スズキアルトが2021年12月にフルモデルチェンジを行ない9代目がデビューした。注目は+50mm全高が高くなったデザインとマイルドハイブリッドが搭載されたことだ。早速試乗してきたのでお伝えしよう。
9代目アルト。全高を高くし室内スペースが広くなったセダン関連記事:スズキ 9代目の新型軽乗用車「アルト」がデビュー トップの燃費を達成
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ご存知のように軽自動車の主流はワゴンタイプで、よりキャビンスペースやスライドドアなどの利便性を求めるユーザーにはスーパーハイトワゴンが選択されている。とはいえ、ある一定層のユーザーはセダンタイプを好んでいるのは事実だ。さすがに販売台数ではかつての勢いは減っているものの、アルトの累計販売台数は526万台でスズキの軽自動車ではNO1の販売台数を記録している。
そうしたセダンタイプを好むユーザーに応えているのが9代目アルトだ。マーケットニーズではハイブリッドとキャビンスペース。ハイブリッドはイコール環境車というブランドと実用燃費が要望され、ワゴンほどスペースは必要ないが少しでも広いほうがよいというニーズだ。
実用性を重視したセダンでISGマイルドハイブリッドを搭載後席もこの広さ。ワゴン系に迫るスペースを作り出している反面ラゲッジは小さいが、使い方を考慮すれば後席利用などで十分そのため、ボディサイズを変更し全高を+50mmとし1425mmに。室内高は1260mmで+45mm高くなっている。そしてヘッドクリアランスも前席で+39mm、後席で、真上が+27mm、斜め上方で+40mm広くなり、室内幅も+25mmの1280mmまで広くなっている。車両サイズを見ると全長3395mm、全幅1475mm、全高1525mm、ホイールベース2460mmで最小回転半径は4.4mとなっている。
これは乗り込むとすぐに実感できる広さで、運転席に座ったときの頭上の広さ、圧迫感のなさを感じ、後席ではレッグスペースの広さ、頭部周辺の広さをたっぷりと感じることができる。
そしてハイブリッド効果による燃費ではWLTCモード平均27.7km/Lでクラストップの低燃費を実現した。システムはマイルドハイブリッドのISGでオルタネーターに回生と駆動の両方の役目を持たせたタイプを採用している。
同時にエネチャージ搭載モデルもラインアップ。こちらは同様にWLTC平均で25.2km/Lの低燃費で、いずれもFFモデルだ。エネチャージとは減速エネルギーをバッテリーに蓄え、その電力を電装品に使うことでエンジン負担を減らす仕組みのもの。ちなみにマイルドハイブリッド用エンジンは3気筒のR06D型で、エネチャージ用は実績のあるR06A型エンジンを搭載している。出力は共に49psでトルクはR06D型が58Nm、R06A型は55Nmとなっている。
ISGマイルドハイブリッドはRA06D型660CCエンジンでクラストップの低燃費インテリアでは小物置きなどマーケットの声を反映し使いやすい配置にさて、試乗できたのはマイルドハイブリッドのトップグレードXグレードだが、メーカーオプションのディスプレイオーディオなどの装備はないままで試乗してきた。
走り出してすぐに感じるのがボディ剛性のしっかり感だ。室内空間が広がったことによる剛性不足など微塵もなく、逆にしっかとしたボディ剛性を感じる。これは安心と安全の裏支えになっていることをだれでもが感じられるだろう。またドア締めの音も上質になり、安っぽさがない。
その安全装備でも「スズキ セーフティ サポート」が全車標準装備されていることも大きい。デュアルカメラを装備し、夜間の歩行者も検知する衝突被害軽減ブレーキ機能や前後方向誤発進抑制機能、後退時ブレーキサポート、車線逸脱警報なども標準装備されている。さらに6つのSRSエアバッグも標準でフル装着し万が一の衝突事故でも被害軽減する技術が搭載されている。オプションでは全方位モニターカメラやヘッドアップディスプレイなどもある。
前方の視界も広くなった。全高となったボディはフロントのウインドウ面積が広くなり前方視界がいい。さらに斜め後方の視界も改善されている。8代目のアルトはある意味デザインコンシャスな側面もあったため、斜め後方の視界がやや見づらいこともあったが、実用性や安全性から今回改善したようだ。
シンプルで見やすいメーター。オプションでHUDも装着可能マイルドハイブリッドの恩恵は、アイドルストップからの再始動時に感じる。ベルト駆動されるオルタネーターにより再始動するため、滑らかに始動し振動も少ない。高剛性なボディと滑らかな再始動、そして振動やノイズを抑えた新型アルトは上質さを感じる場面が多くある。
とくにフロアセンター付近、左右を繋ぐ部材により振動やノイズの低減に注力しているという。そして開口部を含めた環状骨格により高剛性となり、滑らかな走行フィールにつなげているわけだ。
エンジンパワーでは、物足りなさはあるものの日常使いの範囲を考えれば十分とも言える。今回は高速道路を走行しなかったが、合流や追い越しではエンジンを唸らせて走らせることになるだろう。ちなみにアルトワークスのようなターボモデルが今後追加されるか尋ねたところ、現時点では予定はないということだった。したがってパンチの効いた走りを期待するならワゴンR系のターボ車を選択ということになる。
運転席のシートはシンプルデザインで車格感に似合っていると感じるステアリングでは制御変更を細かく行なっているという。今回市街地しか試乗できていないが、鷹揚なフィーリングは実用性が高く安心感がある。一方で高速ではハンドルセンターに手応えを与える制御にしているというので、直進の座りもいいと感じることだろう。
サスペンションではスプリング、ダンパーの減衰、ばね定数の見直しを行ない、乗り心地の上質さを狙っている。これは14インチタイヤも大きく影響し、市街地でフラットな路面が多い試乗コースのレベルでは静粛性と相まって上質さを感じることができる。
インテリアでは実用性を重視した小物置きのサイズや配置など研究した成果が多く見られ、豊富な収納は便利だ。またディスプレイオーディオを装備するため、A型USBとスマートフォン置き場もあった。
新型アルトの車重は最重量級でも「X」のAWDが760kgで、「X」のFFでは710kgとかなり軽量なモデルになっている。そのためもあり燃費性能は上がり、かわりに衝突安全などの装備充実も行なったモデルということができるだろう。さらには低価格も要求されると思うが、エントリーモデルは100万円を切る94万3000円からで、トップグレードの「X」AWDで137万9400円という価格設定も魅力的なモデルだ。<レポート:高橋アキラ/Akira Takahashi>
価格
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だからこそ、軽量なボデーを活かしてMTで走らせたほうがよっぽどエコだと思うんだが。やっぱりMT廃止は残念。