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【全ドライバー独自採点/F1第21戦】ライバルが学ぶべきテクニックを披露したアロンソ。前戦のミスを挽回した角田裕毅

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【全ドライバー独自採点/F1第21戦】ライバルが学ぶべきテクニックを披露したアロンソ。前戦のミスを挽回した角田裕毅

 長年F1を取材しているベテランジャーナリスト、ルイス・バスコンセロス氏が、全20人のドライバーのグランプリウイークエンドの戦いを詳細にチェック、独自の視点でそれぞれを10段階で評価する。今回はサンパウロGP(ブラジル)の週末を振り返る。

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【全ドライバー独自採点/F1第20戦】速さとタイヤ管理がずば抜けていたハミルトン。チームに大きく貢献したリカルド

 インテルラゴスはわずか70秒の短いコースだが、いくつかのチームでは、ふたりのドライバーの間で大きな差が生じた。つまり、ドライバーの力がものを言うサーキットであることは明らかだ。

■評価 10/10:とてつもない頭脳とテクニックで表彰台をつかんだアロンソ

フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン):予選4番手/スプリント・シュートアウト15番手/スプリント11位/決勝3位
ランド・ノリス(マクラーレン):予選7番手/スプリント・シュートアウト1番手/スプリント2位/決勝2位

 週末全体で最も印象的なパフォーマンスを発揮したドライバーはふたり、そのうちひとりはフェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)だ。彼は再び、年齢は単なる数字にすぎないということを、世界に示した。メインレースの終盤3分の1で、アストンマーティンよりはるかに速いレッドブルに乗るセルジオ・ペレスからの攻撃を防いだ。その走りは、すべての若手ドライバーにとってのお手本であり、現役ベテラン勢でも学ぶところがあるものだった。最終ラップに3番手を取り戻すための最後の秘策を持っていたという事実は、激しいバトルの最中にも、彼の頭脳にどれだけの余裕があって備えをしていたかを示している。

 スプリント・シュートアウトの最速タイムを記録したランド・ノリス(マクラーレン)は、週末を通してマックス・フェルスタッペンの近くにいた唯一のドライバーだった。土曜日のスプリントでは、慎重なスタートによりリードを奪われ、戦うチャンスを失ったが、メインレースでは途中、フェルスタッペンにプレッシャーをかける場面もあった。

■評価 9/10:週末をほぼコントロールしたフェルスタッペンと、不運なルクレール

マックス・フェルスタッペン(レッドブル):予選1番手/スプリント・シュートアウト2番手/スプリント1位/決勝1位
シャルル・ルクレール(フェラーリ):予選2番手/スプリント・シュートアウト7番手/スプリント5位/決勝スタートせず

 週末を支配したマックス・フェルスタッペン(レッドブル)に最高点を与えないのは厳しすぎるかもしれないが、スプリント・シュートアウトで最速タイムを出せる状況にありながら逃したことが減点対象になった。メインレースでノリスに接近される場面もあったが、週末のほぼ全体を思うままにコントロールした。

 シャルル・ルクレール(フェラーリ)は3位には手が届いたものと思われるが、トラブルのためにレースをスタートすらできなかったのは、本当に気の毒だった。メインレースのスタートに新品ソフトタイヤを残すために、スプリントでは使いこんだソフトで走ったというのに、温存したタイヤを使う機会がなくなった。週末を通してチームメイトより速かったにもかかわらず、マシンに裏切られた。

■評価 8/10:レースをうまく制御し、チームに好結果を持ち帰ったガスリー

ピエール・ガスリー(アルピーヌ):予選13番手/スプリント・シュートアウト13番手/スプリント13位/決勝7位

 アルピーヌにとって困難な時期が続いているが、ピエール・ガスリー(アルピーヌ)は懸命に仕事に取り組み、メインレースで素晴らしい結果を持ち帰った。週末の大部分でチームメイトよりも速く、日曜日にはアグレッシブでありながらコントロールされたレースをした。速さではるかに勝るマシンに乗るランス・ストロールと、ドライバーズ選手権10位の座を争っており、まだ十分望みがある状況だ。

