世界でも最古の伝統を誇るBTCCイギリス・ツーリングカー選手権の運営団体であるTOCAは、9月にシルバーストンで開催される2019年シーズン第9戦で、現地観戦するファンに向け新たな施策を導入すると発表。その内容は、パドックを訪れたファンに「マシンメンテナンスやドライバーとの交流機会を開放する」“リバースピットガレージ”だ。
シルバーストンでの第9戦でBTCCに参戦する全チームが採用する“リバースピットガレージ”コンセプトとは、世界中のモータースポーツでは当たり前の光景とも言える、ピットロード側を正面とするガレージ運用ではなく、ファンが入場できるパドック側にメイン作業エリアを置くというもの。
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これにより、チームスタッフやドライバーは、ラリー競技のサービスパークさながらに、ファンの目の前でマシンメンテナンスなどを進めることになり、来場したファンもふだんはパーテーションなどでさえぎられ見ることのできない光景を目の当たりにできる。
このアイデアの具現化に際して、シルバーストンの設備とパドックレイアウトが大いに活用され、チームのトランスポーターはピットガレージ棟から離れた場所へと移動される。
これによりリバースピットガレージコンセプトを実行可能かつ安全に運用するカギとなるパドックエリアのスペースが充分に確保されるため、ファンはマシンのセットアップやメンテナンス作業を間近で楽しむことが可能となる。
「これは本当に素晴らしいアイデアだと思う。なぜなら、私が考え出したものだからね!」と、冗談を交えて語るのは、シリーズの最高経営責任者であり、FIAのツーリングカー・コミッション理事も務めるアラン・ゴウ。
「ただし、我々はファンのためだけにこの施策を取り入れることを決めた。チームやドライバーが一般の人々と交流する時間を増やすことができ、観客にとってBTCCの全体的な体験がさらに充実する。そのことが、チームとドライバーに一時的な負担を強いるだけでない、将来的な利益還元につながると確信している」
「通常、モータースポーツのピットガレージは(パーテーションや照明、加飾パネルなどで)“着飾って”ピットロード側を正面として設定されている。すると、パドックを訪れたファンは、通常ピットのバックウォールや備品が置かれる雑然とした環境しか目にすることができないでいた」と続けたゴウ。
「これに対し、パドック側をピット正面として“顔”を持ってくるようガレージを効果的に反転させることで、彼らはピット内で起きているすべての作業を見ることが可能となる。これにより、ファンはチームとドライバーのレースウイークを詳細に観察できるため、レースに向けてより没入感のある雰囲気が生まれるだろう」
「もしこのコンセプトがうまくいけば、シルバーストンに加えてドニントンパークやスネッタートンでも同じレイアウトが採用できるだろう。ピットガレージの後ろに充分なスペースがあれば、どのサーキットでも運用可能なアイデアなんだ」
「マシンがトラックに出る必要があるときは、チームはマシンを押し戻し、ピットレーン側からコース上へ進むことになる。私はこのコンセプトに非常に自信を持っているし、その他のカテゴリーで採用実績があるか、ついぞ知らない。なんでもっと早く思いつかなかったのか、自分に腹が立つくらいだよ(笑)」
全10戦のカレンダーが予定される2019年BTCCシリーズは第7戦までを終えており、次戦は9月14~15日の第8戦スラクストンが待ち受ける。その月末、28~29日のシルバーストンでこの“リバースピットガレージ”コンセプトが初導入される。
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