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ブラック×レッドのフェラーリ「512TR」が約3870万円で落札!じりじりとマーケットが高騰中

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ブラック×レッドのフェラーリ「512TR」が約3870万円で落札!じりじりとマーケットが高騰中

漆黒の512TR、オークションに現わる

1980-1990年代スーパーカーの代名詞的存在であるフェラーリ「テスタロッサ」とその系統は、現在の国際クラシックカーマーケットでも常に人気を集める優良商材となっています。今回は、RMサザビーズ北米本社が2025年年2月27~28日にフロリダ州マイアミ近郊の町、コーラルゲーブルズにある歴史的なビルトモア・ホテルを会場として開催した「MIAMI 2025」オークションに出品されたテスタロッサ一族第2世代の「512TR」をピックアップ。そのモデル概要と注目のオークション結果についてお伝えします。

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テスタロッサ一族の第2世代、512TRとは?

1992年1月、日本を含む主要マーケット各国で同時リリースとなったフェラーリ 512TR。1980年代の傑作スーパースポーツ「テスタロッサ」を1990年代の最新テクノロジーでリファインし、ランボルギーニ「ディアブロ」など後発のライバルに負けないスーパースポーツの雄へと、再び押し上げるために用意されたモデルである。

一見したところ、テスタロッサのボディ内外装にフェイスリフトを加え、パワーを上乗せしただけのマイナーチェンジ版にも映るが、じつはシャシーから大規模な変更を受けていた。それまでエンジンを支えていたサブフレームは、剛性アップと軽量化のためにメインのチューブラーフレームと一体化。エンジンの搭載位置も、わずか数cmながら低められた。

また、前後ホイールは18インチに拡大。同時に、テスタロッサではやや不安のあったストッピングパワーについても、大径化されたベンチレーテッド・ディスクブレーキによって、おおむね満足すべきものとなった。

エンジンフードも一体プレスとされた

ピニンファリーナが手掛けたボディのスキンチェンジもかなり大規模なもので、前後のバンパーはより丸みを帯びた形状へとブラッシュアップ。テスタロッサ時代には複数のパーツで組み立てられていたリアのエンジンフードも一体プレスとされた。さらに、左右フィンがテールエンドまで伸びるスタイルとなった。

インテリアも大幅にモダナイズされるかたわらで、ダッシュパネルとセンターコンソールは、1970年代のフェラーリのようにセパレート化が図られた。

いっぽう、テスタロッサで初めて気筒当たり4バルブとされた180度V型12気筒4カムシャフト4943ccエンジンは、ムービングパーツの軽量化とともにシリンダーとライナーもニカシルコーティングも最新化。燃料供給もテスタロッサ時代のボッシュKEジェトロニックからモトロニックML2.7に変更。さらに吸排気系に大規模なモディファイを受けた結果、パワーは400psの大台を遥かに越えた428ps。当時5ps刻みでのパワー表示が慣例とされていた日本仕様では、中身は同じながら「425ps」へとアップを果たした。 そしてかつての365/512BB以来、久しぶりに300km/hの大台に達する最高速度を公表することになったのである。

ローマイレージで希少カラースキームの512TR

RMサザビーズ「MIAMI 2025」オークションに出品されたのは、1992年から1994年の間に2280台(ほかに諸説あり)が生産された512 TRのうち、ごく初期の1台。「ネロ(黒)」のボディに、赤のコノリー社製レザーという、希少かつ印象的な組み合わせで仕上げられている。

VINコード(シャシーNo.)は「ZFFLG40A4N0093221」の北米仕様車。カリフォルニア州ニューポートビーチの「ニューポート・インポーツ(Newport Imports)」社に新車として引き渡され、1992年3月9日に最初のオーナーのもとで初登録された。

車両に添付されたヒストリーファイルに綴じられたドキュメントによると、1999年初めに2代目のオーナーがこの512TRを譲り受けるが、その段階での走行距離はわずか7826マイル。さらにその後、2018年12月に現オーナーとともにカナダに転居するまでの17年間にわたって2代目オーナーが保有していながらも、その間はほとんど運転されなかった。

そして現オーナーは入手の直後から、この512TRに関するすべてのサービスを「フェラーリ・オブ・オンタリオ」に委ねることとした。手始めにエンジンを降ろしてのメカニカルサービスと、カリフォルニア時代に前オーナーが取り付けた、大量のアフターマーケット電子グッズの取り外しを依頼した。

2018年12月付で提出された請求書には、タイミングベルトおよびクラッチの交換、フルードや補助ベルト、エアフィルター、燃料フィルター、スパークプラグ、クーラントホースなどをすべて新品に換装するとともに、包括的なチューンナップの実施。

またガスケットやシール/Oリング類を新品に交換することで各部のオイル漏れを修正したほか、ウォーターポンプとオルタネーターのリビルド、バルブ調整。新品の「ミシュラン・パイロット・スーパースポーツ」タイヤの装着。4輪アライメント調整など総額3万2000ドルを超える大規模な機械的作業の詳細が記載されている。

翌月にあたる2019年1月には、インテリアおよびフロントトランク内のトリムの大部分を分解。アフターマーケットのガジェットに対応するすべての配線/リレー/スイッチとも丹念に取り外したのち、すべての配線とそのほかのコンポーネントを純正スペックに戻すために多大な努力が払われた。ここでも総額7700ドルの請求書が提出された。

徹底的に整備されコンディションにも注目

さらに2020年6月には燃料システムのオーバーホールが行われ、2個の燃圧調整器とともに、両方の燃料ポンプとすべてのホースが交換された。合計1万8904ドルに達したこの作業には、ヒューズボックスアッセンブリーの交換。それに加えて、以前取り付けられていたアフターマーケットの電子機器による電気的負荷の増加によって損傷していた、ワイヤーコネクターと端子の一部の交換も含まれていた。

こうしてようやく新車時のスペックに全面改修されたものの、その後もほとんど運転されない状況が続いていた。今回のオークション公式カタログ作成時のオドメーターが指しているマイレージは、依然として1万マイル(約1万6000km)強に過ぎない。

そして充分に記録されたヒストリーや希少で好ましい色の組み合わせが、この512 TRを類稀な魅力的なものにしているうえに、オリジナルのウインドウステッカーのコピー、ファクトリーマニュアルと保証書。1995年までのサービスインボイスを含むヒストリーファイルが添付されるなど、ドキュメントも揃っているとアピールされていた。

この512TRについて、RMサザビーズ北米本社は現オーナーと協議しつつ27万5000ドル~32万5000ドル(邦貨換算約4125万円~4875万円)というエスティメート(推定落札価格)を設定。そして迎えた競売ではビッドが順調に伸びたようで、終わってみればエスティメートに収まる26万8800ドル、現在のレートで日本円に換算すれば約3870万円で競売人のハンマーが鳴らされることになった。

フェラーリ テスタロッサとそのファミリーのマーケット相場価格としては、生産数の圧倒的に少ない「F512M」がもっとも高く、512TRはそれに次ぐ評価というのが2010年代から続く相場感だった。もちろん、依然として円安基調の為替レートや、この512TR単体の魅力もあってのことだが、512TRのマーケット評価もF512Mに引っ張られるかのように、じりじりと高騰してゆく可能性が否めなくなってきているように感じられたのである。

文:Auto Messe Web 武田公実(TAKEDA Hiromi)
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みんなのコメント

1件
  • f20********
    512TRはテスタロッサと比べ各部がスッキリと洗練されもっとも美しいテスタロッサと思う。生産台数は最終F512Mの方が少ないでしょうが、自分なら512TRなら欲しいと思う。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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