パイクカー フィガロがダントツ人気
text:Kumiko Kato(加藤久美子)
【画像】懐かしい! 名前いえる? フィガロと同時期の日産車【一挙公開】 全39枚
日産パイクカーとは、1987年に発売されたBe-1、89年のパオ/エスカルゴ、91年のフィガロの4車種のことである。
中でも近年、国内外で価格も人気も高騰しているのが生産2万台のフィガロだ。
フィガロは新車で発売されて間もない頃から欧州、とくにイギリスに多くのフィガロが渡り、日産の資料によると2万台のうち3000台が現在もイギリスにあるとされている。
ヨーロッパにインスパイアされたスタイリング、レザーシート、インダッシュのCDプレイヤーを特徴としており、パステルカラーのボディも斬新だった。
デザインや企画チームの多くに女性スタッフが入ったことも当時としてはかなり珍しい事だった。
そして昨今のフィガロ人気は欧州ではなく、アメリカで巻き起こっている。
本来、アメリカでは一般人が右ハンドル車を登録することはできないが、製造から25年経てばそれが解禁となる。
それで2016年からアメリカへの輸入、一般ユーザーへの販売及び登録が可能になり人気に火が付いたというわけだ。
取材を進めるうちに、フィガロに関して全米最大の在庫台数を誇る会社を見つけた。
ヴァージニア州にある「ダンカン・インポート(Duncan Imports & Classic Cars)」という会社で、フィガロだけでなんと輸送中のものも含めると200台近くを確保しているという。
いっぽう、日本の大手中古車サイトで調べてみたがフィガロは日本全体で27台しかヒットしなかった。
フィガロ200台揃える米の店に聞いた
約200台のフィガロを揃えるダンカンインポートではホンダ・ビート、オートザムAZ-1、トヨタ80スープラ、R32スカイラインなどJDMだけで常時数百台の在庫を確保しており、月に2店舗合計で80台を販売している。
軽トラックも1987年~2020年モデルまで多数扱っており、25年ルールの適用を受けない軽トラは以前AUTOCAR JAPANで書いたように、限定された道路でのみ走行できる「オフロード」専用車として登録、販売されている。
フィガロの価格を調べてみると、5970ドル(約63万円)から3万9999ドル(約424万円)まで幅広い。
経営者であるゲイリー・ダンカン氏に電話取材を試みた。
――JDM(80-90年代の右ハンドル日本車)の魅力は?
「ユニークでレア。とくにJDMは日本車らしさが際立っており、他にはない個性を持っています」
――フィガロが特に近年アメリカで人気となっている理由はどんなことでしょうか?
「日本車としての信頼性が第一ですが、加えてとてもキュートなルックスも多くの人をひきつけています」
「『笑っているような顔がいい』と皆さん言いますね。年代の区別はとくになく白人女性が圧倒的に多いです」
「また、最近では投資対象としても注目を集めています」
「フィガロは他の日産パイクカー同様、限定台数で生産されているので価格が下がることがまずありません」
「これからもどんどん値段は高くなっていくでしょう。仕入れは日本からはもちろん、アメリカ国内でも買っていますよ」
ほかと違う個性「顔がカワイイ」
――Be-1やエスカルゴ、パオと比べてフィガロが違う所は?
「いずれもベース車両は日産のコンパクトカーで日本車の品質が保たれています」
「どのクルマもユニークなデザインをしていますが、フィガロは特段、顔がカワイイと大評判です」
「エスカルゴはあまり好まれませんね。貨物車登録になるので手続きが少し面倒なのです」
――アメリカでフィガロを所有する上での注意点はどんなことがありますか?
「日本車専門店で見てもらうことを推奨しています。日本車に慣れていないところはダメですね」
「当社としては販売するときに、ほとんど改造せずオリジナルに近い状態で販売しています」
「補修についても同様で、サビを修正したりその場しのぎで適当に直したりはありません。塗装面に悪影響を与える場合もありますから」
「販売する際には最低限、油脂類をチェックするだけです。古いクルマですがパーツに関しては、他の日産車と共通して使えるものが多いので、アメリカでも入手困難ということはありません」
JDMと言えば少なくとも25年は経過していることになるが、アメリカで日本製中古車が人気となっている理由の1つに、アフターパーツが豊富で注文して届くまでも早いと言われている。
この傾向を日本の専門店はどう思っているのだろうか?
日本の老舗専門店、国内需要を大切に
横浜市都筑区にあるパイクカー専門店「オレンジロード」を経営する毛利雅之氏(日本自動車システムネットワーク取締役社長)に日本でのフィガロ人気や海外輸出について話を聞いてみた。
同社は20年以上にわたって日産パイクカーを専門としており、製造会社である「高田工業」との業務提携のもと、2010年にBe-1、パオ、フィガロをリフレッシュして販売している。
さぞかし多くのフィガロ輸出に携わって来たであろう……と思いきや、「輸出は一切していません」と意外な答えが返って来た。
「最近はフィガロの価格高騰が顕著です。アメリカをはじめとした海外での需要増が原因でしょうね」
「オレンジロードが輸出をしない理由は、日産が素敵なメイドインジャパンのクルマを作ってくれたのに、それらを外国に出してしまうことがイヤなんですよ」
「外国での販売価格が高騰していることが理由で、国内のオーナーが委縮するのもおかしな話です。わたしは日本のオーナーに喜んでもらいたいという気持ちがあるので、輸出はしない方針です」
「ですが、30年という年月を経て近年は入手が難しいパーツも増えてきました。追加オーダーができず、生産終了というパーツも少なくありません」
「逆に海外の方が入手しやすい場合もあります。イギリスにはフィガロの部品はなくてもマイクラ(マーチの海外名)をベースに部品の入手が可能な場合もありますし、東南アジアではノックダウン生産の技術を持っていますから」
確かに海外で古い日本車が高評価を受けることは日本人として誇らしいと思う反面、日本の宝のようなクルマたちがどんどん海外に流れて行ってしまうことを考えると手放しで喜べない状況と言える。
税金や車検、パーツ入手など、もう少し古いクルマに優しい国になってくれたらよいのだが。
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みんなのコメント
右ハンドルのイギリスでは随分前から人気だったが、今更何言ってんだって感じ。
日本車がつまんなくなったのも、日本人のクルマ選びがつまんなくなったのも、尖った日本車や日本の自動車文化否定して、ひたすら欧州賛美してた自動車メディアの責任が大きい。。。
光岡くらいが現行マーチを使って、ビュートのオープン化をできないものか。