この記事をまとめると
■WEB CARTOP編集部の井上がAライセンス取得をリポート
ガチレースなのにハードルは低い! 参戦費用激安でS耐ドライバーでも勝てない「N-ONEオーナーズカップ」が面白すぎる
■Aライセンスを取得するには原則としてBライセンスが必要だ
■Aライセンス取得の試験では「筆記試験」「実技試験」を受けなければならない
とりあえずAライ取ってきて4耐に出ろ!
日々クルマに関わるさまざまなニュースを扱うWEB CARTOP編集部。基本的には、「発表会」「試乗会」「見学(体験)会」といったのが主な取材で、なかでももっとも多いのが「試乗会」だ。これには、通常「編集」「ライター(乗り手)」「カメラマン」の3人で動くことが多く、新車に”きちんと”乗るのは、原稿を書くライターであることが多い。我々は乗らないこともないが、主役ではなく、あくまで「監督」役。じっくり乗ることはあまりない。
しかし、そんな我々自動車メディアの人間も、クルマに”ガチ”で乗ることがある。それが毎年9月頃(コロナ禍は除く)に開催されている名物イベント、「メディア対抗ロードスター4時間耐久レース」だ。これは、我々自動車メディアに関わる編集者がレーシングドライバーとして、そのとき販売されているロードスターで、文字どおり4時間耐久レースを行うというもの。場所は筑波サーキット(TC2000)となり、今年でなんと34回目の開催となる。この、編集者の集まりに+αで現役レーシングドライバーやクルマ好きの芸能人などを、ゲストとしてチームに加えることができるのがこのレースの特徴だ(もちろん編集者のみのチームもOK)。
そして我々WEB CARTOP&CARトップチームは、いままでの歴史でチーム名は多少変更が入ったりしたものの、じつは全33回大会中33回全戦に出場している貴重な皆勤賞チームでもある。なので、今年の第34回大会ももちろん参戦する……のだが、ここで大きな問題が起きた。
今回参加申し込みをしたのが下っ端の筆者である井上なのだが、昨年の3名(編集局長石田、中谷明彦さん、ご存じ超有名バンド『TUBE』メンバーの松本玲二さん)で登録したところ、なんと「4人以上じゃないとダメです」と、ルールを見ていなかった井上に連絡が! 初歩中の初歩なルールなだけに、それを知らないとはあまりにもボンクラである。そのことを急いで編集局長の石田に伝えたところ、「ならもうお前が走りゃいいだろ。走るの大好きじゃん」と、まさかの指令を受ける。このとき、すでにレース本番まで残り2週間である。ちなみにルール上、手数料を払うと当日登録可能なので、手順的に問題はない。問題はないのだが……。
ボンクラ井上、走行会レベルの道具しか持ってないのはもちろん、そもそも最重要要項である国内Aライセンス(以下:Aライセンス)も持ってない。じつはこのレース、業界が主役となって行うレースではあるが、単なる草レースではなく立派なJAF公認の公式戦という本格的なもの。よって、Aライセンスが必須なのだ。装備は、お金さえ出せばなんとかなる! ……はずだ。ちなみに正式名称は「B級/A級ライセンス」ではなく「B/Aライセンス」という。「級」をつけるのはひと昔前の言い方なようで、最近ではつけることはないそうだ。
というわけで、今年7月に29歳になり、20代最後の年に突入したボンクラ井上の、鶴の一声で参戦が決まった「Aライセンスを取得」と、「メディア対抗ロードスター4時間耐久レース」への参戦という、20代最後となる、真夏の大挑戦が始まったのだった。
会場についたらまず車両の準備から!
