WRC世界ラリー選手権第10戦トルコは9月15日、デイ3のSS8~13が行なわれ、相次ぐアクシデントを避けながら上位に進出してきたオット・タナク(トヨタ・ヤリスWRC)が総合首位に浮上。チームメイトのヤリ-マティ・ラトバラ(トヨタ・ヤリスWRC)も総合2番手につけ、トヨタがワン・ツー体制を築いている。
各ステージが非常に荒れた路面コンディションとなっていることから、事前に波乱の展開となることが予想されていたラリー・ターキー。その競技3日目は、これまで比較的鳴りを潜めていた魔物が本性を表したかのような“大荒れ”の様相を呈した。
■上位ランナーに続々とアクシデントが襲いかかる
まず、最初の犠牲者となったのは前日、セバスチャン・オジエ(フォード・フィエスタWRC)と0.3秒差の総合首位に立ったティエリー・ヌービル(ヒュンダイi20クーペWRC)だ。“王者”オジエとともにマッチレースを繰り広げると思われた矢先、ヌービルのマシンにサスペンショントラブルが発生。修復を試みるものの、この日最初のステージであるSS8でデイリタイアを喫すこととなってしまう。
一方、ヌービルに変わってトップに立ったオジエはSS8で最速タイムをマークすると、総合2番手に浮上したアンドレアス・ミケルセン(ヒュンダイi20クーペWRC)に25秒のギャップを築くことに成功する。
しかし、そんなオジエにも試練が。続くSS9で右フロントサスペンンションが破損しペースダウンを余儀なくされてしまう。
それでも勝負を諦めない王者は、リエゾン区間でチームメイトのエルフィン・エバンス(フォード・フィエスタWRC)やベテランのヘイデン・ソルベルグ(シュコダ・ファビアR5)らにアドバイスを仰ぎながらトラブルの応急処置を済ませると、SS10に出走して見事ステージ優勝を飾り周囲を驚かせた。
日中のサービスに入った時点での順位はミケルセンが首位。36秒差の総合2番手にタナクがつけ、その2秒後方にラトバラ、不屈のオジエがトップから46秒差の4番手となっていた。
■復活果たしたオジエだったが、まさかのクラッシュ
迎えた午後のループ1本目、SS11ではふたたび4メーカーによる首位争いが繰り広げられると思われたが、表彰台圏内への復帰を目指すオジエが19.8kmポイントでまさかのコースオフ。
オジエはトラブルによるものではなく、ドライビングミスで起きたというこのアクシデントから復帰できず、ヌービルと同様にデイリタイアを余儀なくされた。
また、SS11では首位を走るミケルセンも2度のスピンを喫してタイムをロスしてしまうが、これはトランスミッションにトラブルが発生したことで前輪の駆動がなくなってことが原因と発表されている。ランキング上位ランカーの2名とは異なりデイリタイアこそ避けたものの、このトラブルによりミケルセンは総合5番手にまでポジションを落とすこととなった。
■トヨタのタナクとラトバラがワン・ツー
この他、総合6番手につけていたクレイグ・ブリーンのシトロエンC3 WRCが全焼するアクシデントも発生したSS11を制したのはタナクで、前日のSS7に続く今イベント2度目のステージ優勝を記録すると同時に、この時点で総合首位に躍り出る。
続くSS12は僚友のラトバラが最速タイムをマークして両者の差は8秒に縮まるが、デイ3最後のSS13でふたたびタナクがステージウイナーとなると、ギャップは13秒に。
総合3番手にはヘイデン・パッドン(ヒュンダイi20クーペWRC)が入ってくるも、トヨタ勢との差は1分以上と大きな開きがあり、ここにきてトヨタの3連勝がぐっと近くに見えてきたと言えるだろう。
総合4番手以下はテーム・スニネン(フォード・フィエスタWRC)、ミケルセンと続き、81号車シュコダを駆るソルベルグが総合6番手に入っている。なお、トヨタのエサペッカ・ラッピ(トヨタ・ヤリスWRC)はSS10でコースオフを喫しデイリタイアとなった。
ラリー最終日の16日は日中のサービスを挟まずにSS14~17の4SSが行なわれる。SSの合計距離は34.98kmで、最終SS17はステージタイム上位5台にボーナスポイントが与えられる“パワーステージ”に設定されている。
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