ニューハンプシャー・モータースピードウェイで争われた2022年NASCARカップシリーズ第20戦『Ambetter 301』は、予選ポールポジションからレース最多の172周をリードしたマーティン・トゥルーエクスJr.(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタ・カムリ)を引き継ぎ、僚友クリストファー・ベル(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタ・カムリ)が最後の勝負でチェイス・エリオット(ヘンドリック・モータースポーツ/シボレー・カマロ)を降し今季初優勝。シーズン14人目の勝者となった男が、最新のプレーオフ候補にも名乗りを挙げた。
前週アトランタでの第19戦を終えたカップシリーズのパドックでは、早くもポストシーズンに向けた動きが活発化し、トヨタ陣営23XIレーシングの共同所有者でもあるデニー・ハムリン(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタ・カムリ)は、2年後の2024年に向け新たなドライバー契約を発表。先々週のロードアメリカで、カップ初優勝を決めたタイラー・レディック(リチャード・チルドレス・レーシング/シボレー・カマロ)との複数年契約締結をアナウンスした。
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「僕は長年、彼の成長をこの目で見て来たし、ともにレースで戦って来た。だからこそ彼を仲間にしたかったし、こうして彼を手に入れたってわけさ」と、レースウイークの火曜に明かしたチーム共同オーナーのハムリン。
「まだ18カ月の猶予があるし、これに伴うことは他に何も決まっていない。正直なところ隠された秘密はないし、スポンサーが誰になるか、どんなクルマを用意できるかも決まっていない。僕らが知っているのは、彼が欲しかったことと、タイラーがこのレースチームとの将来を確実に描ける足場を確認したかったことだけだ」
これにより、約1年半後のシーズンにシボレー陣営から移籍することが決まったレディックは「とてもエキサイティングだ」と、新天地での意欲を示した。「デニーを中心に、彼らが僕の実績を信じている量と、僕自身が彼らのテーブルにもたらすことができる成果を考えれば、素晴らしくワクワクするよ」と続けたレディック。
「チームは非常に若いけれど、初日からとても前向きな方向に進んでいるのは明らかだ。彼らとともに戦えること、この契約を発表できたことに本当に興奮しているし、それはもうみんなの知るところになったんだ。彼らと同様に僕もRCRでの仕事に戻り、可能な限り競争力を維持するつもりさ。そして未来に何が待ち受けているのかを知っているのは、最高の状況だね!」
その発表から数日を経た金曜には、タイ・ディロン(ペティGMSモータースポーツ/シボレー・カマロ)が今季限りでのチーム離脱を表明。移籍先はまだ明かされていないものの「来季も確実にカップシリーズのグリッドに留まるつもりだ」との決意を語っている。
こうして始まったニューハンプシャーでの週末は、ウイリアム・バイロン(ヘンドリック・モータースポーツ/シボレー・カマロ)の最速で始まったプラクティスから、エリオットを降したトゥルーエクスJr.の予選ポール獲得まで、ひとつのコーションもない“クリーンデイ”となり、翌日の決勝ではJGRの2017年王者が4年ぶり最前列からのスタートを切ることとなった。
■決勝では最終コーションでの選択が勝負を分ける
「ようやくここに来れたこと、チーム全員の努力を誇りに思うよ。今季は成績が激しく乱高下し、掘ったり、引っ掻いたり、足掻きに足掻いて戦って来た。このトラックは僕にとって特別な場所だけど、こうしてポールを獲得できるとは期待していなかったよ」と明かしたトゥルーエクスJr.。
「僕らのピットクルーは今年の初めから本当に長い道のりを歩んできたし、明日は本当に彼らに頼る必要がある。でも1番前からスタートできることにワクワクしているよ」
そう語ったトゥルーエクスJr.は決勝でも好調さを維持し、日曜のレースを支配。両方のステージをスイープして172周の最多リードラップを記録していく。ルーティンピットでのリードチェンジ以外、盤石の展開で進めたトゥルーエクスJr.は最初の185周のうち160周をリードして、勢いそのまま終盤戦へと突入する。
しかし最後のコーションで“2タイヤ”を選択したリーダーに対し、カート・ブッシュ(23XIレーシング/トヨタ・カムリ)、ジョーイ・ロガーノ(チーム・ペンスキー/フォード・マスタング)、コール・カスター(スチュワート-ハース・レーシング/フォード・マスタング)らがステイアウトを選択したことで、復帰後には11番手にまで後退することに。これにより、この日最速だった19号車をもってしても、チェッカーまでに4番手まで挽回するのが精一杯の結末となってしまった。
そのトゥルーエクスJr.に代わって終盤の主役を引き継いだのが僚友20号車のベルで、残り42周時点でエリオットの9号車をパスしたのち、205周目に最後のピットで2輪交換を済ませると、周囲よりフレッシュなタイヤグリップも活かして独走体制へ。後続に対し5秒以上のマージンを築いたベルが、カップシリーズでのキャリア通算2勝目を飾る結果となった。
「カップで優勝するのは本当に難しいね!」と、レース直後に勝利の喜びを表現したベル。「僕の観点から言えば、あの勝負が今日の最大の“山場”だった。45号車(カート)、22号車(ロガーノ)、そして9号車(エリオット)とのレースはとても楽しかったよ。僕らはみな違うラインを選んでいて、最高に爆発的な感覚だった」
「僕らは今季、勝利のすぐ近くにいたけれど、ここ最近は少し離れていったように感じていた。勝利の危機に瀕しているような気分だったし、それがここでやって来るなんて……JGRをビクトリーレーンに戻すことができて最高にハッピーさ!」
その背後では「今日は僕の努力が足りなかった、ベルにおめでとうを言いたい」と語ったエリオットが2位に続き、3位にダレル“バッバ”ウォレスJr.(23XIレーシング/トヨタ・カムリ)と、4位のトゥルーエクスJr.を含め6名のトヨタ陣営ドライバー全員がトップ12圏内でフィニッシュする健闘を見せた。
一方、併催のNASCARエクスフィニティ・シリーズ第18戦は、ニューハンプシャーで7戦連続となるJGR陣営の勝利を狙っていたトレヴァー・ベイン(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタ・スープラ)を降し、ジャスティン・オルゲイアー(JRモータースポーツ/シボレー・カマロ)が今季3勝目を手にしている。
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