現在位置: carview! > ニュース > ニューモデル > 【比較試乗】熟成の域に達したミドルサイズSUVに求めるのは俊敏なハンドリングかレスポンスか?「ポルシェ・マカン vs BMW iX3」

ここから本文です

【比較試乗】熟成の域に達したミドルサイズSUVに求めるのは俊敏なハンドリングかレスポンスか?「ポルシェ・マカン vs BMW iX3」

掲載
【比較試乗】熟成の域に達したミドルサイズSUVに求めるのは俊敏なハンドリングかレスポンスか?「ポルシェ・マカン vs BMW iX3」

マカンとX3はいずれも熟成の進んだモデル末期のミドルサイズSUVだ。ここでは、ガソリンエンジンを搭載した軽快なマカンTとレスポンスに優れるBEVモデルのiX3を乗り比べて、それぞれパワートレインの特性や魅力に迫る。

マカンとX3は完成度が高く安心して選べるSUV

異色? シンガポールでの感動的な、3代目となる新型「ポルシェ・マカン」発表会

SUVであっても一体感が味わえる走りを求めるなら、ポルシェとBMWは外せない。なかでもミドルサイズのポルシェ・マカンとBMW X3はぜひともチェックしておきたいモデルだ。
いずれもモデル末期を迎えているが、それだけにクルマとしての完成度は高く、安心して選べるのがうれしいところ。
マカンがデビューしたのは2013年11月のことで、10年超えのモデルが現行型として販売されているのは驚きだが、2018年と2021年の2度にわたってフェイスリフトが実施され、そのたびにより魅力を増してしているのはご存知のとおりだ。

今回、試乗したマカンTは、2022年に追加された注目のグレードで、ベースモデルのマカンと同じ2L直列4気筒ターボエンジンを搭載しながら、よりダイナミックな走りを実現するのが特徴。
これまでポルシェの911などに設定されていた“T”モデルを、初めて2ドア以外に設定したというだけに、どんな走りを見せてくれるのか、期待は高まるばかりだ。
マカンに比べるとX3はデビューが新しい。3代目となる現行型は2017年に登場し、2021年にマイナーチェンジを実施。その後、BMWは電気自動車(EV)版のiX3を追加し、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン、プラグインハイブリッド(現在未設定)、電気モーターの4種類を用意している。この中から、今回はEVのiX3でマカンTに挑むことにした。

まずはマカンTから。911カレラTの一番のハイライトが軽量化だったが、マカンTのアプローチはそれとは少し異なるのが興味深い。911カレラT同様、ベースモデルと同じスペックのエンジンを搭載する一方、シャシー性能を高めることで走りの楽しさを追求したというのだ。具体的には、車高を15mm低めたポルシェアクティブサスペンションマネジメント(PASM)を標準装備とするとともに、フロントのスタビライザーの強化やポルシェトラクションマネジメントの最適化も図られている。オプションのアダプティブエアサスペンションを選べば、車高がさらに10mm低くなる。この試乗車もアダプティブエアサスペンションが装着される仕様だ。足元も、マカンの19インチに対して、このマカンTでは1インチアップの20インチホイールを手に入れている。アゲートゲーレーメタリックのドアミラーやサイドブレードとあいまって、より精悍な雰囲気に仕立てあげられているのが見逃せない。

運転席に着くと、スポーティかつスタイリッシュなコクピットが迎えてくれる。以前はたくさんのスイッチが並んでいたセンターコンソールはタッチスイッチに置き換えられて、すっきりとした印象に。それでいて、エアコンの温度や風量の調節には鈍く輝く物理スイッチが用意されているので使い勝手は悪くない。それ以上にうれしいのがメーターパネルで、中央の大きなレブカウンター、その左のスピードメーターがいまどき珍しいアナログタイプというのが、なんとも心地よいのだ。

SUVでも走りはやっぱりポルシェ

コクピットに見とれている間もなくさっそく走り出すと、265psを発揮する2Lターボは低回転からトルクがあり、動き出しは軽やか。レブカウンターが1700rpmを超えたあたりからは力強さを増していくから、街中でも高速道路でも実に扱いやすい性格だ。一方、いざという場面でアクセルペダルを踏み込むと、4000rpmを超えたくらいからさらに勢いがつき、6500rpm超まで気持ちの良い加速が続く。
それ以上に楽しいのがマカンTのハンドリングだ。コーナーに向かいステアリングを操作すると、間髪入れずにスッとノーズが入っていく感覚はまさにポルシェ! 2ドアでなくても、フロントエンジンであっても、同じ感覚の軽快な走りが味わえるはマカンTの一番の魅力だ。

