TOYOTA GAZOO Racingは10月29日、TOYOTA GAZOO Racing WRCチャレンジプログラムに参加し現在、WRC世界ラリー選手権のトップクラスに参戦中の勝田貴元が、2022年シーズンも引き続き選手権にフル参戦することを発表。勝田は来シーズンからWRCに導入される“ラリー1”規定に基づく新型ハイブリッドラリーカー『GRヤリスWRCラリー1』でトップカテゴリーに挑むことになった。
先日、第2子の誕生をSNSで明らかにした勝田は、2019年にシリーズトップカテゴリーであるWRCクラスにステップアップして以来、トヨタのWRカー『ヤリスWRC』をドライブし、経験を積むごとに力強い進歩を遂げてきた。
ヤリスWRCで勝田貴元がデモラン! 11月7日開催のTGRラリーチャレンジ豊田で実施決定
今季前半戦はそれが顕著に表れた。開幕3戦で連続6位入賞を果たすと、続くポルトガルとサルディニアでは総合4位を記録。さらに第6戦ケニアの“サファリ・ラリー”では自己ベストとなる2位表彰台を獲得し、日本人として27年ぶりにWRC総合表彰台に立つ快挙を成し遂げた。
そんな勝田は来シーズン、TOYOTA GAZOO Racingが新たに立ち上げるサテライトチーム、TOYOTA GAZOO Racing WRT・ネクスト・ジェネレーションから全13戦に出場する。搭乗車両はWRC“ハイブリッド時代”のために用意された新型マシン『トヨタGRヤリスWRCラリー1』だ。
コドライバーに関しては勝田の成長において重要な役割を果たしてきたダニエル・バリットの退任にともない、今月初旬に行われたラリー・フィンランドからコンビを組むアーロン・ジョンストンがその役目を引き継ぐ。彼らはすでに第10戦フィンランドと第11戦スペインの2戦をともに戦っており、最近行われたリモート取材では勝田はコンビネーションに不安はないと述べている。
なお、TOYOTA GAZOO Racing WRTのテストドライバーとしてGRヤリスWRCラリー1の開発にも携わっているユホ・ハンニネンは、引き続きWRCチャレンジプログラムのインストラクターとして勝田を指導していくことが明らかにされた。
■勝田「ダンには心から『ありがとう』と言いたい」
「新時代のクルマで挑戦する2021年シーズンは大変興味深く、その時が来るのを心待ちにしています。多くのことが変わるので、新しいクルマがどんなフィーリングなのか、僕たちがどこまでやれるのか、とてもワクワクしています」と語った勝田。
「また、アーロン(・ジョンストン/コドライバー)と一緒に戦うことも楽しみです。僕たちはすでにとても良い関係ですし、一緒により多くのラリーを戦っていけば、さらにこの関係を強くすることができると確信しています」
彼は、今後もクルマの外から勝田をサポートすることになるバリットと、TGRチームに感謝している。
「2016年からともに戦ってくれたダン(ダニエル・バリット)には心から『ありがとう』と言いたいです。これまでの良い結果は彼がいなければ成し得なかったものです」
「僕にたくさんのアドバイスをしてくれ、ともに楽しい時間を過ごした彼には、これからも引き続きクルマの外からサポートをしてもらいます」
「また、今回このような機会を与えてくれたTOYOTA GAZOO Racingには心から感謝しています。このチームと一緒に仕事ができてとてもうれしいですし、良い結果を出せるように頑張りたいと思います」
引き続き勝田を指導していくハンニネンも、プログラムの継続を喜ぶひとりだ。
「タカがWRCのトップカテゴリーでフル参戦できる機会をふたたび得られることを本当にうれしく思う。今シーズンも多くのラリーを経験したが、来年モンテカルロで新たなシーズンが始まれば、さらに多くの経験を積むことができるだろう」とハンニネン。
「同時にラリー1カーの多くの新しいことにも適応していく必要がある。着実に完走できるように取り組み、良い結果を出し、自信を積み上げていくといった彼が今シーズン成し遂げたことは、来年も彼にとって良いアプローチになると思う」
「そして、自信と良いフィーリングさえ持っていれば、さらにスピードを上げて、クルマのポテンシャルを引き出していけるだろう。2022年も彼の成長に自信を持っているよ」
今シーズン後半戦はバリットの負傷離脱にともなうコドライバーの交代劇もあり、前半戦とは対照的に苦しんでいる勝田だが、新しい体制が固まったことは大きなプラスになるはず。来月イタリアで行われる最終戦モンツァと、その後のテスト等を経て迎える“WRC新時代”では、ハイブリッドを搭載するGRヤリスとともに活躍するシーンを期待したいところだ。そしてその勇姿が『ラリージャパン』で見られることを日本のファンは心待ちにしている。
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