8月4日、2023スーパーGT第4戦が行われている富士スピードウェイにおいて、今シーズン限りでスーパーGTドライバー引退を発表している立川祐路の記者会見が開催された。
会見には立川に加え、スーパーGTを運営するGTアソシエイション(GTA)の坂東正明代表、2015年から8年半に渡って立川のチームメイトを務める石浦宏明、現役時代に長年ライバルとして立川と争ったTGR TEAM SARDの脇阪寿一監督、そしてトヨタ自動車代表取締役社長兼TOYOTA GAZOO Racingヨーロッパ(TGR-E)会長を務める佐藤恒治氏が来賓として出席し、それぞれが立川に花束を贈呈して引退への思いを述べた。ここでは、4名のコメントを紹介する。
「引退するのは初めてなので」立川節あり涙ありの引退会見「今の自分があるのはスーパーGTがあったからこそ」
■坂東正明(GTアソシエイション代表)
お疲れさまということに加え、引退コメントのなかに『スーパーGTというカテゴリーを継続して開催してくれたGTAに感謝』という言葉がありましたけど、我々にとってこれほど嬉しいことはないです。GTAのスタッフみんながここまで作り上げてきたレース、そしてスーパーGTを継続してきてよかったです。
ひとりの人間の25年、スーパーGTはその人間の財産と言われるものになりました。我々はこの財産がより大きくなるために25年開催してきました。それが95点だろうが100点だろうが、分母の部分をより大きくして、このスーパーGTをプロの世界としてきっちりと評価していただいたことを非常に嬉しく思います。
そして、このカテゴリーが“プロカテゴリー”であり、このシリーズのなかで育ち、スーパーGTを支えてくれた立川選手には、これからもスーパーGTに関与していただきたいと思います。立川選手は、これからも一緒にスーパー GTというモータースポーツを広げていくためにも必要な人間です。本当に長い期間スーパーGTと一緒に歩んでくださり嬉しく思います。ありがとうございました。
石浦宏明(TGR TEAM ZENT CERUMO)
僕と立川さんは6歳しか年齢が違わないのですけど、自分がカートを始めたころからすでにトップドライバーとして立川さんは活躍されていました。本当に立川さんや(脇阪)寿一さんに憧れて『スーパーGTドライバーになりたい』と思ってレースをしてきました。
レースを始めた後も『立川さんと組んでレースをしたい』とトヨタさんにお願いしてきた縁があり、念願が叶って一緒にレースをさせていただくことになりました。本当に数々の楽しい思い出や辛い思い出などもありましたけど、ここまで一緒にレースをさせてもらって本当にありがたかったですし、こういった立派な会見を見ることで、改めてこんなに凄いドライバーは他にいないと思いました。
後で後悔するかもしれないですけど、自分はもう少し(レースを)やらせてもらいたいと思っています。そんななかで立川さんの一発の速さ、鋭いオーバーテイクが来年から見られなくなってしまうことに対して寂しい思いがあります。
今後、立川さんがどうされるかは自分もまだわからないですけど、過去のスーパーフォーミュラでは監督とドライバーとして良い思い出もたくさんありますし、今後はまた一緒にいろいろな活動ができたら嬉しいなと個人的には思っています。引退後はドライバーとして第一線で走っていなくても、モータースポーツを一緒に盛り上げていく仲間であると思っていますので、引き続きよろしくお願いします。
脇阪寿一(TGR TEAM SARD監督)
先ほどの立川選手の挨拶で『昔は何とかなったけど、最近は何とかならなくなった』という話がありましたけど、誤解されると嫌なので、僕から少し言わせてください。これについては、立川が老いたわけではなく、過去の立川は、誰もが何もできなかったことを何とかして勝ち獲っていて、ポールポジションを獲ることのできないクルマでポールポジションを獲ってきたのです。
そういった彼の感覚があるからこそ、今そういったことをすることのできない数レースが苦しく、葛藤して引退を決めたと僕は思っています。立川選手、あなたは落ちていません。残り5レースありますので、ぜひ優勝してもらいたいですし、独特のオーラをまとって輝く38号車を見せてください。また、石浦選手はそれを達成すべく、必ずサポートをお願いしたいと思います。
佐藤恒治(トヨタ自動車社長兼TGR-E会長)
ピエール(北川)さんの述べてくださった経歴の紹介を聞いて、本当に偉大な方が第一戦を退くという大きな節目に立ち会っているのだと感じました。立川選手の活躍としては、レクサスLC500のデビューイヤーである2017年の第2戦富士で見せた、切れのある速い立川選手のすごい勝ちっぷりが心に残っています。
これからのお話については、本当にいろいろなお話を皆さんとしていかれると思いますし、私もこれからたくさん話をしていきたいと思います。いずれにしても終わりは始まりということで、これからもモータースポーツを盛り上げるため、モータースポーツの発展のために、ど真ん中で活躍してくださる方だと思っています。
ドライバー時代よりも、もっと近い距離で一緒に日本のモータースポーツを盛り上げていくことのできる仲間が増えたというような喜びもあり、寂しくもあり、嬉しくもありというような気持ちでいます。いずれにしても、立川さんの今後に最大級のエールを送りたいと思います。
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