■N-VANは決して長い板の積載をあきらめていない
ホンダの新型N-VANのインテリアといえば、折りたたんでフラットになる助手席と後部座席によりフラットになることがアピールされていますが、反対に従来の軽バンに比べて板などの積載性が劣る部分もあります。従来の軽バンとなるアクティ バンが運転席シート後ろ側から後部まで最大1940mmあったことに対してN-VANは1510mm。しかし、N-VANは積載を全くあきらめていません。
ハイエースの牙城崩せるか! ホンダ「N-VAN」 バイクを積んでも後方確認もOK
例えば板ならば立てることで積むことが可能になるものもあります。立てかけるためには純正アクセサリー「ラゲッジアシストポール」などを使うほか、頑丈なタイダウンフックは立てた資材を固定するためにも役立ちます。
すべてがこの方法で解決するわけではありませんが、助手席まで折りたたんだ場合の荷室長は最大2635mm。ホンダでは、室内に幅広の脚立を立てて積み込み、荷室が変化することに対する答えとしています。
固定するためのフック類ですが、バイク積載にも使えるという強度を持つとしており、どんな積載物もしっかり固定しておくことができます。そのうち、運転席のシート後方の位置にあるフックは大きくてフレームに固く結合されており、フック自体の強度も非常に高いものとなっています。万一の際のためにしっかりと締め付けることもでき、安心して荷物を積むことができます。
強度については、実際にフックに触れてみると剛性感を感じることができます。自動車のトランクのフックといえば、強い力で締め付けるとフック自体が曲がったり、外れてしまったりしそうなものも見受けられますが、N-VANに関してはそれがありません。
■ヘッドレストの収納場所がある
助手席と後部座席を折りたたんでフラットになるということが訴求されていますが、ただ、折りたためるだけでなく工夫を発見することができます。
まず、ダイブダウンするときに邪魔になるのが座席のヘッドレスト。薄くて非常用シートの印象すらある後席ですが、ビジネス向けのGやL以外はヘッドレストに相当するシートピローがあり、後部座席に座る人の安全性や快適性を少しでも確保しようという意図が感じられます。
ただし、ヘッドレストを搭載すると困るのはフラットにした際の置き場所。フラットに折りたたむためにはヘッドレストを外す必要があり、その置き場に困ることがあります。
N-VANでは助手席のヘッドレストは助手席ドアに、後部座席のシートピローは後部のラゲッジスペース壁面に収納する場所を用意しています。外して車庫に置いておいて必要なときに使えなかったり、紛失してしまったりということがなくなりそうです。
■運転席足元の仕切板がいい
助手席部分まで荷物が満載となると困るのは、荷物が動いて運転席足元まで出っ張ってきた場合。ペダルの下に転がりこむようなことがあれば、非常に危険です。N-VANはその点についても対策済。運転席の足元に仕切板である「小物侵入防止版」があり、荷物の転がりを防いでくれるようになっています。
また、シートアレンジをする際のレバー類もオレンジ色でわかりやすくなっています。一般的なクルマの場合はシートと同じ色あいになっていることが多く、目立ちにくくなっていることと正反対です。N-VANのオレンジ色のレバー類はさりげない色あいで、ブラックやグレーの内装に合っていて、しかも、運転席側から目障りに感じることもありませんでした。
荷室後部にはタイヤ交換をするためのジャッキも搭載しています。ジャッキ収納場所のフタには長さの目盛りが刻んであり、簡易的に物の長さの目安とすることができます。カタログ等には記載されていませんが、内装をデザインするなかから、ちょっとした遊び心から生まれたものだそうです。
■スペアタイヤはフランス車のよう
ホンダのNシリーズではスペアタイヤを搭載せずパンク修理キットで済ますことが多いですが、N-VANは業務用として使うことが想定されることからスペアタイヤの装備は絶対条件として設計されたといいます。
その結果、スペアタイヤの搭載場所は後部床下。バンパーの中央部分を外し、フックを緩めるとスペアタイヤを保持するトレイが下がり、タイヤを取り出すことができます。
こういったスペアタイヤの収納方法はフランス車によくあるもので、外部に出したスペアタイヤに泥跳ねなどが付着するものの、スペアタイヤを取り出す際に荷物を下ろす必要もなく、交換して汚れたタイヤを荷室内に持ち込むこともありません。まさに貨物車に適した方法といえるでしょう。
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