筆者はクルマを見て触るのも好きだが、走るのはもっと大好きなクルマバカである。なので、「4耐を走れ」という指令はあまりにも急である一方で、じつはうれしいプラスな指令だ。しかし、本番まであまりにも時間がない! とにかくライセンス取得を急がねばならない。
では、第一の関門である「どうしたらライセンスを取れるのか?」であるが、これはJAFのモータースポーツに関するページを開くと、日本各地で開かれているライセンス講習会を簡単に探すことができる。
そして、レースを走るのに必要なAライセンスを取るには、原則として先にBライセンスを持っておく必要がある(講習によってはBからAまで一気に1日で取得できる)。今回、筆者がお世話になったのは、ライセンス講習会を数多く開催している老舗クラブである「クレバーレーシング」さんの講習会をチョイス。なお、申し込みはJAFを経由せず、サイトに記載されているクラブ宛の電話やメールを介して行う。
今回、あまりにも強行日程ではあるが、Aライセンス講習会の前の週にBライセンスの講習会が幸いにもあったので、正攻法で通常通りBライセンスから取ることにした。
Bライセンスの取得は”超”がつくほど簡単。講習代(クラブによって異なるが、費用は8000~1万円程度、JAFの入会金は別途必要)を支払い、講習代に含まれている、JAFが発行する「モータースポーツハンドブック」を見ながら、2時間程度モータースポーツのルールやマナーを聞くだけ。これで取得完了だ。試験などは一切ない。質問事項は、講習が終わったあとか、参加人数にもよるがその都度聞けばOKだ。ちなみに、最近はコロナ禍の影響もあって、オンラインでの受講も可能となっている。
講習が終われば、JAF公認の「サーキットトライアル」「ダートトライアル」「ラリー(全日本ラリーも出られる!)」「ジムカーナ」に出場できる資格が手に入る。クルマ好きなら持っていて損はないはず。なんとなく強そうな響きなので、持ってるだけでもちょっとだけ自慢できるかも!? ついでに、審判員の資格も追い金を払う形で一緒に取れることもできる。
さて、簡単に入門編であるBライセンスの取得までの流れを説明したところで、ここからが本題の「Aライセンス」の取得だ。この試験は、命懸けであるレースをやるために必要な資格ということもあり、”試験”がある。それも、筆記(○×形式)と実技(走行)と本格的な内容である。時間も、朝9時頃から夕方17時くらいまでと丸1日かかる。遊び半分で受けるにはハードな内容なのだ。なお、取得費用はクラブによるが、3万~4万円前後が多いとのこと。
ちなみに筆者、教習所の卒検と免許センターでの筆記試験を1回ずつ落ちている文字どおりボンクラ。こんな奴が受けて大丈夫なのだろうか!? しかし、意地でも受からないとCARトップ&WEB CARTOPチームの皆勤賞が途絶え、間違いなく会社での居場所がなくなってしまう。万が一に備え、ATMで”賄賂”を下ろしておこうかと道中本気で考えたのは内緒だ。
参加受付ではとくに特別なことはなく、ライセンスや免許証の確認をして終了。このときは、Bライセンスの講習会が先週だったこともあり、紙でできた仮ライセンスで受付した。樹脂製のカードでできている、正式ライセンスの発行には3週間ほどかかるとのこと。
受付後は、実技に備えてクルマの準備をする必要がある。先ず、受付で配られたゼッケンを「ボンネット」「ドア左右」にテープで貼る。養生テープがオススメなので、当日は持参しよう。筆者はボンクラなので、クルマ1台分貼れる量の養生テープがないことがその場で発覚し、ビニールテープで代用した。
その後、バッテリー端子のプラス側を養生する。これは、万が一事故が起きた際のショート防止のためだ。ショートすると、場合によっては火災につながる恐れがある。その後、オイルフィラーキャップやレベルゲージなどがちゃんと締まっているか、刺さっているか確認しよう。できればワイヤーなどでロックするのがベスト。コース上にオイルを撒いてしまうと、まわりに迷惑がかかるだけでなく、コースの清掃代も発生するからだ(なかなか高額!)。
