Porsche 911 Carrera4 Cabriolet
ポルシェ911カレラ4 カブリオレ
ポルシェ911カレラ4 カブリオレを国内試乗。オープンモデルの完成形を大谷達也が試す【Playback GENROQ 2019】
40年の集大成。その爽快さ、無限大
エンジンやボディを含めて多くのバリエーションが展開されるのは911の常。クーペのカレラSから始まったタイプ992にも続々と新たな車種が追加されている。上陸したばかりのカブリオレで、初夏の風が香る海沿いへと出かけて見よう。
「この境地に到達したポルシェには賞賛の拍手を贈りたい」
「オープンモデルにもクーペと同じ走りの質をもたらす」このことを最初に意識したスポーツカーメーカーはポルシェだったのではないか。
金属モノコックボディのルーフを切り取ればボディ剛性が低下するのは当然のこと。どれほど補強を行ったところで車重がかさむばかりで、オープンボディにクーペと同等の走りを期待するのはどだい無理な話だと長年信じられてきた。
この不可能に挑戦し続けてきたのがポルシェだった。911に初めてカブリオレが追加されたのは1982年のこと。以来、ボディ剛性を高めてクーペと同等の走りを実現することにポルシェは邁進する。
彼らの努力は実を結び、タイプ991ではハンドリングにクーペとの決定的な違いが感じられないまでに進化。ボディ補強で重くなりがちな車重も70kg差まで縮んでいた。
「ステアリングからの微振動を感じず、いつまでも高揚感が続く」
それでも先代の911カブリオレに私は一点だけ物足りなさを感じていた。それはステアリングの支持剛性。いや、正確にいえば、支持剛性不足ではなく、足まわりに大入力が加わるとステアリングからときおり微振動が感じられることだった。これ自体がハンドリングに悪影響を及ぼすことはなく、911らしいロードホールディングは依然として健在だったけれど、ワインディングロードを攻めているときにこの微振動に出くわすと、たとえそれがごくまれな出来事でしかなかったとしても、それまで高揚しかかっていた私の心がすーっと冷めていくのを感じた。そんなことがあったから、カブリオレの爽快感は十分認めたうえで、「もしも911を買うならやっぱりクーペだよなあ」とありそうもない妄想を膨らませていたのである。
しかし、タイプ992の911カレラ4カブリオレに試乗して、初めてステアリングからの微振動を感じなくなった。だからワインディングロードを走っていても、いつまでも高揚感が続く。「これだったらカブリオレもいいかも」 妄想のなかで暮らす私の新たな独白が、心のなかで静かに響いた。
最近はオープンボディの剛性が軒並み向上しているが、ステアリングの微振動が感じられないのは、少なくとも純粋な金属製ボディではタイプ992の911が初めてだろう。40年近い歳月を経てこの境地に到達したポルシェには心から賞賛の拍手を贈りたい。
「荒れた路面でのコーナリングでも優れたスタビリティを発揮した」
今回試乗したカレラ4というグレードにも好印象を抱いた。
私はこれまでタイプ992クーペのカレラ4S、カレラS、カレラに試乗したことがあるが、サスペンションがしなやかにストロークするのにボディがフラットに保たれるカレラSやカレラ4Sに比べると、カレラは足まわりの動きがやや渋く感じられ、快適性やロードホールディング性は上級グレードに一歩及ばないように思われた。より高価なカレラSやカレラ4Sがハンドリングだけでなく快適性でもベーシックグレードのカレラを凌いでいるのはある意味で当然のことかもしれないが、従来カレラがシリーズ中もっともしなやかな足まわりを有していたことを知るファンからすれば、これは実に意外な方向転換といえるだろう。
ところで、今回初試乗となったカレラ4は、低速域ではカレラに通ずるある種の硬さがかすかに認められたものの、それを除けばカレラSやカレラ4Sに迫るほど路面からのショックを柔軟に吸収してくれるため、乗り心地は快適。しかも、4WDの恩恵か、荒れた路面でのコーナリングでも優れたスタビリティを発揮するので、安心してステアリングを握っていられる。これもまた「これだったらカブリオレもいいかも」と感じた理由のひとつである。
「見上げれば360度がオープンエアという爽快感を強く味わえる」
911カレラ4 カブリオレで味わうオープンドライビングは実に爽快だった。コンバーチブルボディを持つスーパースポーツのなかには、強く寝たフロントウインドウの上端がドライバーの額付近に迫り、オープンカーらしい開放感を味わいにくいケースもあるが、スポーツカーにしては異例に実用性が高い911はAピラーが垂直近くに立っていて、フロントウインドウで顔が覆われている感覚が薄い。それだけに、見上げれば360度がオープンエアという爽快感を強く味わえる。911カブリオレならではの大きな魅力だ。
取材当日は梅雨の中休みで、ときおり強い陽射しが照りつけたが、それでもエアコンを強めにかけ、シートベンチレーションで背中や腰まわりに送風すれば、真夏並みの暑さでも決して耐えがたいということはなかった。事実、この日はほとんど1日中、私はオープンのまま911カレラ4 カブリオレをドライブしたほどだ。
「オープンでも100km/h巡航でキャビン内は平穏そのもの」
そう、なにを隠そう、高速道路での移動でさえ、私はルーフを畳んだまま走り続けた。こんなときに心強い味方になってくれるのが、電動式のウインドディフレクターだ。キャビン後方にネット状のついたてを立てて後方からの風の巻き込みを防ぐウインドディフレクターの有用性は広く知られているが、911はスイッチひとつで起こしたり折り畳んだりできる電動式ウインドディフレクターを先代に続いて採用。加えて最高で120km/hまで開閉が可能なため、高速走行中に風の巻き込みが多いことに気づいてもディフレクターを起こせる。しかも、特別に風が強い日でもない限り、サイドウインドウとウインドディフレクターを上げれば100km/h巡航でもキャビン内はそよそよと風が流れる程度で平穏そのもの。この点、オープンのままグランドツーリングを楽しめる数少ないスポーツカーが911といえるだろう。
歴代911のなかでも、全体的にシンプルでありながら、各ボディパネルを有機的に結びつけて滑らかなスタイリングを作り上げたタイプ992はとりわけ美しい。カブリオレの幌を畳むと、そのすっきりと水平に伸びたショルダーラインが強調され、大地にうずくまっているようにも見える。タイプ992は幌を起こしたときのプロポーションも魅力的。これには911のボディと正確にシンクロするソフトトップの精妙な造形が効を奏しているはずだ。
ルーフを開けてよし、閉じてもよし。さらにドライビングの楽しみを兼ね備えた911カレラ4カブリオレは、225万円の追加投資に値するバリューを備えたオープン・スポーツモデルだ。
REPORT/大谷達也(Tatsuya OTANI)
PHOTO/篠原晃一(Koichi SHINOHARA)
【SPECIFICATIONS】
ポルシェ911カレラ4 カブリオレ
ボディサイズ:全長4519 全幅1852 全高1297mm
ホイールベース:2450mm
車両重量:1650kg
エンジン:水平対向6気筒DOHCツインターボ
総排気量:2981cc
最高出力:283kW(385ps)/6500rpm
最大トルク:450Nm(45.9kgm)/1950-5000rpm
トランスミッション:8速DCT
駆動方式:AWD
サスペンション形式:前マクファーソンストラット 後マルチリンク
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ(リム幅):前235/40ZR19(8.5J) 後195/35ZR20(11.5J)
0-100km/h加速:4.4秒
最高速度:291km/h
価格:1729万円
※GENROQ 2019年 7月号の記事を再構成。記事内容及びデータはすべて発行当時のものです。
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