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【手に入る内に楽しみたい】フォルクスワーゲン・アップGTI 極小ホットハッチ復活

掲載 更新 11
【手に入る内に楽しみたい】フォルクスワーゲン・アップGTI 極小ホットハッチ復活

WLTPテストに対応して再上陸

text:Matt Saunders(マット・ソーンダース)

【画像】VW Up! GTIと競合コンパクト 全73枚

translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)


マイナーチェンジを受けたフォルクスワーゲン・アップGTI。フォルクスワーゲンが2020年にラインナップするホットなハッチバックの中で、最も小さいモデルだ。

価格は若干高くなったが、際立った何かがあるわけではない。クルマの放つ誘惑は変わらないものの、ショールームに姿を見せるのは久しぶり。

ホットなアップは、2018年の1月に登場して以来、英国でも高い人気を集めてきた。だが、台数の限られる右ハンドル仕様を、英国のニーズが満たせるほどは割り当てられずにいた。

WLTPテストへ対応させる期限が迫る中で、アップGTIは2019年4月に一度販売をストップしていた。そして今、テストを無事にパスして、アップGTIが戻ってきた。

新しく2次元化されたブランドロゴをまとう、初めての1台でもある。VWのレタリングは細くなったが、従来どおりブラックの上にクロームで記されている。

それ以外は、基本的に以前と変わらない風貌。ボディサイドの下に入るダブルストライプのグラフィックと17インチのアルミホイール、黒く塗られたサイドミラー・カバー、小さなルーフスポイラーが、やんちゃな雰囲気を漂わせる。

ルックスからは従来どおり、充分な熱量を感じ取れる。ひと目見ただけでGTIだとわかるし、眉をひそめられそうな乱暴さもない。走りを過度に期待させるほどでもなく、丁度いい仕立て具合だと思う。

車線維持支援システムが追加

車内も、基本的にこれまでと変わりない。GTIの印といえるジャカラ・タータンチェックのクロスがシートに張られ、ダッシュボードは赤いドット柄のトリムパネルが目を引く。

ほかのアップと同様に、GTIにはカメラ映像を利用した車線維持支援システムを搭載。思い思いに走りたい時は、ボタンを押してオフにもできる。カーテン・エアバッグも標準装備となった。

5.0インチのインフォテイメント用モニターもそのまま。機能は限定的だが、ダッシュボードにはスマートフォンの固定用スタンドが用意された。システムと連携させることで、ナビゲーションとして利用したり、音楽を楽しんだりできる。

価格を考えればよく考えられたシステムだ。小さなドライバーズカーには、これで充分。

新しいアップGTIだが、ドライビング体験に関して変更された部分はない様子。従来どおりコミュニケーション力豊かで喜ばしい。クルマの限定的な動力性能と合わさり、ホットハッチの愉しさが引き立っている。とても豊かな個性を生んでいるといっていい。

3年前に登場した時、フォルクスワーゲンは標準のアップから車高をわずかに落とし、サスペンションを硬くしていた。17インチのホイールを履き、オフセット値を見直してトレッドを広げてあった。

限られたメニューが、アップにずば抜けたグリップ力やコントロール性を与えたわけではない。だが115psと20.4kg-mのエンジンパワーは、クルマに必要充分な活気をもたらしていた。

シャシー性能を引き出して楽しめる

2018年当時、一般道でシャシーの性能を充分に引き出して楽しめた。それは、2020年でも変わりない。ボディは短く軽量だから、クルマの進行方向を変えるのも自由自在。

今回試乗してみると、サスペンションはわずかに柔らかくなったように感じられる。ボディの上下方向の動きは、少し落ち着きを増した印象だ。だが、英国郊外の国道を走らせていると、相変わらず車内は穏やかさに欠ける。

標準のアップのようにボディロールやピッチングが目立つわけではない。でも、路面の起伏が目立つ場所で速度を乗せていくと、以前のように活発に跳ねる。ボディロールは抑えきれず、グリップ力も平均より上、くらいだ。

同等サイズのライバル・ホットハッチの方が、より路面に強くしがみつき、機敏さも自然。だがアップGTIは限界領域でもクルマの状態をドライバーがしっかり感じ取れるから、多くの人が考えている以上に、攻め込んだ走りを楽しめる。

搭載する1.0Lの3気筒ターボエンジンは、中回転域でのパワー感に優れ、速く走らせたいという気持ちにさせてくれる。WLTP値へ適合されての再登場だが、元気さを削がれたわけではなかった。

1990年代の小さなロケットマシンのステアリングを握ったことがあるドライバーなら、もっと激しくエンジンが吹け上がるのを期待するかもしれない。フォルクスワーゲンは、デジタル的にも、サウンドの物足りなさを補強しようとは考えなかったようだ。

手に入る今のうちに楽しんでおきたい

ESPシステムを完全にオフにできない仕様なのは、少々残念に感じた。またブレーキペダルを踏むと、すぐにスロットルが絞られる設定も惜しいところ。

もう1つ、6速マニュアルのフィーリングも、少し曖昧なところがある。質感は向上できた部分だと思う。だとしても、いずれもアップ GTIの面白さを阻害するほどではない。

今後のマイナーチェンジがあるのなら、手を加えたい部分は明らかに残ってはいる。しかし、こんなクルマが手に入る今のうちに、思う存分ドライビングを楽しんで欲しい。おそらく、次のマイナーチェンジはやってこないはずだから。

フォルクスワーゲン・アップGTIは、ドライバーへの魅力に溢れ、価格も充分に訴求力がある。多くのライバル・コンパクトは、トップグレードにも電動化技術を採用していく中で、アップGTIは孤高といえる中身を保持している。

フォルクスワーゲンは今後も、われわれを喜ばせてくれる、正しい道を指し示してくれると期待してしまうデキだ。

フォルクスワーゲン・アップGTIのスペック

価格:1万5895ポンド(227万円)
全長:3600mm
全幅:1645mm
全高:1504mm
最高速度:196km/h
0-100km/h加速:8.8秒
燃費:18.8km/L(WLTP複合)
CO2排出量:120g/km(WLTP複合)
乾燥重量:995kg
パワートレイン:直列3気筒999ccターボチャージャー
使用燃料:軽油
最高出力:115ps/5000-5500rpm
最大トルク:20.4kg-m/2000-3500rpm
ギアボックス:6速マニュアル

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