はじめに
2020年、フォードはまだ初の量産EVであるマスタング・マッハEに関して、ひとびとの興味や関心を煽り立てている段階にいたが、それをちょっとばかり沸き上がらせ、それより盛大にスモークを上げてみせたのは、デモンストレーションのためにワンオフ製作された4WDモデルのマッハE1400だった。
【画像】写真で見るフォード・マスタング・マッハEとライバル 全16枚
このクルマ、ドリフトのエースドライバー、ヴァン・ギッティンJrがコクピットに収まり、この年は各地のイベントに登場した。その任務は、EVの可能性を実現する技術のアピール。7つのモーターで約1400psを発揮するそれは、たしかにその仕事を果たした。
プロトタイプと比較すれば、当然ながら生産モデルはそこまで突き詰めた仕様ではなく、採算を考慮したものになっている。そこで気になるのは、今回テストするマッハE量産版の最上位仕様にして最強モデルであるマッハE GTは、2020年のプロトタイプの路線を踏襲したものなのか、それともまったく物足りないものなのか、という点だ。
英国に初上陸した右ハンドルのマッハEは下位グレードで、GT到来にはそれから15ヶ月ほどかかった。価格は、プレミアムブランドのEVよりわずかに安いが、もしもドライバーズカーとして不足があった場合には許容できない程度の価格差しかない。
つまるところ、これは速いフォードでもあり、電動化一辺倒の時代においてそれをゼロエミッションで成し遂げたはじめての例でもあり、そしてなんといってもマスタングを名乗るクルマなのだ。
煙を吐き出す昔ながらのマッスルカーではないにせよ、応えるべき期待を数多く背負わされて生を受けたこのクルマ。しかし、非常に出来のいい競合車の中には、すでにうかうかしていられないほど近い価格で販売されているものもある。具体的にいうなら、ポルシェやBMW、そしてテスラだ。しかも、フォルクスワーゲンのIDブランドやキアあたりも、遠からずライバル車を投入してくる。前途は多難だ。
意匠と技術 ★★★★★★★☆☆☆
STやRSのサフィックスを持つフォードのパフォーマンスモデルは、多くが欧州のフォード・パフォーマンスのエンジニアリングティームが手がけている。しかし、マッハE GTは、マッハEの他グレードと同じく、主にアメリカで開発された。生産はメキシコのクアウティトラン工場で行われる。
ベースとなるプラットフォームは、フォードがグローバル・エレクトリファイド1と呼ぶもの。しかし、その実体はフォーカスやクー画に用いられるC2プラットフォームのモディファイ版である。ただし、メカニカルレイアウトは、内燃機関仕様とまったく違う。
GTは、マッハEのほかの4WDモデルと同じく、永久磁石動機モーターを前後に搭載する。しかし、GTのモーターは前後とも、後輪駆動モデルでは最高294psまで発生できる高出力版だ。
バッテリーは、エクステンデッドレンジ仕様に搭載されるタイプ。キャビンの床下をホイールベースいっぱいに占拠するそれは、99kWhのキャパシティを持つ。そのバッテリー出力が、ポテンシャルを十分に引き出せないのだろう。前後モーター総合での最高出力は487ps、最大トルクは87.7kg-mだ。
これだけあればかなり強力だと思うかもしれないが、ウェイトは公称2198kgで、実測値はそれより100kgちょうど重かった。つい最近テストしたテスラ・モデルYと比べると、300kgも上回る。これは、ちょっと褒められたことではない。
サスペンションは、フロントがストラット、リアがマルチリンク。専用セッティングのコイルスプリングとスタビライザー、磁性流体式アダプティブダンパーのマグネライドを装備し、車両重量を制御する。他グレードよりトレッドは数mm広いが、それはワイドな20インチホイールを履いたことによるものだ。車高は、11mmダウンしている。
タイヤはピレリPゼロ・エレクトで、グリップと走行抵抗低減の両立を図っている。マッハEに共通の電子制御式トルクベクタリングは、荷重がかかっていないほうのタイヤにブレーキをかける方式だ。フォードによれば、もっともダイナミックなセッティングを選ぶと、駆動力の前後比率は30:70になるという。
