オセアニア地域を代表する人気シリーズ、VASCヴァージン・オーストラリア・スーパーカーのシリーズコミッショナーは、2019年シーズン第9戦イプスウィッチ・スーパー・スプリントを前に、2019年シーズン2度目の性能調整を発動すると発表。再び参戦車両全車のCoG(センター・オブ・グラビティ)を変更することを決めた。
F1開幕戦との併催となった第2戦アルバートパーク・ラウンドを経て、デビューシーズンを戦うフォード・マスタングの突出した戦闘力が明らかとなり、VASCの技術部門はマスタング、ホールデン・コモドアZB、そしてニッサン・アルティマを集めたテストを実施の上で、バラスト位置と重量を急きょ変更。マスタングとコモドアZBにそれぞれ27kgと6.8kgのウエイト搭載が課され、とくにマスタングはルーフ部分にも設置義務が追加されるなどしたため、パドックでも議論の的となった。
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その性能調整に続く今季2度目のCoG変更となる今回の措置では、シリーズ中盤に来ていまだ苦戦の続くホールデン陣営のバラスト搭載義務を全解除。一方のマスタングも9kgの軽減措置を受けるが、ルーフライナーに仕込まれた複合素材のバラストを「鋼鉄製のビーム(剛性部材)に置き換えること」との判断が下された。これにより、依然としてマスタングはデビュー当初より高い重心位置のまま第9戦に臨むこととなる。
そして今季からケリー・レーシングのカスタマー体制となっているL33型ニッサン・アルティマは、2018年のウィントン戦以来勝ち星がないため、シーズン序盤のCoG調整も免除されていたが、今回はさらなる救済措置を受け、エンジンコンパートメント内に搭載義務のあったバラストをオイルサンプ部に移設することが許可され、さらに低重心化を果たし競争力を向上させている。
元VASCのチームオーナーで、現在はシリーズ代表を務めるエイドリアン・バージェスは、技術的変更の内容とこのタイミングでの実施となった経緯を次のように説明した。
「VASCコミッションは、CADを使用した洗練したプロセスによるバラスト搭載位置の精査と技術検証を経て、今回のCoG変更による性能調整を承認するに至った」と語るバージェス。
「(第7戦)ダーウインと(第8戦)タウンスヴィルの間ではファクトリーに帰還しないチームもあり、すべてのチームが本拠地に戻り、ワークショップでの充分な作業時間が確保できるこのタイミングでの実施を決めたんだ」
「この搭載バラスト位置の再調整は、すべてのマシン間でのパワーバランスを維持し、コンペティションレベルの均一化により効果を発揮するものと信じている」
2019年シーズンにデビューしてシリーズを席巻するフォード・マスタング・スーパーカーだが、とくにファクトリープログラムとなるDJRチーム・ペンスキーと王者スコット・マクローリンのパフォーマンスが飛び抜けており、今季ここまで18戦中15勝という圧倒的な戦績を残している。
ドライバーズランキング2位にもチームメイトのファビアン・クルサードがつけ、前戦タウンスヴィルのレース2で久々の今季2勝目を飾ったレッドブル・ホールデン、ランキング3位のシェーン-ヴァン・ギズバーゲンに対しては、すでに200ポイント近い差をつけている。
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