GT500はメーカーバトルが一層激化
岡山国際サーキットでは3月14日~15日の2日間に渡り、SUPER GT公式テストが開催された。ただし新型コロナウィルスの感染拡大防止のために、同時開催が予定されていた岡山国際サーキットのファン感謝デーはキャンセルされ、公式テストも無観客で行われた。ドライバーやチーム関係者、さらにはメディアにも、毎日の検温が要求されるなど、戒厳下での公式テストとなったが、1ヶ月後に迫った開幕戦を見据えて、各チームは走り込みに余念がなかった。開幕戦は、同じく岡山国際サーキットにて4月11日(土曜)~12日(日曜)に開催の予定されている。
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お互いの手の内を探るテスト走行
公開テストの2日間を通して、1分18秒123のタイムをマークしたNo.14 WAKO’S 4CR GR Supra(大嶋和也/坪井翔)がトップ。さらに、No.38 ZENT GR Supra(立川祐路/石浦宏明)、No.36 au TOM’S GR Supra(関口雄飛/サッシャ・フェネストラズ)とトップ3をトヨタのGRスープラが独占した。
これにNo.17 KEIHIN NSX-GT(塚越広大/ベルトラン・バゲット)とNo.23 MOTUL AUTECH GT-R(松田次生/ロニー・クインタレッリ)が続いている。
トップから10番手のNo.24 リアライズコーポレーション ADVAN GT-R(高星明誠/ヤン・マーデンボロー)までが1分18秒台をマークし、本番での激戦バトルに期待が高まる結果となっている。
初日のテストはサーキット路面がウェットコンディションとなった。午前と午後、2回のセッションはともに、少しずつ路面が乾いていく最高速追求には難しいコンディション。その中でHonda NSX-GT勢が1-2を独占した。
これに対してトヨタの関係者からは「Hondaさんが速いのは想定内」と余裕のコメントが聞かれていたが、その台詞通り、2日目にはGRスープラがタイムシートの上位に並ぶ結果となった。
見た目以上にクルマが変貌
今シーズンのGT500クラスは、3年ぶりの競技車両更新となり、昨年までレクサスLC500で参戦していたトヨタ勢はGRスープラにベース車両を変更。
またHonda勢はNSXで変更はないものの、ベースモデルと同様のMR(エンジンをミッドシップにマウントし後輪を駆動)から、今シーズンはライバルと同様なFR(後輪駆動)にコンバート。
さらに日産勢はGT-RをベースにしたNISSAN GT-R NISMO GT500というネーミングには変更ないものの、車両のコンセプトを、過敏になるほど絶対性能を追求したものからドライバーに優しいクルマへと大きく変更している。
これらのことから、3メーカーによる三つ巴のバトルは、仕切り直して横一線スタートとなっている。
GT300クラスに世界的興隆の流れ
一方、GT300クラスではNo.2 シンティアム・アップル・ロータス(加藤寛規/柳田真孝)が2日目午前にマークした1分25秒595でトップ逆転。
初日の午後に1分25秒649をマークしていたNo.21 Hitotsuyama Audi R8 LMS(クリストファー・ミース/川端伸太朗)は総合2番手となった。
ここ数年来、世界的な流れを受けてFIA-GT3車両が勢力とシェアを伸ばしてきていたが、今シーズンに向けてはBMW M6 GT3=No.7 Studie BMW M6(荒 聖治/山口智英)がカムバックし、また新たにJAF-GT仕様のGRスープラ=No.52 SAITAMATOYOPET GB GR Supra GT(吉田広樹/川合孝汰)がデビューするなど、車両的に大きな目玉となっているものも見られた。
さらに見逃せないのはGT300クラスにもミシュランタイヤが進出してきたことだ。昨年までタイヤ性能争いは、カスタマーチームも含めて多数派のヨコハマと、少数精鋭のブリヂストン&ダンロップとの競合展開だったが、今シーズンはさらにタイヤ開発競争が激しさを増してくる。今年のトレンドとしては見逃せない点だ。
もちろん、注目すべきはメカニズムなどのハードだけではなく、ソフト(=ドライバー)にも要注目だ。
主流のGT500には、昨年、GT300で激しいバトルを見せていた福住仁嶺(’19年のGT300チャンピオン)を筆頭に平峰一貴、サッシャ・フェネストラズ、宮田莉朋、大津弘樹ら有望なルーキーズがそろってステップアップしてきた。
さらに昨年は全日本F3やポルシェカップで戦っていた笹原右京がGT500でSUPER GTデビューを果たすなど、ドライバーリストが一気に若返りを果たしている。
GT300クラスも同様で小高一斗や川合孝汰、大湯都史樹、河野俊佑、菅波冬悟…などなどミドルフォーミュラで鍛えられたヤングボーイズがデビュー。こちらもホットなバトルに期待が高まっている。
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