内装 ★★★★★★★☆☆☆
マスタング・マッハEに乗り込んで、感心することのひとつが広々としていること。とくに後席は、その印象が強い。オプションのパノラミックルーフがついていてさえ、背の高い大人でも余裕のあるヘッドルームとレッグルームがあるのだ。
ムードもよく、ダッシュボード上やドアパネルのテキスタイルは魅力的。とはいえ、もう少しパフォーマンスカー的な装飾があってもよかったと思わされる。カラフルなアクセントや、GTらしいディテールがあってもよかったのだが。
目を引く部分もあるが、クロームメタルのような部分で本物感があるところはない。そして、各アイテムを細かく観察していくと、気づくことがある。シートはフォーカスのものがベースで、ステアリングホイールもエンブレムを替えただけのフォーカス用。コラムレバーや各部のスイッチも、やはりフォーカスで見慣れたものが流用されている。4万5000ポンド(約698万円)程度のマッハE RWDなら見過ごしてもいいが、7万ポンド(約1085万円)近いGTとなると話は別だ。
ドライビングポジションはストレートで、かなり快適だが、調整機能にはやや不足がある。フォードのGTパフォーマンスシートはサイドサポートこそしっかりしているが、身体の低い部分は支えるものがない。
ドライバーの正面に設置されたサイズの小さいデジタルメーターパネルは、ステアリングリムの内側によく見える。しかし、表示されるインフォメーションは限定的で、レイアウトは期待したほど変更できない。ヘッドアップディスプレイが装備されない点も、最新モデルとしては不満に感じられるかもしれない。
ただしそれは、15.5インチの縦型センターディスプレイがあるからだ。ここに、運転支援システムからトリップコンピューターまで、あらゆる情報が表示できる。もっとも、それを確認するには視点を前方の路上から大きく動かさなければならないのだが。
荷室は2箇所にある。ひとつは一般的なリアのラゲッジルームで、非常にワイドだが、奥行きと深さは平均的。軽量なキャンバスのトノカバーは、大きなバッグや箱によって簡単に動いて、取り付け部分が外れてしまって、ルームミラー越しの後方視界を邪魔する。
もうひとつが、ボンネット下のフロントトランクだが、こちらはあまりにも浅く、2本の充電ケーブルを積むと、少なくとも半分くらいは埋まってしまう。だが、ケーブルを積んだままにしていても、あると便利なスペースだ。
フラストレーションを感じるのは、その容量の小ささではない。ほかのメーカーでも多くのEVがそうであるように、ボンネットリッドを開けるには、レバーを引くか、センターディスプレイのアイコンにタッチするか、いずれにせよ室内側からの操作が必要なのだ。
リモコンキーにオープンスイッチがあればずっと便利なのに、といつも思わされる。充電ケーブルが必要になるシーンは日常的にあるのだから、もっとアクセスしやすくしてしかるべきではないだろうか。
走り ★★★★★★☆☆☆☆
マッハE GTはアメリカ生まれのクルマだということが、今回のテストでは残念な形で露呈してしまった。フォードの公称値では、0-97km/h加速タイムは3.7秒ということになっている。しかし、北米では1フット・ロールアウトという計測方法が一般的で、クルマが動き出してだいたい30cm程度進んだところで計測がスタートするのだ。
テスラをはじめ、同じ方式で計測しているブランドはある。しかし、われわれとしてはゼロスタートは厳密にゼロからはじめるので、このクルマはスーパーカー並みのタイムを記録できなかった。
0-97km/h加速は、往復した平均を出しているが、そのタイムは4.2秒、48~113km/hは3.5秒だった。たしかに十分速いといえる数字で、日常的に使う速度域からペダルを踏み込むと、一気にトルクが全開になるような感覚だ。