それでいて、エアサスペンションとPASMを手に入れたマカンTは乗り心地も快適であり、スポーティさと快適さを見事に両立させていたのである。
EV専用設計を謳うクルマが多いなかで、このiX3はエンジン車と基本設計を共有する少数派。それでも、パネルにより上3分の2が塞がれたキドニーグリルを見れば、特別なクルマであることに気づくはずだ。
iX3 Mスポーツというモデル名からもわかるとおり、このクルマは4WDではなく後輪駆動を採用している。搭載される電気モーターは最高出力286ps(210kW)、最大トルクは400Nmの実力を誇る。床下には80kWhの大容量バッテリーが搭載され、航続距離は508km(WLTCモード)を達成。このクラスとしては申しぶんのないスペックだ。

Mスポーツだけに、存在感あるエアロパーツや20インチのMエアロダイナミックホイールがスポーティさを後押ししている。
一方、コクピットは懐かしい雰囲気が漂っている。最新のBMWに搭載されるカーブドディスプレイは搭載されず、メーターとセンターディスプレイが分離しているのがモデルサイクル末期を感じさせるが、一方、物理スイッチが並ぶセンターパネルは直感的な操作が可能で、初見でも取扱説明書に頼らずにすむのは実に助かる。
とはいえ、EVならではの操作が必要なのも確かで、メニューから回生ブレーキの設定を探す必要があった。Dレンジでは3段階のレベルと、先行車との距離から自動的にレベル調整を行う「アダプティブ」が選択可能。さらにBレンジにでは強めの回生でワンペダルドライブが可能になる。私はDではアダプティブに設定し、適宜DとBを切り替えている。

準備が整ったところでいざ発進。0回転から400Nmの最大トルクが発揮できるiX3のモーターは、アクセルペダルを軽く踏むだけで2200kgの車両重量を感じさせないほど、動き出しは軽快だ。EVだけに、アクセルペダルを踏む右足に即座に反応する爽快さは、先に楽しんだマカンTをはるかに上回っている。
右足に力をこめると、合成音とともにスピードがぐんぐん伸びていく。0→100km/h加速はiX3が6.8秒、マカンTが6.2秒だが、感覚だけでいえばiX3のほうが駿足に思える。

もともとSUVらしからぬスポーティな走りが自慢のX3だが、EV版のiX3はバッテリー搭載による低重心化により、コーナリング時のロールはごくわずかであり、前960kg、後1250kgの重量配分のおかげで、オンザレールのハンドリングが実に楽しい。
ということで、スポーティな走りを求める人にとって、間違いなく期待に応えてくれるマカンTとiX3。モデル末期だからこそ、いまのうちに新車で手に入れておきたい2台である。

【JUDGMENT】ポルシェ マカンT
どちらもスポーティな走りが楽しめるだけに正直なところ甲乙つけがたい。レスポンスの良いパワートレインを積むiX3に惹かれながらも、ポルシェらしい俊敏なハンドリングには抗しきれず、僅差でマカンTの勝ちとしたい。

【SPECIFICATION】PORSCHE MACAN T
■車両本体価格(税込)=9,010,000円
■全長×全幅×全高=4726×1927×1606mm
■ホイールベース=2807mm
■車両重量=1865kg
■エンジン種類/排気量=直46DOHC16V+ターボ/1984cc
■最高出力=265ps(195kW)/5000-6500rpm
■最大トルク=400Nm(40.8kg-m)/1800-4500rpm
■トランスミッション=7速DCT
■サスペンション=前輪:5リンク、後:マルチリンク
■ブレーキ=前後:Vディスク
■タイヤサイズ=前:265/45R20、後:295/40R20




問い合わせ先=ポルシェジャパン TEL0120-846-911

【SPECIFICATION】BMW iX3 M SPORT
■車両本体価格(税込)=9,220,000円
■全長×全幅×全高=4740×1890×1670mm
■ホイールベース=2865mm
■車両重量=2200kg
■モーター最高出力=286ps(210kW)
■モーター最大トルク=400Nm(40.8kg-m)
■総電力量=80.0kWh
■航続距離(WLTC)=508km
■サスペンション=前:ストラット、後:マルチリンク
■ブレーキ=前後:Vディスク
■タイヤサイズ=前:245/45R20、後:275/40R20




