再走ステージにて挽回を果たすステージウインをあげた。そしてオジエは3番手で無事にフィニッシュ。自身59勝目となる総合優勝を決めた。この勝利は、オジエの表彰台獲得回数を通算100回に伸ばすメモリアルウインとなり、トヨタは2021年の同大会から続くクロアチア・ラリー4連覇を飾った。

　総合2位は9.7秒差でエバンス、総合3位は36.1秒差でヌービルとなった。また日曜日のみの総合順位で争われるスーパーサンデーは、この日2度のステージウインをあげた勝田貴元が制した。

　ポイントランキングでは、トップに立っていたヌービルと、2位のエバンスがともに19ポイントを獲得。順位はそのままに得点を伸ばし、6ポイント差をキープしている。マニュファクチャラー選手権では、TOYOTA GAZOO Racingワールドラリーチームが176ポイント、ヒョンデ・シェル・モービスWRTが169ポイントとなり、その差は7ポイントに広がった。

　WRC2クラスは、開幕から他を寄せ付けない速さを披露し続けてきたニコライ・グリアジン（シトロエンC3ラリー2）と、ヨアン・ロッセル（シトロエンC3ラリー2）のふたりがこの日も好戦。最終的には、初日からクラス首位を守り抜いたグリアジンが38.2秒のリードを保ってクラス優勝を果たした。

　2024年WRCの次戦『ラリー・ド・ポルトガル』は、ヨーロッパの西端に位置するポルトガルのマトジニョス付近を舞台に、5月9日（木）から12日（日）にかけて開催される予定だ。