[THE EV TIMES流・電費ガチ計測]
THE EV TIMES(TET)流電費計測の5回目を、8月に「BMW iX xDrive50」で実施した。車高の高いSUVにもかかわらず、高速巡航時に電費が低下しにくいのが特徴だ。その詳細をお伝えする。
エコランではなくガチ計測!THE EV TIMES流の電費計測を開始
※計測方法などについてはこちら、試乗記はこちらをご覧ください。
100km/h巡航でどんどん行こう
iX xDrive50のカタログに記載された「一充電走行距離」は650km(WLTC)で、電池容量は111.5kWhだ。650kmを実現するには、電費が5.83km/kWh(以後、目標電費)を上回る必要がある。
各区間の計測結果は下記表の通り。5.83km/kWhを上回った場合、赤字にしている。
これまでのTETによる電費計測で初めてA区間の往路と平均で目標電費を超えた。A区間のように標高差が少ない場所では同じ状況になり得る、つまり100km/h巡航で一充電走行距離の650km近くを走破できる可能性がある。
100km/h巡航でも600kmは走れそう
各巡航速度の平均電費は下表の通りだ。「航続可能距離」は電費にバッテリー総容量をかけたもの、「一充電走行距離との比率」は650kmに対して、どれほど良いのか、悪いかだ。
iXのエクステリアは、大きなキドニーグリルが特徴的だ。ざっくり言えば全長5m、全幅2m、全高1.7m、車重2.5トンの堂々としたボディだが、Cd値が0.25と優れている。
100km/h巡航におけるiXの電費は、5.71km/kWhであった。絶対的な数値としては決して高くないが、一充電走行距離との比率を計算すると98%と、これまでにTETが計測したデータの中で最高の結果を記録した。120km/h巡航でもこの数字は78%であった。
つまり、iXは高速巡航でも電費の低下が少ないEVだといえる。
ちなみに、過去に計測したメルセデス「EQE 350+」は、この100km/h巡航時の比率が90%だった。EQEはセダンボディで背が低く、Cd値0.22で、高速巡航には有利であることを考えても、iXの98%という数字の凄さが分かる。
この結果は、空力性能の良好さと高効率なパワートレインの賜物ではないかと思う。BMWが「テクノロジー・フラッグシップ」「次世代を見据え、長距離走行が可能な革新的な次世代電気自動車」と謳っているだけのことはある。これらの記録を塗り替えるクルマが現れるのか、今後の計測が楽しみだ。
各巡航速度ごとの比率は以下の通り。80km/hから100km/hに速度を上げると21%電費が悪くなる。120km/hから80km/hに下げると1.6倍の航続距離の伸長が期待できる。
最も使いやすいACC
iXのACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)の設定は、ステアリングホイール左側のスポークにあるボタンで行う。「+」と「ー」のボタンの左側のON-OFFボタンでACCを起動させ、SETを押すとその時に車両が認識している制限速度に自動で設定される。または起動させてプラスかマイナスを押すと、その時点で走行している速度に設定される。
速度調節は「+」と「ー」のボタンを軽く押すと1km/hごとに、大きくクリックで10km/hごとに調整でき、とても使いやすい。ステアリングスポーク上のボタンで操作が完結すること、細かい速度設定もしやすく操作も分かりやすいことで、これまでにわれわれが試した中では最も使いやすいACCではないかと思う。
なお、先行車との車間距離調整(3段階)は、センターディスプレイで行う必要があるが、頻繁に変更するものではないので、これで良いと思う。
渋滞している高速道路で60km/h以下の時に使用可能とされているハンズ・オフ・アシストは、メーターにAssist Plus Readyの表示が出ている時に、ステアリングホイールから手を離すと「ハンズ・オフ」走行を開始(スポーク上部も黄緑色に光る)する。
スピードメーター表示とGPSによる実速度の差は下記表の通りだった。実速度を100km/hにしたい場合は、メーター速度を103km/hに合わせる必要がある。
103km/h走行時は、モーターとボディが共振するような音、そしてわずかな振動があることがちょっと惜しいが、音楽をかけていれば聞こえなくなる程のレベルだ。
安定した充電性能