とはいえ、バッテリーがピークパワーを保てる時間には限界がある。アメリカで行われたテストの結果を受けて、フォードは、フルスロットルでGTのバッテリー冷却性能が対応できるのは5秒間までで、それ以降はパワーとトルクを電気的に制限するのだとコメントした。
それが如実に現れているのが、走行中のキックダウン加速を試したテスト結果だ。80~113km/hに対して、113~145km/hはほぼ2倍の時間がかかっている。空気抵抗の増大だけでは説明できないタイム差だが、出力リミッターが作動しているのなら納得できる。
日常使いに関する訴求力に、この出力制限が与える影響について、おおげさなことが言えれば、話は簡単に済むだろう。しかし、日頃の使用環境で、5秒以上フルパワーを使えるような機会はめったにないはずだ。
今回はテストコースでの全開走行、なかでもサーキット走行の際にはリミッターの存在を感じた。バッテリーが電力供給の制限をかけるまでに、このクルマに望みうるもっとも激しいパフォーマンスを発揮できたのは、ほんの数ラップだったのだ。
しかし、普段使いでそうした走らせ方はまずできないので、リミッターに気づくことも決してないはずだ。とはいえ、競合車にもっとスタミナがあるとすれば、このクルマのデメリットに目をつぶることはできない。
公道走行では、瞬間的に発揮されるかなりマッチョなパフォーマンスに対して、不利にはたらく問題点はほとんどなかった。そんななかで気になったのは、ややふわついたブレーキペダルのタッチだ。そのせいで、低速域での速度調整が思うようにいかないところがあった。
さらにいうなら、もっともスポーティなモードのアンテイムドを選んだ際に発するデジタル合成のエンジン音は、不自然さが気になった。また、走行中でも簡単にエネルギー回生レベルを調整できるパドルやスイッチがほしかった。
そうしたもろもろを踏まえて評価するならば、このマッハE GTは、速いEVとして最高水準に数えられるほど入念な仕上げがなされたとはいえない。
使い勝手 ★★★★★★★☆☆☆
インフォテインメント
われわれは、タッチスクリーンに依存しすぎるクルマを批判してきたが、フォードはそうした声を交わすべく、15.5インチ縦型ディスプレイの一番下に大きな音量調整ダイヤルを設置した。
これだけ大きければ見落としようはないが、実際に使う機会はそう多くないだろう。というのも、ステアリングホイールに音量スイッチがあり、これが使いやすいからだ。ただ、助手席の同乗者にはありがたい装備だろう。
マイクロソフトが開発したSync4Aシステムは、画面の縁に沿って配置されたショートカットでの操作に慣れてしまえば、かなり使いやすい。しかし、走りながら腕を伸ばして操作するには、かなりの集中力が求められる。やはり、もう少し楽なほうがいい。
また、特定の機能ごとに用意された画面へたどり着くまでにいくつかの表示を経なければならないのはめんどくさい。もっとシンプルにしてほしいところだ。トリップコンピューターのデータもこのディスプレイに表示されるが、これはできればメーターパネルに組み込んでもらいたい。
スマートフォンの充電とミラーリングはワイヤレス式。どちらも、作動は安定している。
燈火類
アダプティブLEDヘッドライトは標準装備。自動レベリングやアクティブビームといった機能もつく。ややロービームの光軸が高いような感じで、常に対向車の幻惑を防げるものではなさそうだ。
ステアリングとペダル
ペダルは一般的なレイアウトより右寄りだが、しかし、問題はない。ブレーキはどちらの足でも楽に踏める。ステアリングコラムはアジャストできるが、テレスコピック量はもっとあったほうがいい。
操舵/安定性 ★★★★★★☆☆☆☆
ハンドリングの芸当のひとつふたつを隠し持っていないわけではないが、サイズや重量の影響を避け切れてはいない。
マッハE GTは決して、根っからのバランスや強力なグリップを備えた、心から夢中にさせてくれるドライバーズカーではない。その価格やポジションを正当化するのは難しいし、同じような欠点を持たないクルマと比較されがちなのはやむを得ないが、それに堪えうるものでもない。