問い合わせ先=BMWジャパン 0120-269-437

関連タグ

こんな記事も読まれています

雨の日の死傷事故は晴れの日の4倍!? いま濡れた路面でもきちんと止まる「低燃費タイヤ」が増えている理由とは
雨の日の死傷事故は晴れの日の4倍!? いま濡れた路面でもきちんと止まる「低燃費タイヤ」が増えている理由とは
VAGUE
日産「新型2ドアクーペ」発表! 「匠の手組みエンジン」搭載&迫力フェンダー採用! 深夜な“紫”も超カッコイイ「Takumi Edition」米に登場
日産「新型2ドアクーペ」発表! 「匠の手組みエンジン」搭載&迫力フェンダー採用! 深夜な“紫”も超カッコイイ「Takumi Edition」米に登場
くるまのニュース
これは便利だ! サイズ調整できる傘型サンシェード
これは便利だ! サイズ調整できる傘型サンシェード
月刊自家用車WEB
いざ冒険の旅へ。スバルで巡る八丈島ドライブ【フォレスター・クロストレック】
いざ冒険の旅へ。スバルで巡る八丈島ドライブ【フォレスター・クロストレック】
グーネット
ハンドメイド「タイレルP34」とF3000「レイナード93D」を7月14日開催「サンブレフェスタ(道の駅おおた)」に展示決定!
ハンドメイド「タイレルP34」とF3000「レイナード93D」を7月14日開催「サンブレフェスタ(道の駅おおた)」に展示決定!
外車王SOKEN
待たせたな!! [新型フォレスター]は燃費大幅アップ間違いなし! スバルの次世代[e-BOXER]はトヨタのTHSをついに搭載へ
待たせたな!! [新型フォレスター]は燃費大幅アップ間違いなし! スバルの次世代[e-BOXER]はトヨタのTHSをついに搭載へ
ベストカーWeb
「高速のコース特性」が原因か。ルクレールとサインツがスペインGPの苦戦は上海に似ていると分析
「高速のコース特性」が原因か。ルクレールとサインツがスペインGPの苦戦は上海に似ていると分析
AUTOSPORT web
ベスパ「LX 125 ABS」【1分で読める 原付二種紹介 2024年現行モデル】
ベスパ「LX 125 ABS」【1分で読める 原付二種紹介 2024年現行モデル】
webオートバイ
一人でくつろぐには最高の空間! スズキ エブリイがベースの軽キャンパー
一人でくつろぐには最高の空間! スズキ エブリイがベースの軽キャンパー
月刊自家用車WEB
受注停止で待てないから即納中古は!? [ヤリスクロス]の中古がとんでもないことになっていた
受注停止で待てないから即納中古は!? [ヤリスクロス]の中古がとんでもないことになっていた
ベストカーWeb
HRC USが2025年からメイヤー・シャンクと提携しIMSAでの役割を拡大。2台のARX-06を投入へ
HRC USが2025年からメイヤー・シャンクと提携しIMSAでの役割を拡大。2台のARX-06を投入へ
AUTOSPORT web
WTRアンドレッティ、2024年限りでアキュラ/HRC USとの提携を終了「別の方向に進む必要がある」
WTRアンドレッティ、2024年限りでアキュラ/HRC USとの提携を終了「別の方向に進む必要がある」
AUTOSPORT web
なんで!? バカ売れ[ヤリスクロス]も樹脂パーツだらけ!! 最近の新車に多いワケ
なんで!? バカ売れ[ヤリスクロス]も樹脂パーツだらけ!! 最近の新車に多いワケ
ベストカーWeb
井戸田潤、メルセデス・ベンツ絶版「Gクラス 320」ショートボディに一目惚れで購入決断!?
井戸田潤、メルセデス・ベンツ絶版「Gクラス 320」ショートボディに一目惚れで購入決断!?
グーネット
履き替えた古いタイヤってどこいくの!?!? 廃タイヤの99%がキチンとリサイクルされている衝撃!! じつは超絶エコだった
履き替えた古いタイヤってどこいくの!?!? 廃タイヤの99%がキチンとリサイクルされている衝撃!! じつは超絶エコだった
ベストカーWeb
総額100万円以下で買える!コスパ+アルファの中古ミニバン5選
総額100万円以下で買える!コスパ+アルファの中古ミニバン5選
グーネット
ショウエイヘルメット、アレックス&マルク・マルケスと2026年まで2年間の契約更新/MotoGP
ショウエイヘルメット、アレックス&マルク・マルケスと2026年まで2年間の契約更新/MotoGP
AUTOSPORT web
ディーラーOPチラシで見る“名車・迷車の魅力”『TOYOTA スプリンター(80系)』
ディーラーOPチラシで見る“名車・迷車の魅力”『TOYOTA スプリンター(80系)』
グーネット

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村