iXはプレスリリースによると、「最大150kWで充電が可能、40分以内に80%まで充電できる」「10分で100km分を充電可能」とある。今回、駿河湾沼津SAの下りと上りの最大150kWの出力の充電器で各30分の充電を行ったが、プレスリリースに記されているような充電速度には至らなかった。
しかし、iXの充電性能が優れていた点は、30分間ずっと安定して73~80kWで充電し続けていたことだ。他車の中には30分間の後半の時間、みるみるkW数が減っていくモデルもある。今回は2回の30分充電で、どちらもSOCにして33%分を充電できた。
なお、充電中の車内は38db程と図書館並みの静けさで、車外でもバッテリー冷却用のファンなどが作動したような音もなかった。
真夏の冷房でも下落率は10%ほど
エアコンの使用はバッテリーを消耗するので、状況によってメーター上に表示される航続距離は変化する。冷房最大および暖房最大時における表示を、その日の最高気温を記録した午後と翌日の午後、最低気温時の深夜の3回に分けて確認した。
冷房は外気温との差に比例する形で5~11%の下落率だった。真夏のかんかん照りの昼間に冷房を最大にして11%の下落率(303km→270km)なので、これ以上悪くなることはないのではないかと思う。
暖房の影響を測るには外気温が高すぎるため、機会があれば冬季に計測してみたい。
装着タイヤ
※製造週年は「2122」の場合、2022年の21週目に製造されたことを意味する。
BMW iX xDrive50
全長:4,955mm 全幅:1,965mm 全高:1,695mm ホイールベース:3,000mm 車両重量:2,560kg 前後重量配分:前1,230g、後1,330kg 乗車定員:5名 交流電力量消費率:190Wh/km(WLTCモード) 一充電走行距離:650km システム最高出力:385kW(523ps) システム最大トルク:765Nm(78.0kgm) フロントモーター最高出力:190kW(258ps)/8,000rpm フロントモーター最大トルク:365Nm(37.2kgm)/0-5,000rpm リアモーター最高出力:230kW(313ps)/8,000rpm リアモーター最大トルク:400Nm(40.8kgm)/0-5,000rpm バッテリー総電力量:111.5kWh モーター数:前1基 後1基 トランスミッション:1速固定 駆動方式:4WD フロントサスペンション:ダブルウィッシュボーン式 リアサスペンション:マルチリンク式 フロントブレーキ:ベンチレーテッドディスク リアブレーキ:ベンチレーテッドディスク タイヤサイズ:275/40R22 最小回転半径:6.0m 荷室容量:500L 車体本体価格:13,980,000円
※電費計測は、季節、気温、天候による差はどうしてもカバーしきれないこと、また電費は実際の乗車人数や荷物の積載量によっても変わってくるため、あくまでも参考値になること、ご了承いただきたい。 基本的には速度規制や車線規制がない状況で走行するものの、避けられない場合は適切な速度で走行し、その区間の電費については数値の補正を実施する。 走行中に撮影したメーターなどの写真は、電費計測以外の移動時に助手席乗員が撮影したもの。
これまでの記録
2023年8月計測
BMW iX xDrive50 100km/h巡航電費:5.71km/kWh(目標電費:5.83km/kWh)
2023年7月計測
三菱ekクロスEV 100km/h巡航電費:6.63km/kWh(目標電費:9.00km/kWh)
2023年6月計測
BMW iX1 xDrive30 M Sport 100km/h巡航電費:6.42km/kWh(目標電費:6.99km/kWh)
メルセデス・ベンツ EQE 350+(セダン) 100km/h巡航電費:6.19km/kWh(目標電費:6.89km/kWh)
メルセデス・ベンツ EQS450 4MATIC SUV 100km/h巡航電費:4.98km/kWh(目標電費:5.50km/kWh)
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みんなのコメント
日本ではEVがネガティブに捉えられがちでEVユーザーがまだまだ少ないから。
とはいえ田舎の充電スペースもだいぶ使われるようになってきて週末は空きがないことが増えてきました。