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フェラーリ250GT SWBを現代に RMLショートホイールベースへ試乗 ベースは550 後編

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フェラーリ250GT SWBを現代に RMLショートホイールベースへ試乗 ベースは550 後編

550用V型12気筒エンジンは485ps

RMLショートホイールベースのダッシュボードには、プロトタイプということで、モーテック社製のデジタルメーターが取り付けられていた。センターコンソール前方には大きなタッチモニター組み込まれるということだが、こちらも未実装だった。

【画像】RMLショートホイールベース コブラにランチア037 再現される名車はほかにも 全101枚

だとしても、インテリアには見惚れる訴求力がある。ドリル加工されたアルミ製ペダルは、550マラネロ用。トランスミッション・トンネルの上部にオープンゲートが切られ、球状のシフトレバーが伸びている。

美しく造形されたアルミのコアを、ソフトなレザーが包むステアリングホイール1つとっても、芸術品のよう。前方には、ボンネットから立ち上がるエアインテークの膨らみが見える。素晴らしい。

エンジンは、自然吸気の5.5L V型12気筒で、最高出力は485ps。フェラーリ550マラネロと基本的に変わらない数字だが、サウンドはよりアグレッシブ。歓迎できる変化だ。

アクセルペダルのレスポンスは正確で、シャープすぎない。このクルマには適した味付けといえる。クラッチペダルは重く、シフトレバーの動きは渋い。RML社のエンジニアが、遊びを調整している最中だという。

それでも、想像以上にスムーズに運転できる。マツダ・ロードスターと変わらないくらい、扱いやすい。驚くほど快適なドライビングポジションが、その印象を強めている。すべてに特別感が漂うが、同時にとても自然でもある。

剛性感の高いシャシーと正確な操縦性

テストコースの運転で特に感心したのが、シャシーの剛性感。フロントのサブフレームと、スチール製フロアの一部分は550マラネロ譲り。そこへ、カーボンコンポジット素材のモノコック・ボディが被さっている。

マクラーレン720Sは上方がオープンのカーボン製タブ構造を持つが、それを逆さまにしたようなもの、と考えても良いかもしれない。つまり、頑丈だ。

サスペンションは、オーリンズ社製のダンパーと、スチールコイルという組み合わせ。テストコースの悪意ある凹凸部分では縮みきってストッパーに当たっていたが、プログレッシブ・スプリングも開発中だとか。姿勢制御は、大幅に良くなるはずだ。

ショートホイールベースの操縦性は軽快で、反応は正確。しかし、若干の緩さも残されており、クラシカルなルックスと不思議なマッチングを見せる。

パワーステアリングも、550マラネロ由来の油圧タイプ。812スーパーファストの超クイックなレシオと比べて、オリジナルの250GT SWBが持つキャラクターに近いはず。

軽く握った指先で、フロントノーズの向きを変えていける。それでいて、うかつにクシャミをしても進路が乱れる心配はない。

乗り心地にも唸らされる。車内空間へ伝わる衝撃を最小限に抑えながら、路面から浮かんだようにスムーズに走る。荒れた舗装の感触は、想像以上にステアリングホイールを通じて手のひらに伝わってくるが、このクルマの雰囲気なら許されると思う。

深く優しく心へ訴えてくる運転体験

ペダルの配置は、ヒール&トゥにピッタリ。コーナーを攻め込んでいくと、シャシーは優れたバランスで落ち着いたマナーを示す。フロントノーズは狙ったラインを乱すことなく、リアは出口に向けたフルスロットルを受け付ける安定性が保たれる。

ボディロールも抑え込まれている。挙動が完璧とまではいえないにしろ、不安になることはない。

全体的に穏やかに調整されたドライビング体験は、クラシックカーを運転しているかのように、深く優しくドライバーの心へ訴えてくる。162万ポンド(約2億5920万円)の英国価格を忘れることができるなら、思う存分ワインディングを楽しめるはず。

残りの開発時間で、アクセルペダルの操作による姿勢調整の領域を広げることができれば、より見事なクルマに仕上がるだろう。生産数は30台の限定だというが、半年もあればすべて注文は埋まると思う。大半は、北米大陸へ渡るようだ。

RML社のCEO、マイケル・マロック氏が、ショートホイールベースに取り組む意義を話してくれた。その半分は、技術者としての情熱を満たすため。もう半分は、長年大手企業の縁の下の力持ちとして活躍してきた自社を、表舞台に立たせるため。

プロトタイプを運転した限り、その目的は充分に達成しつつあるといえそうだ。販売は、2022年の後半が予定されている。

RMLショートホイールベース・プロトタイプのスペック

英国価格:162万ポンド(約2億5920万円)
全長:−
全幅:−
全高:−
最高速度:289km/h(予想)
0-100km/h加速:4.1秒(予想)
燃費:−
CO2排出量:−
車両重量:1575kg
パワートレイン:V型12気筒5474cc自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:485ps/7000rpm
最大トルク:57.8kg-m/5000rpm
ギアボックス:6速マニュアル

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