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アルピーヌが香る ルノー・オーストラル 1.2 E-テック・ハイブリッドへ試乗 新型ミドルSUV

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アルピーヌが香る ルノー・オーストラル 1.2 E-テック・ハイブリッドへ試乗 新型ミドルSUV

カジャーの後継車となる新ファミリーSUV

ボディサイドにシャープな「A」のロゴがあしらわれているが、アルピーヌのSUVではない。念のため。

【画像】アルピーヌが香る ルノー・オーストラル・ハイブリッド 競合するクロスオーバーと比較 全116枚

今回ご紹介するルノー・オーストラルは、ミドルサイズのファミリーSUV、カジャーの後継車となる新モデル。僅かに、アルピーヌの息吹を感じることもできるけれど。

基礎骨格としているのは、ルノーと日産の共同開発で誕生したCMF-CDと呼ばれる新しいプラットフォーム。CMFはコモン・モジュール・ファミリーの略で、様々なハイブリッド・パワートレインに対応している。

英国へは、2023年から導入予定にある。当初の選択肢は1.2L 3気筒エンジンに1.7kWhの駆動用バッテリーを組み合わせたハイブリッドが2種類と、1.3L 4気筒エンジンのマイルド・ハイブリッドが2種類になるという。

今回試乗したのは、システム総合での最高出力が198psとなる、1.2Lハイブリッド。オーストラルとしてはトップグレードに当たる。オプションとなる、四輪操舵システムの4コントロール・アドバンスドも装備されていた。

このオプションを選ぶと、リア・サスペンションがトーションビーム式からマルチリンク式へアップグレード。ステアリングラックもクイックなモノへ置き換えられ、最小回転直径は10.1mと小さなハッチバック並みに小回りが利くようになる。

軽快に自信を持って運転できるシャシー

ファミリーSUVとして、オーストラルの訴求力は高い。ステアリングホイールの重み付けは丁度良く、高めの速度域でもボディロールを抑えつつ、ラインを維持しながら駆け抜けていける。

カーブの出口で威勢のいい加速を求めると、穏やかなアンダーステアでドライバーをなだめる。高速域では、僅かなステアリングホイールの入力へ過剰気味に反応するものの、四輪操舵システムの動きは自然。挙動は予想しやすい。

カーブの続く郊外の道でも、混雑した市街地の交差点でも、軽快に自信を持って運転できる。扱いやすいクロスオーバーだ。

ハイブリッドのパワートレインは、穏やかなEVモードでの発進を許す。市街地だけでなく、高速道路の低負荷状況でも、エンジンを止め電気の力だけで短距離をまかなうことも可能。スムーズで洗練された印象を与える。

日常的な走行環境では、やや飛ばし気味に運転しても、3気筒エンジンの出番は少ない。エンジンが始動すると、明確なノイズと振動でその事実を知らせてくる。不意にバイクが近づいてきたような、そんな感覚を覚えた。

クラッチレスのドグミッションが組み合わされたシステムは、鋭い加速時には高回転域までエンジンを引っ張る。アクセルペダルを緩めても、回転数が落ちるまで僅かなラグも感取される。ドライバーの気持ちと、うまく同調できない場面もゼロではない。

とはいえ、平穏に運転している間の質感はいい。エンジンと駆動用モーター、トランスミッションはうまく協調できている。

理解しやすいグーグル・ベースのシステム

今回の試乗車はエスプリ・アルピーヌというトリムグレードで、アルミホイールは大径な20インチを履いていたが、乗り心地は良好。アダプティブダンパーは設定されないものの、ホイールの粗野な動きを沈めつつ、細かな入力を巧みに処理できていた。

大きな凹みや、舗装のつぎはぎでは若干バタつく様子も見られたが、それ以外の揺れは最小限。しなやかな乗り心地と、安心感のある姿勢制御とを両立させている。

操縦性が自慢のクロスオーバーというわけではない。だが、アルピーヌの精神が宿っていないわけではないようだ。別のグレードがどんなマナーを示すのか、改めて確認してみたい。

オーストラルの車内で目を引くのは、今どきながら、縦長の大きなタッチモニター。グーグル社のソフトウエアで稼働するシステムで、テスラのようなハイテク感を漂わせる。

グラフィックは高精細だし、メニューレイアウトはロジカルで理解しやすい。アンドロイド・オートだけでなくアップル・カープレイにも対応し、グーグル・マップのナビ機能は便利。思いつく必要な機能は網羅されている。

エアコンの操作は、タッチモニター下の実際に押せるハードボタンで可能。内装に用いられている素材の質感や組み立て品質も高く、フォルクスワーゲンのデザイナーを悩ませそうに思える。

燃費も優秀 アルピーヌ風味を感じる仕上がり

リアシート側は、高身長な大人が2名座れるゆとりの空間。背もたれは60:40の分割で倒せるが、マイルド・ハイブリッド版で可能な前後のスライドは、ハイブリッド版ではできない。

荷室容量は430Lで、このクラスでは大きいとはいえないだろう。フロア下にも、小さいながら収納はある。

カタログ値で21.7km/Lの燃費は優秀といえ、CO2排出量は105g/kmがうたわれる。これは日産キャシュカイ e-パワーやトヨタRAV4 PHEVよりも優れた値となる。個人ユーザーだけでなく、英国では一般的な、会社からの貸与車両としても支持を得そうだ。

英国価格はこれからで、トリムグレードやパワートレインに幅もあり、今回はオーストラルの具体的な評価を与えるには至らない。だが、アルピーヌだと期待しなければ、心が動かされるほどの仕上がりにある。

ルノーらしいスタイリングは充分にスタイリッシュだし、アルピーヌの風味を感じるようなシャシーのセッテイングも好印象。完成度の高いSUVだといっていい。

欧州市場では特に、ミドルサイズのファミリーSUVは混戦状態。あまたある選択肢の中でも、ルノー・オーストラルはオススメしたいモデルになりそうだ。

ルノー・オーストラル 1.2 E-テック・ハイブリッド・アイコニック・エスプリ・アルピーヌ(英国仕様)のスペック

英国価格:4万1000ポンド(約676万円/予想)
全長:4510mm
全幅:1825mm
全高:1618mm
最高速度:175km/h(予想)
0-100km/h加速:8.0秒(予想)
燃費:21.7km/L
CO2排出量:105g/km
車両重量:1700kg(予想)
パワートレイン:直列3気筒1199ccターボチャージャー+電気モーター
使用燃料:ガソリン
最高出力:198ps(システム総合)
最大トルク:20.4kg-m(システム総合)
ギアボックス:7速オートマティック

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