サーキットを走るので、車内の掃除も忘れないようにしておこう。普段は積んでいても問題ないが、ドリンクホルダーや工具、ペットボトルなどは下ろしておく。1番は家で前もって片付けてくることだ。
CARトップ恒例の筑波アタックではお馴染みなのだが、フロアマットも運転席側は外しておこう。ロックやストッパーががついていることが多いが、ズレると事故の元なので、サーキット走行時は外すのが正解。
タイムも計測するので、貸し出されたトランスポンダーを右のドアポケットに入れ、タオルなどでずれないようにしっかり固定する。これは筑波サーキットの場合なので、ほかのサーキットでは、トランスポンダーの位置が異なる可能性がある。その都度確認しよう。
それと、ホイールのトルクチェックもしておきたい。これは街なかを走る際も定期的にやるべき作業だが、一般公道以上に負荷がかかるサーキットを走るので、さらに念入りに行っておきたい。
人間側の装備は「長袖長ズボン」「ヘルメット」「グローブ」だ。FIA公認の高価なものである必要はなく、走行会で遊ぶレベルの装備で大丈夫だ。当たり前だが、ヘルメットはバイク用の半キャップや工事用のモノはNG。せっかくならクルマ用がベストだが、高価なのでバイク用でもいいだろう。女性であれば、化粧をしていても汚れづらいジェットタイプもオススメだ。
最後に、準備が終わったらクラブ側のスタッフを呼び、簡単な車検をしてもらう。合格をもらったらゼッケンに車検合格の”証拠”となるステッカーを貼ってもらい出走準備完了だ。
落ちたら編集部終了の危機! いよいよ本番の試験へ
車検や装備チェックが終わったら、次は室内に戻り講習スタートだ。いい大人なのでわざわざ言うことでもないが、朝早いからといって居眠りは厳禁だ。なんといっても、この講習で解説したところがテストに出ることが多い。目にセロハンテープを貼ってでも、見逃せないし、一言一句聞き逃せない。
講習では、「国内競技規則」という基本的なモータースポーツに関するルールの解説、「車両規則」と言われる競技に使用するクルマに関するルールの解説、最後に「付則H項」と呼ばれるレース中の旗などに関するルールの解説を行う講義が開かれる。それぞれ1時間半~2時間ほどで、その後は実技試験、筆記試験という流れになる。
クレバーレーシングさんでは、ホワイトボードを使って解説するほか、長年レース現場にいるからこそわかる実際に起きた事案に関する解説、旗の実物を使った説明など、非常に丁寧な講義となっている。また、”テストに出やすい”ところも「ここは出やすいので要チェックです!」と教えてくれた。ちなみに筆記試験は、大学のテストのように、前もって購入したモータースポーツハンドブックなどのテキストを閲覧できる。出やすいところをメモしておけば、お守りになるかもしれない。
なお、この日の受講者は20人ほどいて大盛況であった。しかし、実際に競技に出る予定がある人は少ないようで、これはよくあることなんだそう。もっと言うと、80%ほどの人たちは筑波サーキットを走るのすら初めてとのこと。「Aライセンス」と聞くと、なんだか凄そうな資格ではあるが、それくらいの温度感でも十分取得できるのだ。年齢層は20代から60代と幅広く、男性が多めではあるものの、この日は女性の参加者もいた。
3種類の講義を受けたら次はいよいよ実技だ。今回は15分×2回の走行枠があり、内訳としては最初が「サーキットトライアル」というB級ライセンスが必要な実戦、もう1枠が「実技試験」だ。
内訳をもう少し詳しく説明しよう。じつはAライセンスを取得するには、Bライセンスが必要な競技に1回以上出場していないといけないというルールがある(例外もあり)。なので、今回の講習によって先ず1枠目に「サーキットトライアル」を受け、前述の条件をクリアし、2回目の枠で実技試験を受けるというのが、今回の流れとなる。なお、実技試験は主にレース中に振られる「旗」を見ているかどうかを確認するそう。
この「旗」であるが、レースはもちろん、走行会でも「黄旗」や「赤旗」、「オレンジボール」は出やすい。参加者に注意を促す大切なシグナルなので、この試験内容に納得だ。そして、今回の主催者であるクレバーレーシングさんの試験の場合は、実際のコース状況に則った旗を出してくれるので、「試験だからわざと黄旗を出す」といったようなことはせず、ちゃんと実戦を意識した試験内容になっているとのこと。クラブによっては試験なので”あえて出す”場合もあるそうだ。