■評価 7/10:前戦のミスを挽回した角田裕毅

セルジオ・ペレス(レッドブル):予選9番手/スプリント・シュートアウト3番手/スプリント3位/決勝4位
カルロス・サインツ(フェラーリ):予選8番手/スプリント・シュートアウト9番手/スプリント8位/決勝6位
角田裕毅(アルファタウリ):予選16番手/スプリント・シュートアウト6番手/スプリント6位/決勝9位

 日曜日にセルジオ・ペレス(レッドブル)は表彰台まであと一歩のところまで迫った。とはいえ、チームメイトとの比較では、依然として厳しい状況にある。シュートアウトではフェルスタッペンに近づくことができたが、スプリントでは1周0.5秒遅く、メインレースでは、最速マシンに乗っているにもかかわらず、ポジションを上げていくのに苦労した。しかし、ドライバーズ選手権2位を確保する上で、4位は良い結果であり、刺激的でないにしても堅実な走りをした。

 週末全体を通してカルロス・サインツ(フェラーリ)は、クラッチの問題と戦っていたようだ。今回はチームメイトにかなわず、スプリントではユーズドタイヤをだめにしてしまった。ただ決勝では比較的良い走りをし、コンストラクターズ選手権2位を目指すフェラーリのために、ポイントを持ち帰った。

 角田裕毅(アルファタウリ)にとって非常にポジティブな週末だった。日曜日のレース序盤に、何のプレッシャーもかかっていない状況でコースオフしたことは減点対象になる。しかし週末の大部分でチームメイトより優位に立ち、そのコースオフがなければ、今回の評価においてトップ5に入れたいところだった。メキシコのミスの後、彼は非常に慎重に行動し、ウイリアムズとランキング7位争いをするチームに非常に貴重なポイントをもたらした。

■評価 6/10:ひどいセットアップで懸命に戦ったハミルトン

ルイス・ハミルトン(メルセデス):予選5番手/スプリント・シュートアウト5番手/スプリント7位/決勝8位
ランス・ストロール(アストンマーティン):予選3番手/スプリント・シュートアウト17番手/スプリント12位/決勝5位
エステバン・オコン(アルピーヌ):予選12番手/スプリント・シュートアウト16番手/スプリント14位/決勝10位
バルテリ・ボッタス(アルファロメオ):予選18番手/スプリント・シュートアウト14番手/スプリント19位/決勝リタイア
アレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ):予選15番手/スプリント・シュートアウト19番手/スプリント15位/決勝リタイア
ニコ・ヒュルケンベルグ(ハース):予選11番手/スプリント・シュートアウト12番手/スプリント18位/決勝12位
ケビン・マグヌッセン(ハース):予選14番手/スプリント・シュートアウト11番手/スプリント16位/決勝リタイア
ダニエル・リカルド(アルファタウリ):予選17番手/スプリント・シュートアウト8番手/スプリント9位/決勝13位

 マシンセットアップがあまりにもひどい場合、ドライバーの走りの評価をするのは難しい。ルイス・ハミルトン(メルセデス)は、非常に困難な状況下でミスを犯さず、タイヤを懸命に持たせながら、可能なときには、はるかに速いマシンとも戦い、チームのためにポイントを持ち帰った。セットアップに関して選択を誤ったのはチームだが、ハミルトンのようなベテランドライバーは、その責任の一端を担うべきだ。

 ランス・ストロール(アストンマーティン)は、堅実な走りで5位を獲得。マシンが非常に速いときにはチームに貢献できることを示した。予選では3番グリッドを獲得したが、総じてアロンソよりもかなり遅く、メインレースではチームメイトと同じレベルのパフォーマンスを見せることはできなかった。