最新の速いフォードであれば、現状の操縦系よりもっと魅惑的な感触と、磨き抜かれた精確さがあって然るべきだ。ボディコントロールの緊密さや、コーナリングの安定感あるバランスにも同じことがいえる。
そうした点でこのGTは、真にスポーティなアイデンティティを確立するには道半ばに過ぎない。さらに、ステアリングやブレーキペダルにはおもしろみや鮮明さがないので、クルマとの対話が平凡すぎてうれしくないのだ。
とはいえ、操舵はじつにダイレクトで、飛ばしてもかなり安定している。また、スポーティなフォードの多くがそうであるように、アペックスを捉えたコーナリングができる。フォードのトルクベクタリングのソフトウェアは、アンテイムドモードでは驚くほど強調された制御を行う。アペックスに向かって加速すると、リア内輪にブレーキをかけ、駆動力を外輪側へ送る。
そのプロセス自体は、旋回の初期フェイズで、コーナリングの挙動をとくにスロットルで調整しやすくするものである。電子制御のスタビリティコントロールをオフにしていればなおさらだ。少なくとも、その動きには先代フォーカスRSを思わせるところがある。
ところが、あまりにも重く、しかもフォーカスRSほどのメカニカルグリップはないので、マッハE GTは結局、RSモデルはもちろん、出来のいいほうのSTモデルのような方向転換や加速ができるわけではない。コーナーの進入で狙ったラインを捉えてしまうと、そのあとにドライバーの関心を引きつけ続けるようなものはほぼ与えてくれないのだ。
快適性/静粛性 ★★★★★☆☆☆☆☆
マッハE GTの乗り心地にはそもそも落ち着きのなさが素性としてあり、高速道路でも田舎道でもかわらず落ち着こうとしないので、長距離を運転するとドライバーは消耗してしまう。
低速で感じられる硬さは、路面に補修箇所の多いA級道路やB級道路で突き上げやピッチを引き起こしがちだ。その傾向は、よりスポーティな走行モードを選ぶと一層顕著になるのだが、穏やかなセッティングでもやはり感じられる。
ハードコアなパフォーマンスカーの運動特性には、そういう好ましくない点がつきものだと思うかもしれない。しかし、このマッハEの場合、それは行き詰まりの原因となるばかりだ。
フォードが選んだ20インチホイールとピレリのタイヤは、キツい突き上げがあると唐突にドシンとかバタンとかいった衝撃音を起こす。ただし、ロードノイズは少なくともある程度までは消されているし、風切り音は十分に抑えられている。
運転席のシートは座面が短すぎて、脚が長いひとは不足に思うだろう。また、座面の高さは調整できるが、傾きまでは変えられない。
運転支援システムは、渋滞での停止と発進のサポートぶりも良好だ。しかし、レーンキープ支援システムは、高速道路でさえふらつきをみせるので、イライラせずに任せきりで走ることができない。
購入と維持 ★★★★★★☆☆☆☆
このマスタング・マッハE GTに、フォードは6万6280ポンド(約1027万円)という値付けをした。マーケットを見回すと、BMW i4 M50やテスラ・モデルYパフォーマンスが数千ポンド安く手に入る。ポルシェ・タイカンのエントリーグレードは、逆に数千ポンド高い。マスタングの名を冠したモデルとはいえ、大胆、さもなくば無謀ともいえる価格設定だ。
装備内容は過剰なほど充実しており、残価予想も上々で、公称航続距離も悪くない。それでも、現実的に優位性が見出せるとはいえないかもしれない。今回のテストでは、113km/hツーリングでの電費が4.2km/kWhで、長距離移動での航続距離は370km程度と計算される。
つい最近テストしたテスラ・モデルYは、バッテリーの実用容量がマッハE GTより15%ほど少ないが、同条件での航続距離は30km程度長い。そうなった主な原因は、300kg重いウェイトにあるとみられる。
マッハEの、ほかのエクステンデッドレンジ仕様と同じく、GTの充電性能は直流150kW対応で、それが可能なインフラさえあれば、10~80%チャージは30分以内に完了する。
