7月2~4日、ファナテックGTワールドチャレンジ・ヨーロッパ・パワード・バイ・AWS(GTWCヨーロッパ)第5戦ミサノがイタリア、ミサノ・サーキットで行われ、チームWRTの32号車アウディR8 LMS(ドリス・ファントール/チャールズ・ウィーツ組)が週末の2レースを制してみせた。
前戦ザントフォールトからシリーズのハイライトに位置づけられる『トタルエナジーズ・スパ24時間』のテストデーを経て迎えた今戦は、週末に2度の予選と決勝レースを戦うスプリントカップの第3ラウンドだ。
シリーズのドライバー選手権でランキング首位に立っているウィーツとファントールのコンビは、3日(土)の決勝前に行われた予選でポールポジションを獲得。ここでのボーナスポイント1点を得たことにより、スプリントカップのドライバーランキングでも0.5ポイント差でライバルを上回りトップに復帰した。
アウディ、トタルエナジーズ・スパ24時間に参戦するワークスラインアップを発表
土曜午後のレース1ではポールを奪ったウィーツが、フロントロウ2番手に並んだサンテロック・レーシングの26号車アウディR8 LMSをスタートで交わして2番手に浮上してきた163号車ランボルギーニ・ウラカンGT3 Evo(エミル・フレイ・レーシング)と序盤からマッチレースを繰り広げる。
しかし、32号車のライバルとなったランボルギーニはレース中盤に義務付けられたピットストップで再始動に手間取りタイムを失う。これで楽になったアウディはウィーツからファントールにバトンをつなぐと、レース後半に入ったセーフティカー後のリスタートも落ち着いて決め、そのまま順位を守ってトップフィニッシュ。見事ポール・トゥ・ウインを飾った。
予選4番手から26号車アウディを交わして表彰台圏内にポジションを上げてきた6号車メルセデスAMG GT3(メルセデスAMG・チーム・トクスポーツWRT)は、ランボルギーニの脱落後2番手となり32号車を追いかけたが、追撃及ばず2位に。3位にはクリストファー・ハーゼのドライブでサンテロック・レーシング同士の表彰台をかけたバトルを制した25号車アウディR8 LMSが入った。26号車アウディは2番手スタートから4位となっている。
シルバーカップを制したのはアッカASPの87号車メルセデスAMG GT3。プロアマクラスではバーウェル・モータースポーツの77号車ランボルギーニ・ウラカンGT3 Evoが優勝を飾った。
日曜の決勝レース2は前日と同様にドライコンディションで行われた。このレース前に行われた予選2回目でポールポジションを獲得した188号車アストンマーティン・バンテージAMR GT3(ガレージ59)を先頭に33号車フェラーリ488 GT3 Evo(リナルディ・レーシング)、レース1のウイナーである32号車アウディのトップ3オーダーでスタートが切られると、まずはポールシッターのジョナサン・アダムがホールショットを決めてみせる。
■富田/バード組が今季初優勝でレース1の雪辱果たす
クリーンなスタートで2番手以下も順位が変動がないなか、10番手グリッドからレースを開始した富田竜一郎駆る31号車アウディが好スタート。31号車(チームWRT)はポジションを3つ上げ7番手とした。
序盤は上位各車が0.5~0.8秒間隔で並ぶ数珠つなぎの展開。そこからアダムがじわじわと後続との差を広げるなか、スタートから20分過ぎに32号車アウディを駆るファントールが、先行する33号車フェラーリを捉えて2番手に浮上する。
ファントールはその後も好ペースを維持し、3秒以上に開いた188号車アストンマーティンとの差を約1.4秒にまで縮めてピットイン。レース後半をアマチュアドライバーが担当することから、ピットウインドウ・オープンが閉まるギリギリまでピットインを遅らせたガレージ59のコース復帰後は首位に躍り出た。
全車がピットストップを終えた段階で首位32号車アウディに続いたのは、予選5番手からスタートした88号車メルセデスAMG GT3(アッカASP)だ。また、6番手スタートの30号車アウディR8 LMS(チームWRT)が3番手に浮上。4番手にはピットウインドウが開いた直後にいち早くピットに飛び込み、富田からフランク・バードにドライバー交代を行った31号車アウディがつける。
その31号車はピットアウト後まもなくラインが膨らみグラベルに飛び出す場面も見られたが、タイムロスを最小限に抑え総合4番手のポジションもキープ。また、前半スティントからを順位争っていた6号車メルセデスとのバトルのなか起きたサイド・バイ・サイドの接触でも大事に至らず。
最終的には予選2番手/シルバーカップ首位の33号車フェラーリを逆転するかたちで、シルバーカップ優勝(/総合4位フィニッシュ)を決めてみせた。富田/バード組は前日のレース1でサスペンショントラブルに見舞われリタイアを余儀なくされていたが、このレース2でその雪辱を果たしている。
レース後半、ファントールからトップでステアリングを受け継いだウィーツは後続との差をみるみる広げる好走をみせ、終わってみれば11秒差の圧勝。レース1に続く連勝で週末2連勝を飾った。
2位は88号車メルセデス、トップから18秒遅れの3位には30号車アウディが入った。これによりチームWRTは、31号車アウディを含めワン・スリー・フォー・フィニッシュを飾っている。5位はエミル・フレイ・レーシングの114号車ランボルギーニ・ウラカンGT3 Evo、33号車フェラーリは総合6位/シルバーカップ2位となった。
ポールポジションからスタートした188号車アストンマーティンは、ピットストップでアダムから替わったアレクサンダー・ウエストが、20号車メルセデスAMG GT3(SPSオートモーティブ・パフォーマンス)に追撃を振り切りプロアマクラス優勝を達成。2台のギャップはわずか0.001秒だった。
シーズン前半戦を終えたGTWCヨーロッパの次戦第6戦はシリーズ最大のイベントであるスパ24時間だ。IGTCインターコンチネンタルGTチャレンジの1戦でもあるこのレースは7月31日~8月1日、ベルギーのスパ・フランコルシャン・サーキットで開催される。
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