9月22日、2024年F1第18戦シンガポールGPの決勝レースが行われ、ランド・ノリス(マクラーレン)が今季3勝目/キャリア3勝目を、今季2度目のポール・トゥ・ウインで飾った。
2位にマックス・フェルスタッペン(レッドブル)、3位にオスカー・ピアストリ(マクラーレン)が続いた。角田裕毅(RB)は12位となった。
マリーナベイ市街地サーキットを舞台にナイトレースとして開催された第18戦。今回はターン14から16までの区間に4つ目のDRSゾーンが追加されるといった変化もあるなかで開催された。
スタートタイヤは20台中14台がミディアムタイヤ(C4/イエロー)を選択するなか、3番グリッドのルイス・ハミルトン(メルセデス)、16番グリッドのダニエル・リカルド(RB)がソフトタイヤ(C5/レッド)をチョイス。
一方、14番グリッドのケビン・マグヌッセン(ハース)、17番グリッドのランス・ストロール(アストンマーティン)、そして最後列に並んだキック・ザウバー勢はハードタイヤ(C3/ホワイト)を装着した。
気温31度、路面温度37度、湿度75%となるなか、62周の決勝レースはスタートを迎えた。今季これまでポールスタートから順位を落とすことの多かったノリスだったが、ターン1のホールショットを守ると、そのままオープニングラップをトップで終えた。
一方、8番グリッドスタートの角田はスタートで大きく出遅れ、シャルル・ルクレール(フェラーリ)、フランコ・コラピント(ウイリアムズ)、セルジオ・ペレス(レッドブル)にかわされ11番手で2周目を迎えることに。
スタート直後は至るところでサイド・バイ・サイドが繰り広げられたが、上位7台はスタートポジションのまま序盤の周回が続いた。ノリスが早々に後続を引き離しにかかるなか、3番手ハミルトンの背後に4番手ジョージ・ラッセル(メルセデス)が接近する。
ソフトタイヤのハミルトンはタイヤ温存に徹し、ラッセルはハミルトンのペースに付き合うかたちに。ただラッセルは市街地コースでチームメイトにオーバーテイクを仕掛けるというリスクを避け、ハミルトンの2秒以内をキープする。しかし、トップのノリス、2番手のフェルスタッペンとは徐々にギャップが開いてしまう。
11番手の角田は12番手カルロス・サインツ(フェラーリ)とテール・トゥ・ノーズの戦いを繰り広げていた。14周目にサインツがハードタイヤに履き替えるが、角田はここでサインツの動きに反応せず、コースにステイする。
そんななか、タイヤ交換を終えてサインツの背後につけていたアルボンが「オーバーヒート」によりスローダウン。16周目にマシンをガレージに収めてリタイアとなってしまう。
ソフトタイヤで3番手につけていたハミルトンは18周目にハードタイヤに交換。これでラッセルの眼前はクリアになったが、この時点でフェルスタッペンには11秒、ノリスには24秒のギャップを開けられていた。
周回数が20周を超えると、フェルスタッペンも1分38秒台前半というペースまで落ちてしまう。ただ、ノリスは依然として1分36秒~37秒台前半をキープし、ミラーにフェルスタッペンを写さない。
そんなノリスに対して、マクラーレンは「上位勢で一番最初にピットに入りたくないからタイヤを温存してくれ」と無線を飛ばす。もし真っ先にピットに入り、直後にセーフティカー(SC)が入ってしまうと、一気にポジションを失うことになるため、チーム側はリスクを避けたい。
ただ、ノリスは依然として1分37秒前半をキープし、フェルスタッペンに毎周1秒のギャップを広げると、26周目に2台のギャップは20秒に達した。
29周目、ハミルトンに代わり3番手につけていたラッセルがハードタイヤに交換。ハミルトンの前でコース復帰し、チームメイトをオーバーカットすることに。ハードタイヤに履き替えて以降ペースが伸びないハミルトンは「クルマがおかしい」という無線を飛ばす場面も。
30周目にフェルスタッペン、31周目にノリスがピットインする。ノリスは29周目のターン14でフロントウイングの左端がウォールとタッチするミスがあったが、車両に大きなダメージはなく、フェルスタッペンに20秒のギャップを築いたままトップでコースに復帰する。
予選で見せたノリスの驚速ぶりは決勝でも健在で、国際映像にもほとんど捉えられない状況が続いた。一方、角田は34周目にミディアムからソフトタイヤに交換する。
39周目、全車が1回のタイヤ交換を終えた時点でノリス、フェルスタッペン、ラッセル、ハミルトン、ピアストリ、サインツ、フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)、シャルル・ルクレール(フェラーリ)というトップ8となった。続く40周目、フレッシュタイヤのピアストリがハミルトンを交わし4番手に浮上する。
ソフトタイヤの角田は自己ベストを更新する走りでリカルドの背後についた。ただ、RB陣営はミディアムタイヤで30周走行し、ペースが大幅に下がったリカルドと角田のポジションを入れ替えるという判断を瞬時には下せず、角田も無線の語気が強まるシーンも。
42周目にリカルドがポジションを譲ると、その翌周には角田はリカルドに6秒のギャップを築いた。約20秒先を走る11番手コラピントの背中を捉えるべく、角田のプッシュラップが続く。
一方、4番手のピアストリは続けてラッセルを射程圏内に捉えると、45周目のターン7で易々とアウト側からオーバーテイクし3番手に浮上する。この時点でノリスとは43秒のギャップが開いていたものの、マクラーレン2台が表彰台圏内に揃うことに。
また、50周目のターン7でルクレールがハミルトンを攻略し5番手に浮上。ピアストリ同様比較的タイヤがフレッシュなルクレールは、続けて4番手ラッセルの背中を追う。
そして55周目には角田とコラピントのギャップが11秒まで縮まった。角田は20周を走行したソフトタイヤで自己ベストを更新するなど、タイヤをマネジメントしつつプッシュを続ける。ただ、残り3周を迎えるころには角田のソフトタイヤもデグラデーション(性能劣化)が顕著に現れ、タイムがわずかに落ち始める。
62周目を終え、ノリスがトップチェッカーを受け、今季3勝目/キャリア3勝目を飾った。2位にフェルスタッペン、3位にピアストリが続いた。フェルスタッペンは第15戦オランダGP以来3戦ぶりの表彰台獲得となった。
4位ラッセル、5位ルクレール、6位ハミルトン、7位サインツ、8位アロンソ、9位ニコ・ヒュルケンベルグ(ハース)、10位ペレスまでがポイント獲得となった。角田はコラピントに2.508秒届かず12位となった。
なお、ファステストラップは終盤にソフトタイヤに履き替えたリカルドが獲得している。リカルドのファステスト獲得により、予選ポールポジション、全ラップリードを記録していたノリスのグランドスラム初達成は持ち越しとなった。
次戦となる2024年F1第19戦アメリカGPは、テキサス州オースティン近郊に位置するサーキット・オブ・ジ・アメリカズで10月18~20日に開催される。
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