レブスピード11月号では、最新サスペンションキットの試乗インプレッションと、それをさらに活用するセッティング方法の取材を行った。ここでは、バネレートの違いによる走りの差について興味深い結果が出たので紹介しよう。
最近のストリート用車高調サスペンションキットは、ローフォルムと乗り心地を両立させているものが多い。バネレートもガチガチに硬いものではなく、動きもしなやか。それでいて、ミニサーキットでのスポーツ走行くらい難なくこなしてしまう。
とはいえ、多少でもバネレートを硬くしたら、さらなるタイムアップが期待できるのか? 休日にサーキット走行を楽しむアマチュアにとって、気になるところでもある。
バネレートを上げると荷重が掛かってもスプリングの縮み量が減ってロールは少なくなるが、実際にどれくらい走りに影響を与えるのか? ここでは、標準レートとレートアップした2種類からスプリングを選べる車高調サスキットで入れ替えテストを決行した。
テスト走行を行ったのは、レーシングドライバーの佐々木雅弘選手だ。ちなみに装着タイヤはポテンザRE-71R(F&R:215/40R17)。
まずは標準レートであるフロント6kg/mmm、リア4kg/mmにおける佐々木選手のインプレから。
「ストロークがしなやかで、ギャップでも跳ねにくい。攻めたときはダンパーの特性とバネレートが相乗し、クルマの動きをしっかり支えてくれる。キャンバーも効いていて(調整機能は約5度に設定されていた)、舵角を足すとフロントのグリップがどんどん増えてよく曲がった」と好感触。
しかし、「ブレーキングで前のめりになるとアンダーが出やすく、リアも持ち上がった姿勢となり、すぐにABSが介入する傾向があった」という。
コーナリングの写真からも、クルマの姿勢変化が大きいことがわかるが、佐々木選手はコーナリングでのロールの大きさよりも、ブレーキングでの大きいピッチングが気になったようだ。リア荷重が抜けて、ABSが介入しやすくなってしまうという。本庄サーキットでのベストタイムは45秒097だった。
今度は前後2kg/mmほどレートアップした「ミドルレート」仕様のスプリングにチェンジ。フロント8kg/mm、リア6kg/mmとなる。走行写真も、明らかに姿勢変化が少なくなっている。佐々木選手のコメントはどうか?
「前後の動きがバランスし、4輪がよく使えて、余計なABSの介入もない。立ち上がりでもフロントの接地感が強く、2速のタイトコーナーでも強いトラクションを掛けられる。交換前はアクセルONでフロントが持ち上がりホイールスピンを起こしてしまうので、3速を使っていた」
レートアップでロールだけでなく、ピッチングも抑えられたことで、タイムは44秒939に。スイフトスポーツで本庄44秒台突入は、かなり速い!
サーキット走行において、バネレートをアップすると左右のロールが減ることはもちろん、前後のピッチング方向の無駄な動きが減る。それは、4輪がしっかり接地していないとすぐに電子制御が介入してしまう現代のクルマにとって、メリットは大きいといえる。「足が柔らかいほうがABSは介入しないのでは?」といった通説?とは逆の結果となったのだ。
自身のクルマでタイヤのショルダーがあまりにも減っていたり、キャンバー調整でもタイヤを生かしていないなと感じたら、2キロ程度のレートアップは試してみてもいいのでは? タイムの伸び悩み解消の突破口になるかもしれない。
■取材協力 トラスト TEL0479-77-3000 https://www.trust-power.com/
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