なお、サーキットトライアルも実技試験も「何秒以内で走れ」といった条件は皆無。ただし、クラッシュは一発不合格(過去に横転などがあったらしい)なので、とにかく事故なく安全に筑波サーキットを15分間で何周か走り抜ければいい。
ナンバー付きであれば参加車種は自由なので、軽自動車だろうがミニバンだろうがSUVだろうがなんでもアリなのもうれしい。当日はトヨタ・プロボックスやマツダCX-60もいれば、フェラーリ F360なんかも走っていた。
今回は試験中、オイルを噴いてしまったクルマがいたので、「赤の縦縞のある黄旗」が実際に振られることとなった。これは「先のコース上に、オイルがあり路面が滑りやすくなっていることを知らせる意味」を持つ旗。なので、レースならまだしも、試験なのでそこで頑張って、滑りやすい路面を全開で走る必要はない。今回の参加者はみんな旗を見ていたので、このトラブルでスピンするような車両はいなかった。最後にチェッカーが振られ、実技試験は終了だ。
走ったあとは、元の部屋で筆記試験を受ける。問題数は30問で、制限時間は30分だ。筆者はとにかく頭がよろしくないので、澄ました顔をしつつもこのときはかなり緊張していた。実技は問題なかったはずだが、ここで落ちたら編集部の皆勤賞記録が終わってしまうプレッシャーはかなりのもの。それになかなかな金額となる参加代と試験代も払っている。落ちてもお金は返ってこないのだ! 何度もテキストと睨めっこし、普段の仕事以上に丁寧に見直しをして提出した。
提出後、採点などを行いついに結果発表を迎えた。気になる結果は、クレバーレーシングさんが今年開催した講習会では初となる全員合格であった。これには室内に歓声が上がった。そしてこの瞬間、ボンクラ井上もパーっと気が軽くなった。「とりあえずこれで4耐に出場はできる。助かったぞ!」と。
そして最後にもうひとつ、筆者にはうれしい案内があった。前述のサーキットトライアルでは、参加者のうち上位6名までは表彰があるとのことだ。とにかく試験に落ちるわけにはいかなかったので、そんなようなアナウンスがあったような気はしたが、すっかり忘れていた。そしてリザルトを見るとなんと、6位に名前があるではないか。
事故をしては元も子もないので、安全第一で走っていたわけだが、結果としてこのような結果も得られたのは、棚ぼたといったところで何より。レース本番目前に幸先がいいではないか。
と、いうわけで最後にこの表彰を受け、Aライセンスも無事に取得し、ボンクラ井上、20代最後の挑戦その1は幕を閉じた。後日、JAF関東本部まで出向き、紙でできた仮のAライセンスを発行してもらい、レース前の大きな準備は終了だ。
Aライセンスの取得は、たしかにお金と時間はかかるが、クルマ好きであれば講習も楽しい内容ばかりであるほか、役に立つことも多いと感じた。そして、実技試験を経て取得できる資格なだけに達成感もあり、何より「Aライセンス」という響きが格好いいではないか。「俺、Aライセンス持ってるけど?」と、心を開いている友人間や家族程度の範囲であればきっとドヤれるはずだ。
国内では、「N-ONEオーナーズカップ」「ヤリスカップ」「ロードスターパーティレース」「86/BRZレース」といった、Aライセンスが必要なワンメイクレースも多数開催されている。費用は掛かるが、誰でもレーシングドライバーになるチャンスと環境が日本にはある。車両の準備など、正直かなり大変だが、筆者も「なにかに出てみたい!」と、せっかくライセンスを取ったが故に強く感じたところだ。どんどん使わないと勿体ない!
と、その前に開催目前に迫った「メディア対抗ロードスター4時間耐久レース」だが(本番までこの時点であと6日!)、ボンクラ井上は果たしてぶっつけ本番でどんな走りをするのか、そもそもトラブルなく走れるのか? リポートはまた別記事で近くお伝えするのでお楽しみに!
※講習の一部内容は主催のクラブによって異なります
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