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BMW M2コンペティションに試乗 M3のエンジン/新しい脚 新モデル級の変化

掲載 更新
BMW M2コンペティションに試乗 M3のエンジン/新しい脚 新モデル級の変化

もくじ

どんなクルマ?
ー 待ち望んでいたM2
どんな感じ?
ー F87型M2ではなく、むしろ新モデル
ー 実用性の高いパフォーマンス・モデル
「買い」か?
ー ケイマンSやアルピーヌA110とも互角
スペック
ー BMW M2コンペティションのスペック

90年代生まれ、いま手に入れるべきあのクルマ 定番から意外な選択まで その1

どんなクルマ?

待ち望んでいたM2

スペインで開かれたプレス向けの発表イベントでの結論から触れてしまうと、BMW M2コンペティションは、まさにわれわれが待ち望んでいたM2だと強く確信した。

優れたドライビングを楽しめた、魅力に溢れるスポーツクーペ、標準のM2はもはや購入することはできない。しかし腕利きのドライバーにとって、起伏に飛み、状況の優れない路面では、秀逸のボディコントロールを得ているとはいい切れなかったことも事実。鋭いコブを超える場面などでは、リアタイヤが完全に路面から浮いてしまい、肝を冷やすこともあったほど。

この挙動は兄貴分のM3やM4が持つ、共通のウィークポイントでもあるわけだが、M2がポルシェ718ケイマンSと並ぶような、満足感の高いドライビングが叶わない理由でもあった。しかし、M3やM4のコンペティションやCSが大きな改善を得た以上に、M2コンペティションは標準のM2と比較して、飛躍的なレベルアップを果たした。

新しいM2コンペティションでは、カーボンファイバー製のフロントストラット・ブレースを装備し、ステアリングのマッピングも一新。リアサスペンションの一部は、ボールジョイント式に改まっている。ドライビングの一貫性を高め、レスポンスを向上させることが狙いだろう。もちろん、スプリングレートと、固定式(パッシブ式)のダンパーのセッティングも見直された。

エンジンもM3やM4と同じユニットとなったM2コンペティションの走りに、期待がかかる。

どんな感じ?

F87型M2ではなく、むしろ新モデル

大幅な見直しが施されたサスペンションは、市街地など低速域では固く締まった乗り心地を示すが、スピードが増すにつれ、その良さが光ってくる。起伏の激しい路面を速い速度で抜けても、ダンパーの減衰力に不満はなく、タイヤはしなやかに路面に追従した動きを見せる。ボディが跳ねたり激しく揺さぶられるということもない。

荒れた路面の脚さばきも極めて上質で、鋭いコブを超えたとしても、タイヤが路面を蹴り上げるような感覚はなくなった。ステアリングはさらに鋭く直感的になり、標準M2のオーナーが理想として想い描くような、不安感のないドライビングをワインディングで味わうことができる。

M2コンペティションの、安定し落ち着いた身のこなしは、改良されたF87型M2ではなく、むしろ新しいモデルとさえ感じてしまうほどに優れている。

加えて、これまでのM2が備えていた強みは、コンペティションにもそのまま受け継がれている。甘美なニュートラルバランスを備えたシャシーのおかげで、グリップ限界まで容易に迫ることができ、そこからさらにパワースライドに持ち込んでも、その変化は極めてスムーズで漸進的。M2コンペティションの持つ明瞭で正確な挙動なら、サーキットでタイヤスモークを上げながらドリフトを決めることも、自由に楽しめそうだ。

実用性の高いパフォーマンス・モデル

車内を見渡せば、高品質なしつらえの4名掛けのシートが準備されるだけでなく、充分以上のラゲッジスペースも確保されている。運転の楽しさをまったく犠牲にすることなく、優れた利便性を備えているという間口の広さが、この価格帯において、最も実用性の高いパフォーマンス・モデルにまとめ上げている。日常的に運転するドライバーにとって、718ケイマンSやアルピーヌA110よりも、遥かに魅力的に感じられるだろう。

エンジンはシングルターボユニットから、M3やM4にも搭載されている、直列6気筒ツインターボユニットにスイッチ。ただし、431psの最高出力と56.0kg-mの最大トルクは、409psと55.8kg-mへと、若干絞られてはいる。新しいエンジンは55kgの重量増も引き起こしており、コンパクトな見た目とは裏腹に、M2コンペティションは1625kgと中々な車重を持っていることにも触れておこう。

ただ、仮にM2コンペティションがこれまでのM2と同じエンジンのままだったとしても、その飛躍は明確に大きいものだったと思う。新しく搭載されたついターボユニットは、低回転域でのレスポンスが向上し、レブリミットまで豊かなパワーを生み出してくれる。しかし、サウンドトラックはやや単調なものになってしまい、長い直線でアクセルを全開にさせたくなるような、高ぶる感覚は薄くなってしまった。

トランスミッションは7速DCTと6速マニュアルから選択できるが、われわれのオススメは、もちろんマニュアルとなる。

「買い」か?

ケイマンSやアルピーヌA110とも互角

既存のM2オーナーにとっては嬉しくない事実かもしれないが、M2コンペティションは明確に、買い。疑う余地はない。運転の楽しさは大幅に増し、従来のM2の比ではなくなってしまった。

これまでM2は、ミドシップの2シーターモデルを選べない、より広い車内空間を必要条件とするひとのための、5万ポンド(740万円)前後で買えるスポーツクーペだった。

しかしM2コンペティションは、リアシートを必要としないひとにとっても、718ケイマンSやアルピーヌA110と直接的に比較できるほど、優れたドライビング性能を備えている。F87を改良した以上の、大きな飛躍を遂げたといえるだろう。

BMW M2コンペティションのスペック

■価格 4万9805ポンド(737万円)
■全長×全幅×全高 4461×1854×1410mm
■最高速度 249km/h
■0-100km/h加速 4.4秒
■燃費 10.2km/ℓ
■CO2排出量 227g/km
■乾燥重量 1625kg
■パワートレイン 直列6気筒2963ccツインターボ
■使用燃料 ガソリン
■最高出力 409ps/5250-7000rpm
■最大トルク 55.8kg-m/2350-5200rrpm
■ギアボックス 7速デュアルクラッチ

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