もくじ
どんなクルマ?
ー 英国では10年ぶりのカローラ
ー 1.2ℓガソリンターボと、ふたつのハイブリッド
どんな感じ?
ー グレード差が少ない見た目や車内の質感
ー 驚きのナチュラルなステアリングフィール
ー バランスに優れた遊べるシャシー
「買い」か?
ー シャシーに見合ったパワートレインが欲しくなる
スペック
ー トヨタ・カローラ2.0ハイブリッドCVTエクセルのスペック
ラングラー・ルビコン(2019年型) ファルケンのワイルドピークM/T01を新車設定
どんなクルマ?
英国では10年ぶりのカローラ
最近は、ドイツの定番ブランドに対するプレミアムを上乗せすることなく、ファミリーユースの優れたハッチバックを選択できるようになって嬉しい。ネタバレをするつもりはないのだが、近い内に素晴らしいフォード・フォーカスのロードテストもお読みいただけるだろう。オリジナルモデルが築き上げた、ダイナミクス性能の輝きを取り戻したようなので、お楽しみに。
日本ではあまり馴染みがないが、キアのシードも新しいプラットフォームと、インディペンデント・サスペンションをリアに採用。ダイナミクスの点ではフォーカスには及ばないとしても、素直で正確性の高い操縦性には、キアのブランドイメージを大きく塗り替えるほどの水準に高められている。キアに対する数年前の認識は、改める必要がある。
そんなファミリーユースのハッチバックに新しいトヨタ・カローラも加わることになった。英国でこの名前を聞くのは10年ぶりだが、実のところ、極めて実用性が高かったものの売れ行きは芳しくなかった、切れ味の良いトヨタ・オーリスの後継モデルという位置付けになる。英国では、サルーンとエステートも選択できた。
トヨタというブランドにとっても、非常に重要な意味を持つクルマだといって良い。ハッチバックモデルの競争が激しく、水準もトップレベルに高い欧州にとっても、世界で最も多く売れた車名が復活することになる。カローラとしては12代目となるモデルになるが、初代は1966年に誕生しており、実はフォルクスワーゲン・ゴルフよりも8年近く先輩だったりする。
1.2ℓガソリンターボと、ふたつのハイブリッド
モデル名がオーリスからカローラへと変わったことは、プラットフォームだけでなく、クルマも大きく変化していることを表している。新しいカローラには、トヨタのグローバル・アーキテクチャ・プラットフォーム(TNGA)が採用され、先代よりもパワートレインの搭載位置を10mm下げることで、重心高も低くし、ハンドリングの向上につなげている。
ボディ剛性も先代から60%増しとなり、リアにはインディペンデント・サスペンションが標準装備された。フロントはマクファーソン・ストラット式となるが、コミュニケーション豊かなステアリングフィールとなるように、ジオメトリーを見直している。
アピアランスの印象は主観的なものだが、金属質な雰囲気がカッコ良いと思う。先代も穏やかな雰囲気で、カッコ良いクルマではあった。新型はどこかルノー・メガーヌと共通する印象を受けるが、ボディサイズは先代より40mm長く30mm広くなっている。フロントオーバーハングは先代より25mm短くなり、プロポーションがメガーヌに近づいたのだろう。比較すると、フォーカスの方がホイールベースは長く、車内の頭上空間はゴルフの方が余裕がある。しかし、車内の広さを気にしなければ、独自の特徴を持ったクルマではある。
現時点では、113psを発生する1.2ℓガソリンターボエンジンと、熱効率の良いアトキンソン・サイクルを採用したエンジンにハイブリッドの組み合わせが選択できる。トヨタは、販売台数の90%はハイブリッドモデルになると予想している。ハイブリッドに組み合わされる1.8ℓVVTi(可変バルブタイミング機構)エンジンと電動モーターとの組み合わせは、プリウスにも搭載されているもの。最高出力は121psで、燃費は23.3km/ℓをうたっており、ガソリンターボエンジンとの優位性は明確。
日本には未導入だが、2.0ℓのハイブリッドも存在する。経済性の面での強みは薄いながら、CO2の排出量はわずか89g/kmで、燃費はカタログ上では21.2km/ℓとなっており、充分評価できる。しかも最高出力は180psで0-100km/h加速は7.9秒だから、ライバルとなるホンダ・シビックやフォード・フォーカスよりも俊足だ。
どんな感じ?
