EVモータースポーツの旗手であるアレハンドロ・アガグが提唱し、2021年のシリーズ創設を目指している電動SUV選手権『Extreme E (エクストリームE)』。その初年度に採用されるワンメイク車両“ODYSSEY 21(オデッセイ21)”で2020年ダカールラリーにゲスト参戦し、シェイクダウン走行を担当したゲラン・シシェリは、エクストリームE参戦プロジェクトと並行して「ダカールをフルに走破できるEVマシンの開発」プランを進行中であると明かした。
WorldRX世界ラリークロス選手権に自らのチームGCコンペティションで参戦するシシェリは、2020年に中東で初開催となったダカールラリーにて、北米のスター、ケン・ブロックとともに電動SUVのドライブを担当。最終ステージで競技区間を走行したブロックに先んじて、大会前日のシェイクダウンでオデッセイ21のステアリングを握っていた。
ダカールラリーに登場した電動SUV“オデッセイ21”、ドライブしたケン・ブロックは「新スタイルを発見」
ダカールラリーでも豊富な経験を持つフランス人のシシェリは、エクストリーム・スポーツのアスリート兼プロスキーヤーとしての顔も持つマルチタレントでもある。そのシシェリは部分的なダカール参加ではなく、2021年に向け完全電気自動車によるダカール参戦を計画しており、その先にはエクストリームE初年度シリーズにエントラントとして関与することも見据えている。
「来年のダカールでは電気自動車で全ステージの競技に参加したい。これはとても大きなチャレンジで、総走行距離がとてつもなく長いため(EV車両開発でも)広範囲に取り組む必要がある」と、EVモータースポーツ専門サイトの『e-racing365.com』に語ったシシェリ。
「もし目標が『とにかく完走したい』というだけならそれは可能だし、走行ディスタンスとバッテリー容量さえ合えば、ゆっくり走ることもできる。でもコンペティティブなスピードを維持して、トップのポジションを争うような戦いがしたいと願うのなら、話は完全に別次元のものになる」
「それこそが今現在、我々が取り組んでいる目標であり野望だ。そのEVマシンは2月末にシェイクダウンを迎える計画で開発が進んでおり、完成はもうすぐだ。そこから2カ月間のテストを実施し、2021年のダカールラリーに向け参戦実現の可能性を判断したい」
「我々はすでに、そのマシンを3台製造しているが、ダカールラリーに参戦する水準の性能を有しているか、テクノロジーが正常であるかを見極めるため、本番でその全車を走らせるかどうかはまだわからないよ」
すでに1カ月以内の完成スケジュールで進行するダカールラリーEV参戦プロジェクトに対し、エクストリームEの計画は完全にスポンサーからの資金に依存しているというが、シシェリは「こちらの計画もすぐに道筋が見えてくるだろう」と語る。
「我々は心からエクストリームEのビジョンに共鳴しており、GCKとともに2021年のチャンピオンシップ参戦に向けたチームを構築しているところだ」と続けたシシェリ。
「このプロジェクトは大規模な投資であり簡単な話ではないけれど、コミットする前に出来ることと出来ないことを確認しておきたいだけなんだ。地球環境への挑戦と、その保全、啓蒙という(エクストリームEの)理念は本当に気に入っている。おおよそパートナーへの説明と承諾は取り付けているのが現状だ」
すでにエクストリームE初年度シーズンに向けては、ベンチュリ、アプト・スポーツライン、HWA、そしてエイドリアン・ニューウェイとジャン-エリック・ベルニュ擁するヴェローチェ・レーシングが参戦を表明しており、GCKもこのラインアップに加わることを目指している。
また、GCKは傘下企業のGCKエナジー社を通じてWorldRXの電動クラス“プロジェクトE”の公式エネルギーサプライヤーにも任命されており、代表のシシェリは今後の全EVプロジェクトでも同社が供給する再生エネルギーを使用する、としている。
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