スペック
レイアウト
マッハEのベースは、フォードのEV用プラットフォームであるGE1だが、これは現行フォーカスなどに用いられるC2プラットフォームの改修版だ。シャシーを主に構成する素材は高張力スティールである。
永久磁石同期モーターを前後に1基ずつ積み、駆動用バッテリーはエクステンデッドレンジ仕様と同じ99kWhのリチウムイオンを使用。サスペンションは前ストラット、後マルチリンクだ。前後重量配分は、50:50の均等バランスとなっている。
パワーユニット
駆動方式:フロント・リア横置き四輪駆動
形式・前・後:永久磁石同期電動機
駆動用バッテリー:液冷式リチウムイオンバッテリー、99kWh(グロス値)/88kWh(ネット値)
最高出力:487ps/-rpm
最大トルク:87.7kg-m/-rpm
許容回転数:-rpm
馬力荷重比:221ps/t
トルク荷重比:39.8kg-m/t
ボディ/シャシー
全長:4743mm
ホイールベース:2984mm
オーバーハング(前):-mm
オーバーハング(後):-mm
全幅(ミラー含む):2015mm
全幅(両ドア開き):3780mm
全高:1613mm
全高:(テールゲート開き):2120mm
足元長さ(前):最大1090mm
足元長さ(後):最大810mm
座面~天井(前):最大1030mm
座面~天井(後):最大930mm
積載容量:402~1420L
構造:複合金属モノコック
車両重量:2198kg(公称値)/2298kg(実測値)
抗力係数:0.29
ホイール前・後:8.0Jx20
タイヤ前・後:245/45 R20 103Y
ピレリPゼロ・エレクト
スペアタイヤ:なし(パンク修理キット)
変速機
形式:1速リダクションギア
ギア比
最終減速比:-
リダクション比:-
1000rpm時車速:-km/h
電力消費率
AUTOCAR実測値:消費率
総平均:3.9km/kWh
ツーリング:4.2km/kWh
動力性能計測時:1.4km/kWh
メーカー公表値:消費率
混合:5.6km/kWh
公称航続距離:499km
テスト時航続距離:340km(平均)/369km(ツーリング)
CO2排出量:0g/km
サスペンション
前:マクファーソンストラット/コイルスプリング、スタビライザー
後:マルチリンク/コイルスプリング、スタビライザー
ステアリング
形式:電動、ラック&ピニオン
ロック・トゥ・ロック:2.5回転
最小回転直径:11.6m
ブレーキ
前:385mm通気冷却式ディスク、固定キャリパー
後:316mmディスク、スライディングキャリパー
制御装置:ABS
ハンドブレーキ:自動(センターコンソールにスイッチ配置)
静粛性
アイドリング:-dBA
全開走行時(145km/h):72dBA
48km/h走行時:55dBA
80km/h走行時:63dBA
113km/h走行時:66dBA
安全装備
ABS/ESC/ETC/AEB/LKA/回避ステアリングアシスト
Euro N CAP:5つ星(RWDスタンダードレンジ)
乗員保護性能:成人92%/子供86%
交通弱者保護性能:69%
安全補助装置性能:82%
発進加速
テスト条件:乾燥路面/気温13℃
0-30マイル/時(48km/h)1.8秒
0-40(64):2.5秒
0-50(80):3.3秒
0-60(97):4.2秒
0-70(113):5.3秒
0-80(129):6.8秒
0-90(145):9.5秒
0-100(161):13.7秒
0-110(177):20.6秒
0-402m発進加速:13.2秒(到達速度:159.3km/h)
0-1000m発進加速:25.6秒(到達速度:184.9km/h)
ライバルの発進加速ライバルの発進加速
ポルシェ・タイカン・ターボS(2020年)
テスト条件:乾燥路面/気温17℃
0-30マイル/時(48km/h)1.3秒
0-40(64):1.7秒
0-50(80):2.2秒
0-60(97):2.8秒
