2022年4月12日、本田技研工業の三部敏弘(みべ としひろ)取締役 代表執行役社長は、四輪電動ビジネスの取り組みに関する会見を行った。内容は現状報告や今後の展開、組織変更など多岐に渡るものだが、ここでは日本を中心としたEV(電気自動車)の製品展開、そして同時に公開された「スポーツEV」についても紹介していこう。
2024年前半に軽商用EVを100万円台で投入
昨年の2021年4月1日に本田技研工業の三部敏宏 氏が代表取締役社長に就任(現在は取締役 代表執行役社長)してからおよそ1年を経過した2022年4月12日、「四輪電動ビジネスの取り組みについて」発表を行った。そこで公開された情報の中でも、ユーザーに直接関係する新世代製品の具体的なEV投入計画を紹介していこう。
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まず、現在から2020年代後半にかけて、主要地域ごとの市場特性に合わせた製品を投入するという。
北米市場では、GMと共同開発を行なっている中・大型クラスのEVを2024年に2車種、ホンダブランドでは新型SUVの「プロローグ」、アキュラブランドでも同じくSUVタイプの新型車を投入。中国市場では、2027年までに「e:N」という名のEVシリーズ10車種を投入する計画だ。
そしてインフラ整備の行き届いていない現在の日本市場においては、商用の軽EVとSUVタイプのEVの投入を予定している。中でも、EVの普及というミッション攻略のカギとなるのは「軽商用車」だと考え、2024年前半に商用の軽EVを100万円台という車両価格で発売するという。ガソリンエンジンを搭載した軽自動車でさえ200万円に届くこともある近年の車両価格だが、はたしてEVで実現できるのか。
その方策として挙げられていたのは、現行のNシリーズをベースとすることだ。具体的な車種名こそ挙げられなかったが商用EVであれば「N-VAN」が、その後の個人ユーザー向けの乗用軽EVであれば「N-BOX/N-WGN/N-ONE」がベースとなるだろう。
Nシリーズは2017年以降に順次第2世代へ切り替わっているが、これに合わせてプラットフォームを刷新している。初代のわずか1代だけでプラットフォームを置き換えることは珍しく、電気自動車化も視野に入れた開発を行っていたのかもしれない。
スポーツEVの開発も進行中。ホンダのスポーツマインドを体現か
2020年代後半に入ると、EV普及期としてグローバルな視点でベストなEVを展開する。具体的には、EVのハードウエアとソフトウエアの各プラットフォームを組み合わせたEV向けプラットフォーム、「ホンダ e:アーキテクチャー」を採用した商品を2026年から投入すること。
そして、GMとのアライアンスを通じて、コストや航続距離などで従来のガソリン車と同等レベルの競争力を持つ量販価格帯のEVを、2027年以降に北米から投入する計画だ。こうした取り組みによりホンダは、EVを2030年までに軽商用からフラッグシップクラスまで、グローバルで30機種を展開し、年間生産台数は200万台を超える見通しだ。
ホンダの2021年世界生産台数(1月~12月)が約414万台だから、2030年までに半分近くをEVに置き換える計算となる。そのための生産体制の強化はすでに行われており、中国では武漢のほかに広州にもEV専用工場を、北米でもEV専用生産ラインの建設を計画している。
なお、もうひとつの電動化モデル「ハイブリッド車」は、現段階においてホンダの主力であり武器でもある。その戦力図はEV普及期にあたる2030年おいて、また2035年においても大きく変化していないと考えられており、エンジンとモーターをセットにした開発は今後も続けられる。
2021年に発売された新型シビックにも、近くハイブリッド車のe:HEVが追加設定される予定だ。コンベンショナルなエンジン車はフェードアウトしていくが、ハイブリッドはまだまだ継続生産されていく。
さらに、ホンダの三部社長は、興味深い発表を行った。カーボンニュートラルや電動化に挑む中でも、ホンダは常にFUN(ファン=楽しみ)もユーザーに届けていきたいという想いから、操る喜びを電動化時代にも継承し、ホンダ不変のスポーツマインドや、際立つ個性を体現するようなスペシャリティとフラッグシップ、2つのスポーツモデルをグローバルへ投入するというのだ。
この2台は当然ながらEVであり、現在開発中のため具体的な内容は公表されなかったが、ベールを被った画像が公開された。フラッグシップはNSXの後継車で、スペシャリティはS2000の後継車的なモデルとなるのだろうか。いずれも2020年代半ばには発表される予定だというから、楽しみに待つことにしよう。
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もう既にスズキとダイハツで提携しますね。