 エステバン・オコン(アルピーヌ)にとって、シーズン最高の週末ではなかった。予選ではチームメイトを0.005秒差で破ったが、シュートアウトではアロンソとの接触もあり、早々に敗退。メインレースでは3回ストップ交換の戦略がうまく機能しなかった。全体的にガスリーには届かなかったものの、1ポイントを獲得し、困難な週末をポジティブに締めくくった。

 アルファロメオが強さを発揮すると予想されたサーキットだったが、バルテリ・ボッタス(アルファロメオ)は、ポイント獲得が見えていたなかで不運にもリタイアとなった。ただ、ボッタスは、特に予選で必要なパフォーマンスをチームに提供することができず、スプリントではヒュルケンベルグの後ろで立ち往生し、何のアクションも試みなかった。メインレースでのパフォーマンスはポジティブだったものの、オーバーヒートのトラブルにより、その努力は報われずに終わった。

 アレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ)もノーポイントに終わったが、少なくとも彼は何度か印象的な動きを披露し、一流のレーススキルを持つことを改めて示した。素晴らしい決勝スタートを決めた直後、ハース2台とのインシデントにより、リタイアすることになった。

 ニコ・ヒュルケンベルグ(ハース)は、全般的にチームメイトより速さを発揮していたが、タイヤ管理は依然としてうまくいかなかった。また、決勝スタート直後に2台がリタイアし、彼自身が下位に落ちる原因となったインシデントに関しては、ヒュルケンベルグに全く責任がなかったとはいえない。

 ケビン・マグヌッセン(ハース)は、予選でヒュルケンベルグに近づくことができるようになり、シュートアウトでは上回ってすらみせた。スプリントでも今回チームメイトに勝ったが、決勝では再びターン1でのインシデントに巻き込まれた。

 メキシコで活躍したダニエル・リカルド(アルファタウリ)は、ブラジルでは角田ほどの好成績を残すことができなかった。ただ、決勝スタート直後に、飛んできた他車のタイヤがマシンに当たるというアクシデントは不運だった。その後は、角田を守るレースをしてチームに貢献、自身が輝くことはできなかった。

■評価 5/10:今季最悪の週末を過ごしたピアストリ

オスカー・ピアストリ(マクラーレン):予選10番手/スプリント・シュートアウト10番手/スプリント10位/決勝14位
ローガン・サージェント(ウイリアムズ):予選19番手/スプリント・シュートアウト20番手/スプリント20位/決勝11位
ジョージ・ラッセル(メルセデス):予選6番手/スプリント・シュートアウト4番手/スプリント4位/決勝リタイア
周冠宇(アルファロメオ):予選20番手/スプリント・シュートアウト18番手/スプリント17位/決勝リタイア

 オスカー・ピアストリ(マクラーレン)にとって、今シーズン最悪の週末だった。珍しくチームメイトに全くかなわず、予選でもシュートアウトでも大きく離された。大きなミスはせず、スプリントではリカルドに対して素晴らしい動きを見せたが、最終的に上回ることはできなかった。

 ローガン・サージェント(ウイリアムズ)のパフォーマンスはネガティブなものではなかったが、アルボンとは異なり、マシンが許す以上の速さを見せるということはなかった。今回のウイリアムズにはポイントを争えるだけの競争力がなく、サージェントはヒュルケンベルグとの戦いに勝ち11位という結果だった。

 メルセデスにとって忘れたい週末となったブラジルで、ジョージ・ラッセル(メルセデス)は、再びメインレースでハミルトンより優れたパフォーマンスを見せることはできなかった。スプリントでは素晴らしいスタートを決め、タイヤマネジメントもチームメイトよりも良く、貴重なポイントをつかんだ。しかし決勝において無線で絶えずチームに戦略を指示しようとする行動は、プラスには働かない。タイヤマネジメントもうまくいかず、10番手に落ちた後、トラブルでリタイアした。

 周冠宇(アルファロメオ)にとって週末のハイライトは、スプリント最後の3周にボッタスとヒュルケンベルグをパスしたことだ。しかし周は予選と決勝でチームメイトにおよばず、オーバーヒートの問題で最終的にリタイアした。

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