0-70(113):3.5秒
0-80(129):4.3秒
0-90(145):5.3秒
0-100(161):6.5秒
0-110(177):7.8秒
0-402m発進加速:10.9秒(到達速度:207.3km/h)
0-1000m発進加速:20.1秒(到達速度:254.8km/h)
キックダウン加速
20-40mph(32-64km/h):1.2秒
30-50(48-80):1.4秒
40-60(64-97):1.7秒
50-70(80-113):2.1秒
60-80(97-129):2.7秒
70-90(113-145):4.2秒
80-100(129-161):6.9秒
90-110(145-177):11.2秒
制動距離
テスト条件:乾燥路面/気温13℃
30-0マイル/時(48km/h):8.1m
50-0マイル/時(64km/h):21.9m
70-0マイル/時(80km/h):43.1m
60-0マイル/時(97km/h)制動時間:2.60秒
ライバルの制動距離ポルシェ・タイカン・ターボS(2020年)
テスト条件:乾燥路面/気温17℃
30-0マイル/時(48km/h):8.3m
50-0マイル/時(64km/h):22.0m
70-0マイル/時(80km/h):42.6m
結論 ★★★★★★☆☆☆☆
マスタング・マッハE GTは、十分にいい走りを見せてくれるし、広い意味では文句なく高性能で、パフォーマンスEVマーケットで確固たる地位を築けるに足るくらい目を引くものがある。
室内は広く、万能性を備え、まずまずの航続距離と使い勝手を持つ。しかし、動力性能の増強ぶりを別にすれば、ほかのグレードより2万ポンド(約310万円)も高い金額を払う価値はどこにあるのか、疑問を禁じ得ないのも事実だ。
速いフォードに、高級感あるキャビンや世界トップレベルの質感を望んではいないだろう。しかし、納得いくほどドライバーを夢中にさせたり、最高のハンドリングで魅了したり、ある種の遊び心があるカリスマ性は期待するはずだ。
マッハE GTにもそういう感じがないわけではないが、ほとんど形ばかり。やや限定的な意味ではあるが速いクルマで、ハンドリングがじつにいい場合もある。しかし、満足するにはほど遠い。
電動化する未来へ突き進んでいるメーカーに、期待するあまりの誇張ではない。その未来には、過去数十年間と同じくらい多くの、優れた現実的なパフォーマンスカーが登場するだろうと、われわれとしては思いたいところだ。いまは、ただただ希望を持ち続けるだけだ。
担当テスターのアドバイス
イリヤ・バプラートこのマッハEは、写真より現物のほうが見栄えはいい。これがマスタングに見えるとは思えないが、魂の抜けたようなルックスが多く見られるクロスオーバーSUVの中にあって、フォードが見せてくれたドラマティックなヴィジュアルは、個人的にかなり好きだ。
マット・ソーンダースこの10年かそこらのフォード車に共通する、ステアリングの柔軟さはあるが、マッハE GTは操舵力変化の速度依存度が高すぎる。40km/h以下では軽く、それ以上では重くなりすぎる。もっとシンプルなチューニングにすれば、事態は好転すると思うのだが。
オプション追加のアドバイス
フォードは、選択肢をじつにシンプルに仕立てている。ボディカラーのほかは、ガラスルーフの有無だけ。ちなみに、どちらのルーフでも後席ヘッドルームは十分ある。それより、GTか、より安価なエクステンデッドレンジRWDか、そちらを検討したい。
改善してほしいポイント
・主要な操縦系は、もっと直観的で、感触のはっきりしたものであってほしい。
・バッテリーのエネルギー密度を高めて、重量削減につなげてもらいたい。
・フロントトランクは、リモコンキーでロック解除できるようにしてほしい。
・オプションでいいので、このクルマに見合ったハイパフォーマンスタイヤを選べるようにしてほしい。
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