WRC(世界ラリー選手権)の2025年のテクニカルレギュレーションは、不透明な状況となっている。これはFIAが提案したレギュレーション変更案に、マニュファクチャラーが強く反対しているからだ。
今年2月、FIAはWRCの短期的および長期的な将来ビジョンを発表。そこにはWRCの競技面、技術面、プロモーション面での変更案が含まれていた。
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チームは提案されたビジョンの大部分を支持しているものの、トヨタ、ヒュンダイ、M-スポーツ・フォードは共同でFIAに書簡を送り、FIAが提案した変更ではなく、現行のラリー1技術規則を維持するよう要請した。
この変更案は、ハイブリッド・パワーの廃止、リヤウイングの変更によるエアロの縮小、エアリストリクターの小型化などが含まれ、全体的にマシンをラリー2車両に近づけることを目的としている。
さらにこの提案には、ラリー2車両にアップグレードキットを導入する計画も含まれており、これはラリー1およびラリー2のメーカーから肯定的な反応を得られていない。
こうした提案が行なわれた背景には、ラリーの最先端で戦うマシンの数を増やすという考えがある一方で、FIAはこの動きを2027年以降の新しいラリー1レギュレーションの導入に向けた第一歩と見ている。
一方で各マニュファクチャラーは、FIAは2027年に焦点を絞るべきだと考えており、来季まであまり時間がないこと、改訂ラリー1規定マシンの開発に必要なリソースへの懸念を示している。
クロアチア・ラリーの際、各チームの代表たちは2025年の技術規則が宙ぶらりんな状態となっていることを”危機的”な状況であり、解決すべきだと主張。FIA側に説明するよう求めた。
今月上旬に2日間にわたって開催されたWRC委員会を経て、FIAは現在、6月の世界モータースポーツ評議会(WMSC)に先駆けて5月にチームに決定を伝えることを目標に、妥協案に近づいていると確信している。
「現在、我々FIAが置かれている立場は、マニュファクチャラーとの調和を見出す必要があるということであり、正直なところ、それはそう遠くはないと思っている」
FIAのラリーディレクターであるアンドリュー・ウィートリーは、メディア・ラウンドテーブルでそう語った。
「6月のWMSCに向けて、6週間前から準備を進めなければならない。我々は今そのプロセスの真っ只中にいて、常にメーカーとミーティングを重ね、意見を交換しているところだ」
「(技術規則を伝える)最新の日程は6月のWMSCだ。FIAとマニュファクチャラーの間に争いがあるような印象があるが、そんなことはない。ジュネーブでのミーティング(WRC委員会)は100%否定的なものではなかったし、多くのトピックについて2日間にわたってとてもいい話し合いができた」
「我々はメーカー側の立場を十分に理解している。彼らはただ、何もしたくないだけなのだ」
レギュレーションの妥協案について、マニュファクチャラーと話し合うつもりなのかと尋ねられ、ウィートリーは次のように付け加えた。
「我々は今、そこにいる。話し合いの場で、テーブルの上にすべての選択肢を並べているんだ。目標も目的も分かっている」
ウィートリーはまた、FIAが2027年だけに焦点を当てるのではなく、2025年と2026年に向けた変更を提案するためにこのような介入を行なった3つの理由を明らかにした。
「3つの重要な要素がある。ひとつはピレリが(新しいタイヤ供給契約に)コミットしなかったこと。ふたつ目は、ドライバーたちがチャンピオンシップをやりたがらなかったこと。3つ目は……フォードが参戦し続けるかどうかは常に議論されていることだが、ヒョンデが参戦し続けるかどうかということだった」
「それが今後の議論における根本的な変化となった」
つまりFIAは、現状のままではWRCが崩壊するという危機感を持っていたようだ。
WRC委員会は4月25日に再び会合を開くことになっている。
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