2024年F1第21戦サンパウロGPは土曜日を終え、チャンピオンシップ争いは一層、混迷を深めている。
スプリントを4番手からスタートしたマックス・フェルスタッペン(レッドブル)は18周目にシャルル・ルクレール(フェラーリ)をオーバーテイクして3番手でチェッカーフラッグを受けたが、スプリント終盤に出されたバーチャル・セーフティカー(VSC)の終了時に定められた最低タイムを超えて速く走っていた疑いが生じ、スチュワード(審議委員)に召喚された。
フェルスタッペン、スプリント4位「VSCでチャンスを失ったのは残念だが、トップ争いする速さがあったことは嬉しい」
スポーティングレギュレーション第56条5項で、VSC下では全ドライバーは各マーシャルセクター(ミニセクター)および、セーフティカーライン間において、国際自動車連盟(FIA)が定める標準ECUが設定したタイムより遅く走らなければならないと定められている。
VSC下におけるデルタタイムは、VSCが解除されるという通知が出された後、実際にグリーンランプが点灯するまで守る必要があるが、フェルスタッペンはその直前にVSC中の最低タイムを0.63秒下回って(速く走って)しまった。わずか0.63秒ではあるが、これがVSC下で得たスポーツアドバンテージと解釈され、スチュワードはフェルスタッペンに対し、5秒のタイムペナルティとペナルティポイント1点を加算した。
5秒加算のタイムペナルティを科せられたフェルスタッペンは、約4秒遅れでフィニッシュしたルクレールと順位が入れ替わり、4位となった。
これでフェルスタッペンはスプリント3位の6点ではなく、4位の5点にとどまり、逆にマクラーレンはVSCが導入される直前に2番手だったランド・ノリスがチームメイトのオスカー・ピアストリの前に出すことに成功していたため、8点を加点。本来であれば、1点しか縮められなかったところを3点縮められ、ドライバーズ選手権は47点差から44点差となった。
それでも、残りのレースでフェルスタッペンが2位を続ければ、たとえノリスが全勝しても逆転されることはなく、数字上は有利なままだ。
特に今回のスプリントではアメリカGPとメキシコGPで2連勝しているフェラーリ勢をしのぎ、マクラーレンに肉薄するスピードを披露できたことが大きな収穫だった。
「ペナルティを受けたのは残念だったけど、僕にとってはポジティブなレースだった。それは、ここ数戦失っていたロングランでのペースを回復できたことだ。レースでライバルと戦えたことはよかった。日曜日も、ポジティブな1日になることを期待している」
VSC導入によって見ることができなかったマクラーレンを追撃する走りを、日曜日のインテルラゴスでフェルスタッペンが再現することができるのか。第二幕がもうすぐ開演する。
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