WRC世界ラリー選手権に参戦している勝田貴元(トヨタGRヤリス・ラリー1)が、フルデイ初日のオープニングステージでクラッシュを喫し、優勝戦線から離脱した。前夜のSS1をトヨタ勢最上位の総合5番手で終え翌朝、旧伊勢神トンネルを通るSS2“Isegami's Tunnel 1”に臨んだ勝田は、スタートから11.8km地点でアクシデントに見舞われた。このときの状況をサービスパークに戻ってきた勝田自身に聞いた。
早朝から本降りの雨が降り続くなか、7時すぎに開始されたSS2では、既報のとおりTOYOTA GAZOO Racing WRTのエルフィン・エバンス(トヨタGRヤリス・ラリー1)がトップタイムを記録した。勝田は前半のスプリットでチームメイトを13秒上回る好ペースを見せていたが、あるひとつのコーナーがこの快進撃を阻んだ。
ラリージャパンは2023年も波乱の幕開け、SS4が悪天候のため中止に。デイ2午前首位はトヨタのエバンス
「ペースは良くて(スプリットタイムでは)トップタイムだった選手と比べて13秒くらい早かったので、乗れていたと思います」とSS2を振り返った勝田。
「レッキから路面コンディションがかなり変わっていて、そのインフォメーションを入れてもらっていたのですが、クラッシュしたコーナーはそれが何もなかったんです。それを信じていった結果、こうなってしまいました」
なお勝田が躓いたポイントは、ダニ・ソルド(ヒョンデi20 Nラリー1)とアドリアン・フルモー(フォード・プーマ・ラリー1)もクラッシュを喫している。彼らのマシンはコースを外れ、道路下の沢に転落。両者とも無事だったが同SSでデイリタイアを喫している。
「クラッシュした場所は、ソルド選手とフルモー選手がクラッシュしているので、まだここ(サービスパーク)まで帰ってこられているだけ不幸中の幸いだったようにと思います。残念ですけどね、本当に速さはあったので」
フロントにダメージを負ったマシンは現在、ミッドデイサービスでTGR-WRTのメカニックによる修復を受けているが、勝田自身も事故後すぐに状況を把握。フィニッシュ後対応にあたり、ラリーで”生き残る”ために全力を尽くした。
午後の出走について問われた勝田は、「サービスでは直ると思います」とコメント。
「(ロードセクションでの)応急措置では直しきれなくて、僕たちができる限りのことをやったのですが、ロードセクションモードで走りきるのが精いっぱいでした。最後のステージ(SS4)がキャンセルになったのは、本当に不幸中の幸いでした」
勝田によれば、車両はラジエーターの片側が完全に壊れフロントアームにもダメージがあって、まっすぐ走らない状態になっていたという。ラジエーターからの水漏れは完全に塞いだものの(エンジンは)ステージモードに入れず、サービスまで「走り切ることを優先」したと彼は続けた。この結果、勝田は現在総合24番手に沈んでいる。
「ここに遊びに来たわけではなく、勝ちに来てこういった結果になったわけですが、それもひとつの経験として……本当にひとつのコーナーでこういうことになるのがラリーなので残念ですけど、まだ長いので追い上げられるよう頑張ります」と前を向いた。
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