モータースポーツでの戦闘力を最優先に開発された!
一般公道の走行可能なクルマでありながら、モータースポーツでの戦闘力を最優先に開発された準競技マシン。「ランサーエボリューションII」は三菱がその世界に足を踏み入れた最初のマシンと言っていいのかもしれません。
【画像】三菱「ランサーエボリューションII」の画像を見る(15枚)
三菱ランサーにとって2代目となるランサーエボリューションIIのデビューは1994年です。1992年に誕生したランサーエボリューションIももちろん、その名が物語るようにランサーの進化版、競技を意識して開発させていますが、それをさらにチューニックアップしたモデルがランサーエボリューションII なのです。
1992年といえば、ツーリングカー選手戦で世界を制するために開発された日産スカイラインGT-Rが猛威を振るっていた時代です。日本車が世界のモータースポーツを席巻しつつある時期ともいえます。スカイラインGT-Rがサーキットでの活躍が期待されたモデルであるならば、ランサーエボリューションIIの活躍の場はオフロードが主体でした。国内ではダートトライアルやラリーなどのグラベル(未舗装路)をターゲットに開発されていたのです。
実際にWRC世界ラリー選手権では雪のモンテカルロラリーで4位入賞し、厳寒のスウェディッシュラリーでは優勝しています。
グラベルでは圧倒的なトラクション性能が不可欠です。そこでの勝利によって、「三菱=4輪駆動制御技術」が確立されてきたといえますね。
ランサーエボリューションIIは、WRC世界ラリー選手権への出場資格であったホモロゲーションを取得するために、規定された生産台数2500台を満たすために限定生産されました。
当時の世界選手権は、メーカーが生産販売するモデルで競うように決められていましたが、勝利への執念がヒートアップ、数台だけのスペシャルモデルを形の上で生産販売し(実際には高額すぎて誰も買えない販売価格が提示されていました)、それを投入していたのです。
それが常態化していました。一般でも手に入れることができる市販車で戦うことの親しみやすさを求めていた主催者の考えから大きく逸脱してしまっていたのです。その対策として、規則にホモロゲーション2500台市販化の記述を加えたのです。
ですから、多少高額になったとしても、コストを度外視して高額なマテリアルを使用することもできません。燃費や乗り心地など、最低限の快適装備も必要でした。その中で競技での速さを追求していたのです。コンペティションベースマシンと呼ばれるのはそれが理由です。
名機と称されるエンジンを搭載
ランサーエボリューションIIに搭載されたエンジンは、のちに名機と称されることになる「4G63型」です。直列4気筒2リッターターボであり、最後出力は260psに達しました。
ランサーエボリューションIでの問題点を徹底的に洗い直し、サスペンションはメンバーごと新設計、ロアアームは鍛造化しています。リアには機械式のLSDが採用されました。
興味深いのは、タイヤサイズの進化が195/55R15から205/60R15にとどまったことです。オンロードで戦うのであれば、15インチではなく16インチ以上に拡大するのが理想です。拡大によって大径ブレーキを組み込むことが可能になります。サーキットなどでは制動力の不足を指摘されていたのにインチアップはされませんでした。
冒頭で触れたようにランサーエボリューションIIはグラベルでの勝利を目指していたのです。路面のミューが低いグラベルではブレーキへの負担は少なく、ですから15インチでも不足を感じないのです。
そう、つまりそこまで割り切って開発した点がランサーエボリューションIIの凄みのひとつです。グラベルで勝つためだけに生を受けたのがランサーエボリューションIIなのです。純血の競技マシンと呼んでもいいかもしれませんね。
◾️三菱「ランサーエボリューションII」
<エンジン>形式:4G63種類:直列4気筒DOHC16バルブICターボ使用燃料:無鉛ガソリン総排気量(cc):1997圧縮比:8.5最高出力(ps/r.p.m):260ps(191kW)/6000最大トルク(kg-m/r.p.m):31.5 (308.9N・m)/3000燃料供給装置:ECIマルチ(電子制御燃料噴射)燃料タンク容量(リットル):50<寸法・定員>全長(mm):4310全幅(mm):1695全高(mm):1420ホイールベース(mm):2510乗車定員(名):5
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