■e-POWER×2WDで登場した日産新型SUV「キックス」
日産は、日本市場向けに10年ぶりのブランニューモデル新型「キックス」を投入しました。展開グレードは、「X」とカラフルな内装色を選択できる「X ツートーンインテリアエディション」の2つを設定していますが、どちらも駆動方式は2WDのみ、パワートレインはハイブリッド車(e-POWER)のみというほぼ1グレードの設定です。
なぜ、日産はライバル勢とは異なる攻めの1グレード設定でキックスを販売するのでしょうか。
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昨今のSUV市場では、大小さまざまなボディサイズや、ガソリンやディーゼル、ハイブリッドといった複数のパワートレインで細分化するユーザーのニーズに合わせて色々なモデルが登場しています。
例えば、トヨタのコンパクトSUV「ライズ」はガソリン車のみの設定ですが、装備内容が異なる「X/G/Z」という3グレードを設定するほか、駆動方式は2WD/4WDを選択可能です。
また、同じトヨタのミドルサイズSUV「ハリアー」では、ライズ同様に「S/G/Z」という3グレードを基本としますが、GとZにはレザーシートを採用する「Leather Package」というサブグレードを設定しています。
さらに、パワートレインは2リッターガソリン車と2.5リッターハイブリッド車をラインナップ。駆動方式では、ガソリン車が2WD/4WD、ハイブリッド車は2WD/E-Four(電気式4WD)と細かな違いをユーザーのニーズにより選ぶことが可能です。
従来の一般的なモデルでは、装備グレード、パワートレイン、駆動方式をそれぞれいくつか用意することで、ユーザーが選びやすいようにしています。
また、SUV市場では前述のようにさまざまモデルが市場に存在することから、少しでもユーザーの関心を高めるために「選択肢の広さ」を重視していますが、後発で登場した新型キックスはなぜ装備グレード、パワートレイン、駆動方式のすべてで選択肢を狭めた販売方法をおこなっているのでしょうか。
新型キックスの製品企画担当者は次のように説明しています。
「お客さまからSUVの見た目から『4WDの設定が欲しい』という声や『ガソリン車の安いグレードが欲しい』という声を頂いているのは理解しています。
4WDについては、とくに『雪道だとかに限らず、SUVだから4駆というバッチが欲しい』という意見もあるので、今後の商品化に向けて頑張りたいと思います。
なお、e-POWER車は一般的な4WD車と比べてトラクションなどはモーター駆動のほうが制御が優れているので問題はありませんが、唯一4WD車に敵わないのは急な坂道です。
また、e-POWERのみに設定した理由は、『日産としてインパクトが欲しい』ということがあり、このクルマを出すにあたって、e-POWERを全面に押し出して売ることで、日産の電動化技術を訴求する象徴的なクルマという意味もあって1グレードのみにしたという部分が大きいです」
※ ※ ※
また、e-POWERの開発担当者は、新型キックスの特徴について次のように話します。
「キックスは、ノート、セレナに続く3番目のe-POWER車ということもあり、よりe-POWERらしさが洗練されています。
とくに強く改善したポイントは静粛性で、低速時にエンジンを掛けないことにこだわっています。そのため、街中などではEVのような滑らかな乗り心地です。
逆に中間加速といえる時速60キロからの追い越しシーンでは、加速フィーリングに合うようにエンジンの回転上昇を加速感が高揚するように仕立てたため、気持ちの良い運転感覚を実現しました」
※ ※ ※
2016年に登場したノートe-POWERの発売以降、ノート全体の7割はe-POWER車が占めているといいます。この結果も踏まえて、新型キックスの最初は、e-POWERの1グレードに絞っていると日産は説明しています。
■乗ればe-POWERは病みつきになる?
前述のように高い人気が続くSUV市場のなかでも、比較的に扱いやすいボディサイズのコンパクトSUVは熾烈な争いを繰り広げています。
2010年の日産「ジューク」以降、マツダ「CX-3」、ホンダ「ヴェゼル」、トヨタ「C-HR」が各社を代表して販売台数を競い合っていました。
しかし、最近ではトヨタ「ライズ」やダイハツ「ロッキー」、マツダ「CX-30」といったコンパクトSUVの第二世代が登場し、2020年6月に新型キックス、同年9月初旬にはトヨタ「ヤリスクロス」が登場予定と、SUV市場は益々の盛り上がりを見せています。
日産が新型キックスを市場投入する際におこなった調査では、「外観デザインおよびカラー」、「運転のしやすさ」、「乗り心地」が購入時の重要な要素だということがわかっています。
実際にノートやセレナの試乗を希望するユーザーには、e-POWERの試乗後に当初の検討していたガソリン車からe-POWER車に変更したという人が多くいると日産の販売店スタッフは説明しています。
そのため、日産は新型キックスがライバル勢に勝つ方程式として、「e-POWERがもたらす新たな『運転の楽しさ』によって、コンパクトSUV市場で唯一無二のポジションを築くために『コンパクトSUV×e-POWER』を提案する」としています。
また、安価なガソリン車の設定がない1グレードのため、ライバル勢と比べると価格が高い印象がありますが、同じハイブリッド車かつ安全・快適装備を付けた場合にはほぼ同等の金額となるため、ガチンコのライバルとして勝負を挑めるのです。
なお、発売から3週間の状況は約9000台を販売。装備面では購入者の9割「アラウンドビューモニター&スマートリアビューミラー」を選択しているといいます。また、販売店によれば「プロパイロット」や「SOSコール」が全車標準装備なこともあり、ユーザーからは安全・快適面での評価も高いといいます。
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みんなのコメント
乗り出しで280万円ならわかるが、本体価格であれでは高い。
なんせ、NISSANに欲しい車がない