初心者~ベテランまで楽しめる立派なモータースポーツに発展
記念すべき第1回目の“軽トラ世界一決定戦”が開催されたのは2012年のこと。場所は愛知県のスパ西浦モーターパーク。翌年の2013年にも第2回が開催され、サーキットが軽トラックだけで埋め尽くされるレースに、参加者のみならず観客までもが大興奮。それまでにも軽トラをチューニングしてスポーツドライビングを楽しむユーザーは全国各地に存在していたが、十数台を超える軽トラックが、スターティンググリッドから一斉に飛び出し、チェッカーフラッグを目指してレースをする姿には、見たことのない新鮮さももちろんだが、歴史が動く予感さえした。
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この軽トラ世界一決定戦(スプリントレース)を前身として、ついに、2015年から年間を通じてのシリーズ戦へとグレードアップ。いまでは各地のサーキットを転戦する“Kトラワールドシリーズ”へと発展を遂げたのだ。今年で6年目を迎えるメジャーイベントとなり、レース関係者からは「もう立派なモータースポーツだ」と評価する声も多く集まってきているほど。ここではその、Kトラワールドシリーズ(軽トラ世界選手権)を詳しく見ていこう。
Kトラワールドシリーズとは?
現在“Kトラワールドシリーズ”は、1年を通じて全4戦が開催されている。競技内容はそのうち3戦がサーキットトライアル形式、残りの1戦がスプリントレース形式になっている。2020年は第1戦のつま恋カートコースを皮切りに、第2戦モーターランド鈴鹿、第3戦YZサーキット東コースまでがサーキットトライアル、第4戦の鈴鹿ツインサーキットがスプリントレースの予定。ただし、5月24日に開催予定だった、つま恋での開幕戦は、政府の緊急事態宣言を受けて11月以降に延期が決定。代替日程については10月頃の発表になる見通しとのこと。
これら全4戦に対して上位入賞者にシリーズポイントがクラスごとに与えられ、4戦のうち3戦分のポイントが有効ポイントとなり、その合計で“Kトラワールドシリーズ”の年間順位が決まる。クラスだが、軽トラックはターボとNAに大きく分類され、さらに改造範囲によって細かく5つクラスに分かれている。また、同時開催の軽バン・軽ワゴン、オープン(タイヤや排気量が自由)を含めるとクラスは全部で7つということになる。
※オープンクラスにはシリーズポイントは付与されない。
軽トラは日本にしかない つまり勝てば世界一!!
軽トラ同士のバトルシーンを見るだけでも楽しいし、出場すればもっと楽しいのがKトラワールドシリーズ。シリーズ戦ということで、レースには速さも大事だが、もっと重要なのは戦略や年間を通しての強さ。だから、誰にでも勝つチャンスはあるし、ここで勝てば正真正銘の世界一。「俺はワールドチャンピオンだ!!」って名乗れてしまうのだ。
プレシーズンではスポット開催だったが“軽トラ世界一決定戦”たる、史上初の軽トラだけのスプリントレースを企て、2015年からいまに続く“Kトラワールドシリーズ”を主催しているのがGT CARプロデュース(以下、GTCP)だ。同社は、軽トラチューニングの第一人者と呼ばれ、軽トラックを中心に、チューニングパーツの企画製造販売を事業としているアフターパーツメーカーであり、自動車走行会イベントなどのプロモーターでもある。 そのGTCPの代表である高原氏に、Kトラワールドシリーズの近況を聞いてみた。
「毎年、世界一を目指す新しい参加者も増え、改造度合いの低いクラスでチャンピオンを獲った人は、翌年にはひとつ上のクラスにステップアップされる傾向があります。しかし、チャンピオンを獲った人でもひとつ上に移ると簡単には勝てないのが面白いところです。上位クラスでは、前年からマシンを進化させて来る人が多いので、ベストタイムを塗り替えることができるか、そのあたりが開幕戦の見どころだと思います」。
「今シーズンのレギュレーションは基本的に昨年から変更はありませんが、改造コストを抑えるために一部の高価なタイヤの使用を第3戦以降禁止といたしました。コスト面では1番下のNL(NAのライトチューン)クラスではLSDも使用できません。足や吸排気系をやれば十分に戦えますので入門にピッタリです」。
「Kトラワールドシリーズの良いところは、参加者の皆さん同士で和気あいあいと楽しんでいらっしゃる点です。気になるマシンがあればパドックでドライバーさんに話しかけて見て下さい。チューニング内容を喜んで教えてくれますよ(笑)」。
Kトラワールドシリーズに出場するには?
ここまで読めば、がぜん、出場したくなるもの。参加費用もかなりリーズナブルに抑えられていて、サーキットアタック形式が1万3000円、レース形式が2万3000円(税込/全戦弁当付き)。定められた参加受付期間内に申込用紙を事務局に送付し、参加費用を指定の銀行口座に振り込めば正式申込みは完了。
出場できる車両は車高がカタログ値で160cm以上の軽トラック(ミゼットIIもOK)で、4点式のシートベルトの装着が義務付けられている。それから、ほかのサーキット走行会同様、ヘルメット、グローブ、運転に適したシューズ、長袖長ズボンなどの装備は各自で用意が必要。特別なライセンスなどは不要だ。
初めての挑戦だと、やはり改造範囲の狭い、NAのライトチューンクラス(NL)がオススメ。いわゆるグリップ力が高められたスポーティータイヤやLSDの装着は禁止されていたり、フェンダーからのタイヤのはみ出しやあおりの取り外しもNGになっているなど、純正状態を保ちながら、極力チューニングコストがかからないように配慮されている。もちろんエンジン本体、CPU関連は純正のままで、スロコンも不可。
NLクラスの出場車両を見てみると、タイヤ&ホイール、足まわりを交換し、ホールド性に優れたバケットシートを装着している例が多いが、とにかく「Kトラワールドシリーズを味わってみたい」という人なら、4点式のシートベルトさえ装着されていれば理論的には出場が可能だ。
「できればバケットシートは手に入れたいですね。軽トラは乗用車と違い純正シートが真っ平らで、サーキットでちゃんと運転するのは困難です。ブレーキに関してはNA車であれば純正パッドで十分。スピードが出ませんので(笑)。タイヤサイズはほとんどの人が165/55R14を使っていますね。最初はそのへんに転がっているタイヤでも良いと思います」とGTCP高原代表からアドバイス。
世界チャンピオンになるには、とにもかくにも初めの一歩を踏み出すところから。ぜひ、アナタも軽トラ世界一を目指してみては?
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みんなのコメント
スポーツカーに比べて安く入手出来るし、コレはコレでありだね。