6月6日に2026年から導入されるF1の技術レギュレーションが発表されて以降、このレギュレーションを巡って様々な意見が飛び交っている。
中でも一部のF1チームは、特にアクティブエアロの作動に関する懸念を抱いていることが明らかとなった。
■発表された2026年レギュレーションに向けられる、チームやドライバーからの懸念。FIAは協議の上変更される可能性を示唆
2026年からはF1マシンの前後ウイングのフラップが可動式となり、フラップが閉じてダウンフォースが最大限発揮されるZモードと、フラップが開いてダウンフォースと空気抵抗が削減されるXモードを切り替える、アクティブエアロと呼ばれるシステムが採り入れられる。
しかし当初は、決められたストレートでフラップが開くXモードの作動が、ドライバー制御なのか、それともレース中に自動的に操作されるのかが不明だった。
6月8日に開かれたメディア会見で、FIAシングルシーターのテクニカルディレクターであるヤン・モンショーは、現在オーバーテイク促進策として使われているDRSと同じような運用方法を想定するのが論理的だと説明した。
アクティブエアロはオーバーテイク促進を主眼としたものではないため、前走車から1秒以内に近づくというDRSの作動条件はアクティブエアロには適用されないが、それ以外はDRSと近い運用がされていくようだ。
「すべてはまだチームと話し合っている段階だ。だから、いつどのように作動させるのか、その詳細をすべて説明できるわけではない」
そうモンショーは語った。
「我々が考えている流れは、DRSと似ている。DRSはある時点で前のクルマとの距離をチェックし、それからドライバーが展開する必要がある」
「しかしボタンを押してDRSを展開するのはドライバーだし、閉じるのもドライバーだ。Xモードのアプローチもまったく同じだろうと考えている」
「横方向にかかる加速度が非常に低いか、または全くないなど、いくつかの条件が満たされれば、ドライバーは(アクティブエアロの)ボタンを押すことになるだろう。自動化はされないはずだ」
「そうすればDRS(リヤウイング)とフロントウイングのフラップが開き、低ドラッグの状態になる。そしてブレーキングゾーンに到着する少し前に解除される。そうでない場合でも、確実に解除されるようにする」
またモンショーは、アクティブエアロの安全性についても、DRSと同じようなプロセスで検証されることになると説明。FIAは、Xモードの適用によってもたらされるリスクが最小限に抑えられるよう”厳格な”アプローチを取る予定だという。
Xモードによる空気抵抗の減少によってトップスピードが大幅に上昇することが予想されるため、コーナーに向けたブレーキング時に確実にXモードが解除され、Zモードに戻ることが保証される必要があるのだ。
そうでなければ、時速350km以上の速度から減速することができず、結果としてハイスピードクラッシュを引き起こす可能性がある。
DRSはアクセルを一定以上戻すか、ブレーキを踏んだ時点でフラップが閉じるようになっており、Xモードも同様の解除方法が設定されるはずだ。
「システムに生じる可能性のある故障解析のアプローチは、かつてDRSで行なわれたのと同じようなアプローチになるだろう」とモンショーは言う。
「そして、我々は同じように極めて厳格なアプローチをとる。冬のテストで初めて導入されたシステムが、信頼性の問題や安全性に影響を及ぼすことなく、本来の役割を果たしていることを確認するんだ」
「最初の冬季テストでいくつかのチームが不都合を起こすことは予想される。しかし私は、DRSで長年培った経験はフロントウイングでも完全に通用すると確信している」
「したがって、このシステムは『安全かつ確実に機能させることができるか』という点でチームにとっての大きなチャレンジにはならないだろう。その点はあまり心配していない」
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