グレード差が少ない見た目や車内の質感
予想通り、テスト車両は4段階あるうち、トップグレードのエクセル。オプションのパノラミック・サンルーフに2トーンのボディカラーが装備されている。ただ、黒塗りのルーフ周りは塗装というより、ラッピングされた雰囲気に近い。エクセルには18インチのホイールを履かされていたが、それ以下のグレードでは直径がひと回り小さくなる。またエクセル以外ではボディ塗装は単色となり、プライバシーガラスや電動ドアミラーもオプションとなるが、LEDヘッドライトはすべてのグレードで標準装備。カラードバンパーも全車共通となっている。正直、グレードによって見た目の大きな差はないだろう。
車内でも同様で、デザインでカローラらしさというものは得られていないが、グレードによって明確な違いは感じられない。インスツルメントパネルのモニターが7インチから4.2インチへと小さくなるくらい。とても良いことだと思う。インフォテインメント・システムのできはいまいちだけれど。
トランスミッション・トンネルは先代よりもボリュームが増えたが、全体的に整然とし、シンプルになった印象。ダッシュボードは彫刻的な造形になり、ピアノブラック仕上げとクロームメッキ仕上げのプラスティック・トリムの使用も一貫性がある。プラスティックにスティッチが施されたレザー風のダッシュボード素材にだまされるひとはいないと思うが、安っぽくは見えない。手に触れる部分は、しっかり素材を吟味してある印象だ。
新しいプラットフォームを得たこともあり、Aピラーは細くなり、グラスエリアの下辺、スカットルも低められた。またドアミラーの位置も見直すことで、フロントサイドにクォーターガラスを設け、視認性を向上させている。オーナーの要望を受けてか、シフトノブもしっかりしたものになり、操作感も先代のオーリスから改善されている。
驚きのナチュラルなステアリングフィール
ラゲッジスペースは広くはない。容積は、2.0ℓハイブリッドで316ℓ、1.8ℓハイブリッドと1.2ガソリンターボは361ℓとなっている。Cセグメントに属するモデルとしてはかなり小さい方で、普通のサイズの旅行カバンを何個か積むのも大変かもしれない。
総じて、フォード・フォーカスよりはデザインの特徴や品質の面では優れているといえそうだが、決して上質というわけではない。また、プレミアムブランドのライバルとは明確な差がある。
ギアをDに入れてアクセルを踏めば、トランスミッションとデフが一体になったトランスアクスルに搭載された電動モーターによって、カローラは極めて静かに走り始める。2.0ℓハイブリッドの場合、駆動用モーターとバッテリーの容量が大きく、電力だけで112km/hまで走行が可能となり、回生ブレーキの性能も高められている。今回のスペイン・マヨルカ島でのテストドライブでは、クルマのダイナミクス性能を確かめる良い機会となった。
最も驚かされたのがカローラのステアリングフィールのナチュラルさで、想像以上の正確さを持って低められたノーズが進路を変えていく。そしてしっかりした情報が、薄地の革が巻かれたステアリングホイールへと伝わってくる。
スポーツモードではモーターの介入が少なくなり、エコモードでは積極的にモーターが機能してくるが、常にクルマの挙動はリニアで、サスペンションのダンピングも良い。間違いなく、クラスでもトップグループに属している。とても嬉しい完成度だ。
バランスに優れた遊べるシャシー
しかしマヨルカ島の路面は非常に滑らかで、乗り心地に関しては充分評価することができなかった。近くカローラを英国中心部、ダービーシャー州の郊外の道に持ち込んでテストする予定だから、その時に明らかになるだろう。サスペンションは通常のパッシブダンパーが標準装備で、アダプティブダンパーはオプションとなる。テスト車両には通常のダンパーが選択されていたが、少なくともこの環境で路面で見つけた荒れた部分や剥がれた箇所では、容易にいなしていた。
乗り心地に関しても、トヨタが理想とするであろう快適さを犠牲にすることなく、しっかりボディの余計な動きは抑制されている様子。新しいカローラは、とても優れたバランスを得ているだけでなく、一緒に走りを楽しめる性格も備えている。フロントタイヤのグリップは充分に高く、積極的にクルマを操作していくと、リアタイヤがスライドすることも受け入れてくれるのだ。先代のオーリスのオーナーは、こんな遊び方はしなかったかもしれないが、新しいカローラのオーナーには、ぜひ楽しんでもらいたい。
しかしエンジンに関しては、想像の範囲内。クルージング時の洗練性は高いものの、シャシー性能を積極的に引き出せるほど、有能なわけではない。初期のアクセル操作に対しては、エンジンのレスポンスを抑え、電動モーターが積極的に働くように設定してある。新しいシングルスピードのリダクションギアで減速されるモーターとエンジンとの組み合わせは、アクセル操作と実際の加速感とが従来以上にリニアになっている。
しかし、そこからさらに深く踏み込むと、やや苦しい印象になってしまう。加速性能に関してはカタログ通りだとは思うが、それが実感できず、力強さに関しては少し物足りないといえるだろう。
「買い」か?
シャシーに見合ったパワートレインが欲しくなる
少なくとも、今回テストした2.0ℓユニットに関わらず、ハイブリッドシステムのモデルには一長一短がある。しっかり新しいカローラをテストすれば、クラスをリードする優れた燃費も実証できるだろう。もし経済性を優先するのなら、走り出しの洗練性やインテリアの雰囲気、優れたハンドリングなど、カローラを気に入る要素は沢山あると思う。
反面、折角の高いシャシー性能とシャープなスタイリングに見合った、魅力的なエンジンが搭載されていないのが残念だ。回生ブレーキでエネルギーは回収できても、肝心のブレーキのフィーリングは犠牲になっているし、回収したエネルギーを持ってしても、パフォーマンスが秀でているわけではない。フォード・フォーカスSTラインのような、ホットといわないまでも、スポーティな味わいがカローラには欠けていると思う。
生まれ変わったカローラは、先代のオーリスよりも明確にドライバーへの訴求力は高められていることは間違いない。しかしトヨタには、GRMN(ガズー・レーシング・マイスター・オブ・ニュルブルクリンク)という部門がある。より熱を帯びたモデルの必要性に気付いて欲しいし、それを実現できるバックグラウンドも備わっているのだ。
トヨタ・カローラ2.0ハイブリッドCVTのスペック
■価格 2万7345ポンド(388万円)
■全長×全幅×全高 4370×1790×1435mm
■最高速度 180km/h
■0-100km/h加速 7.9秒
■燃費 17.8~21.4km/ℓ(WLTP)
■CO2排出量 89g/km
■乾燥重量 1340kg
■パワートレイン 直列4気筒1987cc+モーター
■使用燃料 ガソリン
■最高出力 180ps/6000rpm
■最大トルク 19.3kg-m/4400-5200rpm
■ギアボックス 電気式CVT
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