2020年7月、北米トヨタは、同社のフルサイズピックアップトラック「タンドラ(Tundra)」の2021年モデルを発表した。
トヨタのピックアップトラックいえば、日本でも「ハイラックス」が売られているが、このタンドラはハイラックスよりもずっと大きく、まさに「アメリカン」な迫力を持つクルマだ。
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今回はこのトヨタ最強ピックアップトラック「タンドラ」について、詳しくご紹介していく。
文:吉川賢一
写真:TOYOTA
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ハイラックスが子供に見えるほどの大きさ
北米トヨタが販売する「タンドラ」は、北米市場で、フルサイズピックアップトラックが大流行した2000年に初代が登場しており、実はまだそれほど歴史が長くない。しかし、デビュー当初と今とでは、見かけも中身も、見違えるほどに進化をしている。
ボディサイズは、ダブルキャブ(ショートBOX、4×4)は、5814×2029×1935(全長×全幅×全高mm)とかなりデカい
現在、販売されているモデルは、2007年に誕生した2代目タンドラだ。既に13年目を迎えてはいるが、毎年、改良モデルが発表されており、2014年にはビッグMCを受けている。エンジンは4.6リッターと5.7リッターのV8、燃費はV8の5.7リッターモデルで15mpg(約6.4km/L)と、良いとは言えない。
タンドラのボディサイズは、ダブルキャブ(ショートBOX、4×4)は、5814×2029×1935(全長×全幅×全高mm)、ホイールベース3700mmとなる。日本でも販売されているトヨタのハイラックスが、5340×1855×1800、ホイールベースは3085mmなので、ハイラックスがまるで子供のように見えるサイズ感だ。なにより、狭い道では絶対にすれ違いたくないほどに、車体がデカい。
写真は前席2人乗りで乗車定員5人のクルーマックス 2列目のドアが大きい点が、ダブルキャブと見分けるポイントだ
タンドラには、他社のピックアップトラックと同様に、数種類のボディ様式がある。現在のタンドラ(北米市場向け)には、前席・後部座席ともに3人乗れて乗車定員6人のダブルキャブと、前席2人乗りで乗車定員5人のクルーマックスという2種類がある。
どちらも全長5.8mは変わらないが、ダブルキャブよりも、クルーマックスの方が、2列目スペースが長く、荷台部分の長さが短くなる。荷室長もレギュラーベッドと、ロングベッドがあり、ダブルキャブのロングベッド仕様は、全長6.2メートルにもなる。もはや普通の交差点を曲がるのでさえ、苦労するほどの長さだ。
オンロード、オフロード問わず、どこでも走れる走破力の高さも魅力だ
ちなみに、ピックアップトラックでよく聞く「キャブ」とは、キャビン(乗員スペース)のこと。2枚ドアのトラックをシングルキャブ、2列のシートを持ち4ドアになるとダブルキャブと呼ぶ。ちなみにキャブオーバーとは、エンジンの上に運転席があることを意味している。
アル/ヴェルがおとなしく見えるほどのギラギラフェイス
現行タンドラのデザインでまず目を引くのは、眩しいほどの大型グリルだ。ボンネットにかかる範囲まで、ギラギラしたメッキでおおわれており、それがフロントバンパーにまで続いている。デビュー当時はもっと大人し目のフロントフェイスであったが、他社車と張り合った結果、ここまで「ギラギラ」になった。
メッキ部分の面積が、デビュー当時に比べて倍くらいに広がったタンドラ それでも、ライバルと比べると、まだまだ控えめに見える場合もある
もはや、アルファードヴェルファイアが大人しく見えてしまうほどだ。タフさや武骨さ、そしてカッコよさ(日本人には気後れしてしまうだろうが)を両立した厳ついマスク、そして日本の「TOYATA」が作っているという信頼感が、北米の若者の心をつかんでいるようだ。
なぜ北米人はピックアップが好きなのか
北米のフリーウェイでは、ピックアップトラックを実によく見かける。北米市場で売れているクルマのトップ3が、すべてピックアップトラックなのだから、当然のことではある。
ベストセラーのフォードFシリーズを筆頭に、GMのシルバラード、FCAのラムトラックの3台が、北米のピックアップトラック市場を独占している状態だ。日本では、燃費が良くて、安くて、コンパクトなクルマが売れているのに、なぜ北米では、まるで真逆のピックアップトラックが売れるのか。
これは日本も同じなのだが、貨物車や商用車は、税金も保険料も安くなる。特に保険は、乗用車とは大きく違ってくる。「若者+スポーツカー」と聞くと、いかにも危険なにおいがするだろう。その通りで、保険料もとんでもない値段となるが、ピックアップトラックは、保険が割安となるのだ。
このように税金や保険料の安さ、そしてオフロード性能の高さ、などもピックアップトラック人気の理由ではあるが、北米で人気の理由は、それらではない。北米の方々は、ピックアップトラックは「カッコいいから買う」のだという。
牽引性能の高さもピックアップトラックには求められる トレーラーハウスやジェットスキーをけん引して、遊びに行くのが定番だ
アメリカでも、もはやセダンはダサいイメージで、親が子供に買い与えるには、ピックアップの方が断然人気なのだという。メーカーもその事情を承知の上で、ピックアップトラックを毎年改良し、魅力的な装備を付け、最優先で売りにかかっている。
ちなみに、タンドラ 2021年モデルの価格は、3万3675ドル(SR 4x2 Double Cab 5.7L V8)、日本円だと約358万円だ。決して安くはないが、多少値段が高くても、ガソリン価格の安さ、保険料金の安さ、魅力的なデザインなどに引き寄せられて、自分の好きなクルマを買っちゃうのだ。
日本では、めったに見かけることができないタンドラだが、もし運よくお目にかかることができたら、ぜひ横から見ていただきたい。思わず「長っ!!」と言ってしまうに違いない。
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