8月19日(土)、AXCRアジアクロスカントリーラリー2023の競技最終日レグ6が、ラオスのパクセーを拠点に行われ、TOYOTA GAZOO Racingインドネシアの105号車トヨタ・フォーチュナーを駆る青木拓磨組が総合優勝を飾った。
首位で最終日を迎え、そのままポジションを守り抜いた青木/イッティポン・シマラックス/ソンウット・ダンピファトランクーン組に続き、チームメイトのトゥバグス・モレンシャディ組(121号車トヨタ・フォーチュナー)も総合2番手を維持してラリーを完走したため、TGRインドネシアは今大会でワン・ツー・フィニッシュを達成している。
新型トライトンが初のステージウイン。王者ヨーター、3番手で最終日へ/アジアクロスカントリーラリー
■初日はトラブルとミスコース、さらにはペナルティで2時間弱おくれる
今年で28回目の開催を数えるAXCRは、“アセアン”と呼ばれる東南アジア地域で最大級のFIA国際自動車連盟公認クロスカントリーラリーだ。元GPライダーである青木は、バイクのテスト中の事故で下半身不随となった後、四輪に転向。現在は車椅子レーサーとして四輪レースやラリー競技などで活躍している。AXCRへの初参戦は2007年。以来17年間、都合14回にわたって挑戦を続け、2011年には総合3位を獲得した。また、昨年も表彰台目前の総合4位に食い込んでいる。
迎えた14度目のチャレンジは、2022年大会に引き続きトヨタ・フォーチュナーでの参戦となったが、8月14日(月)の競技初日にいきなり試練が訪れる。タイのパタヤをスタートした105号車フォーチュナーは、このSS1で右フロントのドライブシャフトの破損に加え、タービンのインテークが外れるトラブルに見舞われた。
また、数多くのジャンクションを通過する複雑なステージを走行するなかでミスコースがあり、そのうえチーム三菱ラリーアートの田口勝彦/保井隆宏組(112号車ミツビシ・トライトン)と同様に、競技車両同士の正面衝突事故で行く手を阻まれ大きくタイムを失う。結局レグ1は午前中のトラブルによる遅れから24分のタイムペナルティも受けて総合28番手での完走となった。
この時点でトップとのタイム差は1時間56分50秒と大差がつき、青木組にとって2023年大会は非常に厳しい幕開けとなった。
■SS2以降、安定した速さをみせた青木拓磨
通常であれば、ここからの逆転勝利はまず不可能と言っていい。しかし翌15日(火)に状況が一変する。
ラリーの主催者が、競技初日に行われたSS1のコース設定に安全上の不備があったことを認め謝罪する一幕があり、同時にSS1のスタートからPC(パッセージコントロール)までの前半区間のタイム、およびペナルティを“無効”とする決定を下したのだ。
これにより当該区間でのおくれと、それに起因するペナルティによって勝負権を失ったかに思われた青木組に上位入賞のチャンスが巡ってくる。
SS2を終えてトップと52秒差の総合3番手に“急浮上”した青木は、TGRインドネシアのフォーチュナー勢がステージタイム上位トップ3を独占したSS3後に総合首位に立つと、タイから国境を超えラリーの舞台がラオスに移ったレグ4のSS4で、二日連続となるステージ2番手タイムを記録し、首位の座をキープする。
さらに終盤戦のレグ5でも、総合2番手につけるチームメイトや同3番手の“前年覇者”チャヤポン・ヨーター(チーム三菱ラリーアート)を上回るSS3番手タイムを記録した青木。後続に6分11秒のリードを持って迎えた最終日、49歳の彼は6日間の競技の集大成となった全長51.96kmのSS6をステージ17番手タイムで走破し、最後は4分28秒差で逃げ切り見事優勝。自身14回目の挑戦にして悲願のアジアクロスカントリーラリー初勝利を達成した。
前述のとおり、総合2位は僚友のモレンシャディ組。TGRインドネシア勢に次ぐ総合3位には、三菱自動車が技術支援を行いタイのタント・スポーツが走らせる新型ミツビシ・トライトンで大会連覇を目指したヨーター/ピーラポン・ソムバットウォン組が入っている。
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みんなのコメント
オンボード動画を見てみると、左手の操作が凄すぎる。
拓磨が頑張っていると、自分お頑張らなくちゃって思える。
カネ配りまくった結果勝てた